二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第46話 好カード ( No.98 )
日時: 2016/12/21 09:47
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: 一回戦最終試合は、名勝負の予感——!

ヒノヤコマの翼の一撃を叩きつけられ、モルフォンが地面に落とされる。
「まだよ! モルフォン、サイコショット!」
地面に落ちたままだが、モルフォンはサイコパワーを集めた念力の弾を真上に放出する。
しかし、
「ヒノヤコマ、躱してニトロチャージ!」
炎を纏い、ヒノヤコマは念弾を躱すとそのまま急降下攻撃を仕掛ける。
モルフォンに激突し、爆発と共にモルフォンを床へとめり込ませた。
「モルフォン!」
爆煙が晴れた時には、モルフォンは体を焦がし、目を回して戦闘不能になっていた。
『決まったぁぁ! ハル選手のヒノヤコマ、相性で有利なモルフォン相手に終始有利に立ち回り、スピードで圧倒! ハル選手、二回戦進出でぇす!』
女性アナウンサーの声が響き渡り、会場に歓声が湧く。
「よし、一回戦突破……ヒノヤコマ、お疲れ様」
腕に留まったヒノヤコマの嘴を撫で、ボールへと戻すと、ハルはバトルフィールドを後にする。



ハルの試合の何試合か後、ミオも難なく一回戦を突破。
さらに、サヤナも危なげなく一回戦を突破した。
そして。
一回戦最後の試合にして、今大会注目の選手同士が初っ端から戦う好カード。
『さぁ! 一回戦最後の試合が、間も無く始まります! 第一回戦、最終試合! スグリ選手とエストレ選手の入場です!』
アナウンサーが名を告げると同時、会場が大きく湧き上がる。
それもそのはず、
『今大会注目の一戦! 両選手とも、別の大会で数回の優勝経験を持つ実力派! この二人が当たる場としては、一回戦のこの場は、あまりにもはやすぎやしないだろうか!?』
この二人、別の街の大会でも何度か優勝しているのだ。
優勝候補同士が一回戦から激突。観客にとっては注目の一戦になること間違いなしだ。
「いやぁ、まさか一回戦から優勝候補とあたるなんてさ。まぁいずれどこかで当たると考えたら、早めに勝っておくに越したことはないね」
「あら、随分と余裕だわね。ま、その意見には私も同感だけど。貴方に勝てば、ここから先が楽になりますわ」
お互いに軽く挑発を挟んだ後、同時にポケモンを繰り出す。
「出てこい、エレザード!」
「行ってきなさい、ボーマンダ!」
スグリのポケモンは、細身の体に襟巻を持つ二足歩行のトカゲのようなポケモン。
対するエストレのポケモンは、巨大な赤い翼を持つ、頑強な体つきの青いドラゴンポケモン。地に足をつけ、どっしりと構えている。
どちらも、ハルが初めて見るポケモンだ。

