二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第45話 本戦 ( No.97 )
日時: 2016/12/20 11:04
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「ワルビル、シャドークロー!」
ワルビルが腕に纏った影の爪を振るい、眼のような形をした触覚を持つ虫ポケモンを薙ぎ払う。

『information
 アメモース 目玉ポケモン
 四枚の小さな翅で上下前後左右
 自由に飛び回ることが出来る。
 触覚の目玉模様で敵を威嚇する。』

切り裂かれたアメモースはそのまま床に倒れ、戦闘不能となった。
ハダレタウン大会の予選リーグは三、又は四人一組の総当たり戦で、その中で一位となった者のみが本戦に出場できる。
そしてハルはたった今、二戦目を勝利で終えてきたところだ。
予選を終え、ロビーへと戻るハル。先に予選を終えた選手たちが、他にも続々と戻ってきていた。
二勝したので予選突破は確実だが、サヤナたちの結果が気になる。予選結果はターミナルに表示され、その後ロビーの画面にも予選通過者が表示される。
やがて、予選がすべて終わったのか、ターミナルから通知音が響き、通過者の名前が表示される。
「おぉハル君、予選突破したんだね」
すぐ近くから声を掛けられる。声の主は、近くにいたスグリだ。
「スグリ君! お互い予選突破できたね!」
「まぁ予選くらいらくしょーよ。ハル君かサヤナちゃんと決勝で会う約束してんだからさ」
そう返し、スグリはニヤッと笑う。
ターミナルの画面には、見慣れた名前が他にも並んでいた。
サヤナ、エストレ、そしてミオ。
そして、ロビーに設置された大画面に、本戦のトーナメントが表示される。
今回のトーナメントはシャッフルがないため、二回戦以降に戦う相手もある程度分析することができるのだ。
「僕はトーナメントの右側か……」
「オレは左側だ。サヤナちゃんもこっちだから、準決勝でサヤナちゃんに勝って、決勝でハル君に勝って優勝かな」
ハルとスグリがトーナメント表を見る。ミオはハルと同じ右側だ。お互いが勝ち進めば三回戦、つまり準決勝でぶつかる。
ちなみに、ハルの一回戦は以前の大会でも戦ったリオンという少女。。
そして、エストレが、
「スグリ君の相手、エストレさんだ」
「ああ——ハッサムを持ってたあのトレーナーね。当たりたい相手じゃないなんて言ってたら、一回戦から当たるなんて、ついてないな」
口ではそう言いながらも、スグリの表情は余裕を浮かべたままだ。
そして、顔写真で一際異彩を放つトレーナーが一人。
「なんだこの人、見たことない……名前は、ロー……?」
顔写真しか写っていないが、既に他の選手とは雰囲気が違う。
黒いまん丸の目に裂けたような黒い口が描かれた真っ白な仮面が、不気味さを放っている。
「変な仮面つけてるけど、ヒール役なのか、それともエンターテイナーか。二回戦でサヤナちゃんと当たるみたいだね」
ともあれ、一日目は予選で終了。
無事予選を突破し、明日は、いよいよ本戦だ。



『さあ、間も無く始まります、ハダレタウンバトル大会レギュラーカップ! 出場選手のバッジは四個から五個! 実況は私、テレビコトブキのアナウンサー、タロットが務めさせていただきます!』
本選当日。
タロットと名乗った若い女性アナウンサーが、テンションを上げて大会開始を告げる。
『今回は私がマイク一本で盛り上げていきますので、皆さんも盛り上がってまいりましょう! さあ、それではいよいよ! ハダレ大会レギュラーカップ、第一回戦の開幕です!』
アナウンサーの声に合わせて、会場からも歓声が上がる。
『それでは、選手の入場です! 一回戦第一試合! ハル選手とリオン選手の入場です!』
控え室を立ち、ハルはバトルフィールドに立つ。対戦相手のトレーナー、金髪のツインテールの少女リオンは、カザハナシティバトル大会でも一回戦で当たった相手だ。
「久しぶりだね。今度こそ私が勝つよ! お願い、モルフォン!」
「よろしくお願いします! 頼んだ、ヒノヤコマ!」
ハルが選んだポケモンはヒノヤコマ。
対するリオンのポケモンは、薄紫の巨大な蛾のようなポケモン。バタバタと翅を羽ばたかせ、鱗粉をばら撒いている。

『information
 モルフォン 毒蛾ポケモン
 夜になると目を覚まし動き出す。
 翅の鱗粉は色が濃いと毒を与え
 薄い色のものは相手を痺れさせる。』

コンパンの進化した姿、モルフォンだ。以前のコンパンが進化したのだろう。
「行くよ! ヒノヤコマ、まずは疾風突き!」
嘴を突き出し、ヒノヤコマが速攻の突撃を仕掛ける。
目にも留まらぬ速度でモルフォンの腹部へと突っ込み、嘴で突き飛ばす。
しかし、
「モルフォン、受け止めて!」
ヒノヤコマの嘴の一撃を受けた瞬間、モルフォンが脚を一斉に動かし、ヒノヤコマを捕まえる。
「毒々の牙!」
動きを止めたヒノヤコマへ、モルフォンは猛毒を帯びた牙を突き刺し毒を送り込み、そのまま投げ飛ばした。
「ヒノヤコマ! 大丈夫!?」
幸い毒状態にはならなかったようで、ヒノヤコマはすぐに飛び上がり、力強く鳴く。
「なら、これならどうだ! ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
ヒノヤコマがその身に炎を纏い、炎弾の如く飛び出す。
「モルフォン、銀色の風!」
流石に炎を纏ったヒノヤコマを受け止めようとはせず、モルフォンは翅を羽ばたかせて銀色の鱗粉を乗せた風を吹かせる。
鱗粉の乗った風が、ヒノヤコマを覆う炎を吹き消すと、
「毒々の牙!」
牙から猛毒を滴らせ、ヒノヤコマへ飛びかかる。
「っ、ヒノヤコマ、火炎弾!」
対してヒノヤコマは口から無数の火の弾を噴き出す。
迎え撃とうとするモルフォンだが、小さい口で全ての炎を食い破ることは出来ず、残った炎の弾を受けてしまう。
「ヒノヤコマ、続けてニトロチャージ!」
「やるね……っ、モルフォン、サイコショット!」
ヒノヤコマが再び炎を纏って、モルフォンへと突っ込んでいく。
体勢を立て直したモルフォンはサイコパワーを溜め込み、向かってくるヒノヤコマへ念力の弾を放つ。
「ヒノヤコマ、躱して!」
高速で突っ込むヒノヤコマは、その軌道を変えて念力の弾を躱してそのまま突撃、今度はモルフォンを突き飛ばした。
「いいぞヒノヤコマ、続けてアクロバット!」
ニトロチャージの追加効果により、素早さが上がる。
さらに加速しながら、ヒノヤコマは軽快な動きで一気にモルフォンとの距離を詰めていく。
「モルフォン、銀色の風……っ!」
咄嗟に鱗粉を乗せた風を起こすモルフォンだが、
「っ、速い……!」
既にヒノヤコマはモルフォンの背後まで回り込んでいる。
そのまま翼を振り下ろして叩きつけ、モルフォンを床へと叩き落とす。