二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第44話 開会 ( No.94 )
日時: 2016/12/18 14:54
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: ハダレタウンバトル大会、いよいよ開幕!

大会当日。
大規模な大会ということで、会場やその周辺はかなりの賑わいを見せていた。
元より観光名所として有名なこのハダレタウンでバトル大会となれば、これだけの人の数となるのも必然である。
「うわぁ、テレビ中継まで来てるよ!」
サヤナが指差した先にあるのは、テレビ局の中継車だ。『テレビ コトブキ』と書かれている。
「本当だ。あれシンオウ地方本部のテレビ局だよね」
「まぁ中継されるのはバッジ七、八個のランクの大会だろうけどね。オレとしてはああいうのが来てくれると相手が緊張してくれるからやりやすいんだけど」
「あはは、そうだね……」
ハルはそういうのが苦手な方ではある。おそらくスグリやサヤナは緊張など殆どしないタイプなのだろう。
そんな時、
「あら、ハルじゃない。貴方も大会に?」
後ろから声を掛けられ、振り返る。
そこにいたのは、
「エストレさん!」
以前ヒザカリ大会で戦ったトレーナー、エストレだった。相変わらず傍らには護衛のようにハッサムを連れている。
「ふふ、お久しぶりね。折角の大きな大会だし、私も出ようと思ってね。もし戦うことになったら、今回は本気で戦うから、覚悟しておきなさいよ?」
恐らくこのハッサムが出てくるのだろう。
「はい……お、お手柔らかに……」
引きつった笑顔でハルはそう返す。
そんな様子を見てエストレは微笑み、じゃあね、と手を振り、先に会場へ入っていった。
「……あのハッサム、かなり強いな」
そこで口を開いたのはスグリだ。
「え?」
「見て分かった。あのハッサム、相当鍛えられてる。正直、当たりたい相手ではないね」
口ではそう言っているが、スグリの表情は先ほどと比べて楽しげだ。
「さ、オレたちも行こう。目指すは優勝だ」
「そうだね。もうすぐ開会式が始まる」
「よーし、何だか燃えてきた! どこまで進めるか、楽しみだね!」
ハルたち三人も会場入りし、いよいよ、ハダレ大会が幕を開ける。



何度も言うが今回の大会は大規模なものであるため、本戦の前に予選がある。
開会式が終わった後、ハルは予選会場に移動し、早速、一試合目が始まろうとしていた。
ハルの最初の相手は分厚いコートを来て眼鏡をかけた大人しそうな少年だ。
「これより、予選第一試合、ハル選手対クラン選手の試合を行います。バトルは一対一! それでは、ポケモンを出してください!」
審判の声に従い、二人はポケモンを出す。
「頼んだよ、ヒノヤコマ!」
「出て来い、ニドリーノ!」
ハルのヒノヤコマに対し、対戦相手クランのポケモンは体に針をいくつも持つ紫色のポケモン。額の針は一際長い。

『information
 ニドリーノ 毒針ポケモン
 気性の荒いポケモン。頭の毒針を
 武器として振り回しながら戦うが
 鋭い爪からも毒を分泌している。』

「相手は毒タイプのポケモンか。ヒノヤコマ、あの角に気をつけて戦うよ。まずは火炎弾!」
先手を取ったのはヒノヤコマ。
口から無数の火の弾を吹き出し、ニドリーノへと放つ。
「ニドリーノ、振り払え! 毒突きだ!」
対してニドリーノは毒を帯びた角を振り回し、片っ端から炎の弾を弾き飛ばす。
「今だヒノヤコマ、疾風突き!」
その直後、ヒノヤコマは嘴を突き出し、目にも留まらぬ速度で突っ込む。
炎の弾を全て薙ぎ払い、一息ついたニドリーノの一瞬の隙を突き、嘴でニドリーノを突き飛ばす。
「ニドリーノ、立て直せ! 十万ボルト!」
すぐに体勢を整え、ニドリーノは飛び去るヒノヤコマに向けて高電圧の電撃を放つ。
「電気技……! ヒノヤコマ、躱して!」
咄嗟にヒノヤコマは飛行の軌道を変え、電撃から逃れる。
次々と電撃が襲い来るも、何とか全てを躱し切った。
「よし、ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
旋回しながらその身に炎を纏い、ヒノヤコマは再びニドリーノへと突撃を仕掛ける。
「ニドリーノ、毒突き!」
対してニドリーノも毒を帯びた角を構え、ヒノヤコマを迎え撃つ。
正面から二者が激突、威力は互角で互いにダメージを受ける。ここまでは同条件。
「ヒノヤコマ、もう一度ニトロチャージ!」
「ニドリーノ、こっちも毒突き!」
再びヒノヤコマとニドリーノは正面衝突し、互いに押し戻される。
しかし、
「ヒノヤコマ、疾風突き!」
次の瞬間、ヒノヤコマは猛スピードで一気にニドリーノとの距離を詰め、嘴でニドリーノを突き飛ばした。
「っ、速い……!」
「追加効果だよ。ニトロチャージを相手に当てれば、スピードが上がる。さっきまでの真っ向勝負で、ヒノヤコマは普段より速くなってるんだ!」
ハルの言葉に合わせて、ヒノヤコマも力強く鳴きながら飛び回る。
「くっ……だったらニドリーノ、スマートホーン!」
体勢を立て直したニドリーノが角を硬化させ、ヒノヤコマに狙いを定めて飛び出す。
「ヒノヤコマ、躱して火炎弾!」
ヒノヤコマは素早くそれを躱そうとするが、ニドリーノがヒノヤコマの動きに合わせて正確に軌道を変え、ヒノヤコマを角で突き飛ばした。
「スマートホーンは必中技なんだ。いくら避けようとしても、この技は避けられないぞ」
つまり、どれだけスピードを上げてもスマートホーンを躱すことは出来ない。
「さあニドリーノ、もう一度スマートホーン!」
再び角を構えてニドリーノはヒノヤコマに狙いを定め、突撃する。
しかし、
「それならヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
それに対して、ヒノヤコマは炎を纏いながら突撃していく。
ニドリーノの角とヒノヤコマの突進が再び激突するが、
「なっ!? ニドリーノ!」
今度はヒノヤコマが打ち勝ち、ニドリーノを吹き飛ばした。
ヒノヤコマは加速して勢いが強く、さらにニドリーノの使ったスマートホーンは鋼技のため炎には弱いのだ。
「いいぞヒノヤコマ、アクロバット!」
一気に加速してヒノヤコマはニドリーノに追いつき、吹き飛ぶニドリーノへ翼を振り下ろし、ニドリーノを床に叩きつけた。
「火炎弾!」
床に叩きつけられたニドリーノへ、ヒノヤコマは無数の炎の弾を噴き出す。
「っ、ニドリーノ、躱せ!」
何とか起き上がるニドリーノだったが、炎の弾を躱す余裕はなく、無数の炎弾を打ち付けられる。
「ニドリーノ!」
炎が消えた時、ニドリーノは体を黒く焦がし、戦闘不能となっていた。

「ニドリーノ、戦闘不能! ヒノヤコマの勝ち! 勝者、ハル選手!」