『information
 エレザード 発電ポケモン
 100mを5秒で走り抜く脚力を
 持つ。砂漠に生息するが湿地でも
 生きられるほど適応能力が高い。』

『information
 ボーマンダ ドラゴンポケモン
 気性が荒く怒ると周囲へ見境なく
 炎を吹き出し暴れ回る。熟練者でも
 手なづけるのはかなり難しい。』

エレザードは電気とノーマルタイプ、ボーマンダはコモルーの進化系でドラゴンと飛行タイプだ。
「あれ、ボーマンダで来たかぁ。てっきりハッサムで来ると思ってたんだけど」
「ハッサムを重く見て鋼技の通りが悪いフローゼルを予想していたけど、電気タイプのエレザードも持っていましたのね」
どうやらお互いに読みが外れたようだが、ともあれ、二人のポケモンは出揃った。
「それじゃあ始めますか! エレザード、まずは十万ボルト!」
いよいよバトルが始まる。
いち早くエレザードが動き出す。顔の周りに襟巻を広げて電気を作り出し、高電圧の強力な電撃を放つ。
「ボーマンダ、大文字!」
対するボーマンダはその場から動かず、大きく息を吸い込み、大の字型の巨大な炎の弾を噴き出す。
炎の弾が電撃を押していくも、エレザードまでは届かず、やがてお互いの技は打ち消される。
「攻撃力じゃ負けてるな……だったら」
ボーマンダの攻撃力を確認すると、スグリは次の手に出る。
「スピードで勝負だ! エレザード!」
エレザードの後ろ足の筋肉が、一瞬膨張する。
筋肉を電撃で刺激し、次の瞬間、エレザードは地を蹴って飛び出し、恐ろしいほどのスピードで一瞬のうちにボーマンダのすぐ横を駆け抜けていく。
「何てスピード……! ボーマンダ、気をつけて……!」
「今だエレザード、ドラゴンテール!」
素早さで撹乱し、ボーマンダがエレザードの位置を見失ったその隙を突き、エレザードは龍の力を帯びた尻尾を勢いよくボーマンダへ叩きつける。
「っ、ボーマンダ、飛びなさい!」
ボーマンダもなかなか硬い。エレザードの攻撃を受けても怯まず、大きな翼を羽ばたかせ、宙へと舞い上がる。
「ボーマンダ、ドラゴンクロー!」
前足の爪に龍の波動を纏わせて輝く爪を作り出し、ボーマンダは翼を一振りさせて飛び出し、エレザード目掛けて光の爪を振るう。
「遅い遅い! エレザード、悪の波動!」
対してエレザードは地面を蹴って横っ跳びし、ボーマンダの斬撃を躱しつつ、悪意に満ちた闇の波動を撃ち出す。
「それはどうしから? 大文字!」
しかしそれを予測していたのか、ボーマンダはエレザードの位置を捉え、すぐさま大の字型の炎を撃ち出す。
炎の弾が悪の波動を打ち破り、その奥のエレザードを捉えた。
「そう簡単に隙は作らないわよ。私を倒すというのなら、その程度の実力ではないでしょう? もっと本気を見せてくださいな!」
「へっ、上等だ。エレザード、炎のパンチ!」
刹那、煙の中から猛スピードでエレザードが飛び出す。
一気にボーマンダの眼前まで迫ると、炎を灯した腕を振り上げ、ボーマンダの顎にアッパーカットを叩き込み、
「続けてドラゴンテール!」
「食い止めなさい! 噛み砕く!」
さらに龍の力を帯びた尻尾を振るい、対してボーマンダは大口を開き、頑丈な牙でエレザードの尻尾を受け止める。
「十万ボルト!」
「大文字!」
エレザードの尻尾から電撃が放出されるのと、ボーマンダが口から炎を噴き出すのはほぼ同時だった。
電撃を受けてボーマンダの体がぐらりと傾き、炎の弾の直撃を食らったエレザードは大きく吹き飛ばされる。
「くっ……なかなかやるじゃないの。ボーマンダ、まだ行けますわよね」
「そっちこそね……エレザード、こっからが本番だぞ」
砂煙の中から唸り声をあげてボーマンダが首を上げ、エレザードはゆっくりと立ち上がると首を振って体勢を整える。
「ボーマンダ、大文字!」
ボーマンダが赤い翼を広げて飛び上がり、首を下げながら床と平行に巨大な大の字型の炎の弾を飛ばす。
「エレザード、躱して十万ボルト!」
後ろに下がって躱せないとなれば、エレザードは地面を蹴って大きく横に飛び、炎を躱すと、間髪入れずに襟巻を開いて高電圧の強力な電撃を放つ。
「ボーマンダ、ドラゴンクローで防いで!」
空中のボーマンダは前足に龍の力を纏い光の爪を作り上げ、それを振るって電撃を撃ち破る。
お互いの強力なエネルギーを持った一撃は激しくぶつかった末、力の行き所を失い、爆発を起こす。