二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 新たな始まり。(ポケモンサンムーン、二年半後の物語) ( No.6 )
日時: 2017/01/18 04:46
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU (ID: O/vit.nk)

「にしても、すっごい嵐だ って......あそこに居るのは」

 ククイ博士は雷が落ちたポイントに向かいながら、前方に見知った人物らしい影が見えたが確信はないためか半信半疑で近寄る

「ハラさん!ハラさんも、雷が落ちた現場......テンカラットヒルに向かわれるところですか?」

 近寄ってみれば、自分がよく知っている人物、このメレメレ島の島キングであるハラの姿があった。ククイ博士は嵐で飛ばされないように片手で帽子を押さえつつも、欠き消されないように大きな声で言う

「む、ククイか......タメ口で構わないですぞ それに次期島キングはハウになる予定ですからな」

 ハラーー先程ハウと話していたおじいちゃんはハラと云う名らしく、ククイ博士に気付くと同時にククイ博士の方を振り返ると、静かにだが、追い風のお陰かはっきりとした声がククイ博士の耳に届いた

 ハラは、一度口を閉ざすとしっかりククイ博士と向き合う形になれば、再び口を開け

「......ワシはハウが自分を認めるようになれたらすぐに降りる しかも、すでにカプ・コケコの承諾済み......まあ、まだワシが島キングじゃからな、島の問題は解決するのが務め、無論、向かう ククイもですかな?」

 何処と無く遠くを見つめるような眼差しで言いながら、ククイ博士の問いに肯定すると恐らく同じ場所へ赴くであろうククイ博士に確認するかのように聞く

「ははっ、悪い悪い けど、そういうハラさんもじゃないか 嗚呼、勿論だ!リリーエが来た時と感じが似ててまあ、リリーエは浜辺だったけどな.....それにポケモン連れて行っちゃ駄目だって警告がしてな......アローラ地方の生態系が乱れる気がして......居てもたっても居られなくなって見に来た訳さ」

 ハラが最初に言った言葉に一瞬だけキョトンとしたククイ博士だったが、子供のように無邪気さがある笑みをして帽子を取って後頭部を掻きながら、ハラの言葉に大きく頷いて此処に来た経緯を説明する

「.....ついさっきまでハウと話しておったからその流れですぞ 孫のハウが、この口調の時に泣いた日がありましたからな......ふむ、ククイの言った通りかも知れませんな......ともかく現場に向かいますぞ」

 ククイ博士の最初の指摘に軽く咳払いをし、言い訳じみた事を言った後、本来の目的であるテンカラットヒルがある方を見てククイ博士に告げると返事を待たずして歩き始める

 ククイ博士はそんなハラを見て明らかにやってしまったと云うようにあちゃーぁと帽子を持っている手で頭を軽く掻いてから後を追うようにハラに付いていく

 ーーテンカラットヒル、ククイ博士の研究所から西側に歩いて約25分程で着く距離にあって草むらの奥に入り口があり、地元の人或いは島巡りした(している)者しか入れないメレメレ島南・メレメレ海岸に突き出ている形で聳える山の事だ。普段は入り口前にはポケモンの技でしか壊せない岩が外部からの侵入を拒むように塞がっている

 だが、今日はこの嵐のせいか道を塞いでいるはずの岩がなく二人が来るのを歓迎するかのように風が追い風になり、中へと急かすように雷鳴が轟き、背後で幾多の雷が落ちる

 ククイ博士が相棒にも近いイワンコに告げたように、この嵐はポケモンの仕業であることは明らかなようで何処と無く意図が感じる。それは先程から雷雨が伴っている嵐は風や雨は当たってくるものの威力良くて突風やビル風程度、周りは土砂降りなはずが二人を濡らすのは小雨と云う奇妙な事が起きているためだ


 ククイ博士、いやハウが人に害が無さそうに見えたのはこのせいかもしれないがもしククイ博士の勘が当たっているとなれば、イワンコやハラが持つポケモンは今ごろ居なくなっていただろうが幸いにもハラはポケモンは連れて来ていなくポケモンが入ったり出てきたりするモンスターボールを持ってきていないためそんな事態にはならないが

 問題は......そうこの嵐を引き起こしているポケモンだ。ククイ博士が言うように、リリーエという少女が倒れていたその前日にもだが、ククイ博士とハラはもう二つ心当たりがあった

 それは今から約10年以上前と今から半年前の嵐と似通っていることだったが、それらは現チャンピオンである少年が解決しているためと守り神であるポケモンが姿を現さないためハラとククイ博士はその可能性を無意識に消去していた

 その可能性は空間の裂け目、別の世界に繋がる裂け目が出てきた際に引き起こる現象だった。その現象いや、空間の裂け目をウルトラホールと呼び、そこから出てきたポケモンのことをウルトラビースト呼んでいた

 ウルトラホールは未だ解明していない未知なる領域、別世界があるとされている。ウルトラホールから現れたポケモンを何故ウルトラビーストと呼ぶのか、それはポケットサイズのカプセル型のボールであるモンスターボールに入らないからだった

 様々な能力を持つ生き物ーポケモンと呼ばれる。そもそもの由来は手のひらサイズのボールで捕獲ゲット出来ること差しており、ウルトラビーストは作られていた様々な種類のモンスターボールで捕獲することが出来ないのでウルトラビーストと呼ばれることになっていた

 この島には伝承にも空間の裂け目に関して書かれているほど、ウルトラホールが実現する確率が高いが、その殆どが嵐を引き起こすほどの威力はなくウルトラホールを間近に見たものはあまり居なく未だに解明されていない

Re: 新たな始まり。(ポケモンサンムーン、二年半後の物語) ( No.7 )
日時: 2017/01/24 04:09
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU (ID: KRYGERxe)

  ウルトラホールが開く度にポケモンが迷い込むようなこともあるととある書物には書いてあった。実際、アローラ地方では生息地を持たない個体が見つかるケースが1週間に一回のペースで見付かっていてウルトラホールに引き込まれ、辿り着くのがアローラ地方だとされている。ククイ博士自身はポケモンの技を研究しているが、仮にも博士と云う括りなためか技の知識以外にも研究しているため、ウルトラホールに関する書物、文献は一通り目を通している

 テンカラットヒルには空洞がぽっかり開いている場所があり、そこから最深部に行ける最短ルートがある。ぽっかり開いている空洞がなかったら山を登るのは困難を極めていた、自然に出来た獣道しかなく森というには岩山に近く囲うように木々、最深......山の中心に木々があるだけで森と云うには少しばかり緑が少ないようにも見えた

 ククイ博士とハラは最短ルートである空洞の中へと入り、周囲を警戒するように慎重に歩みを進めていく

 空洞の中にもこの世界の生き物であるポケモンが生息しているはずで、何時もならば人が入ってきた時点で縄張りを荒らさせまいと襲いかかるポケモン、人懐っこいポケモンが姿を現すが、外が荒れ狂っているためかポケモンに出くわさなかった

 いや、それどころか人の様子を伺うポケモン、一目散に逃げるポケモンも見当たらなかったが、幸いにも身を潜めているポケモンは居るようで、姿は見えずとも気配は感じとった二人は少なからず安心してたが、ポケモンは何処と無く息を殺しているような幽かな気配しか感じ取れず音を立てないようにしているのか空洞内は静寂に包まれている

 ククイ博士とハラの足音と呼吸以外の音しか聞こえない静けさなためか、ハラは立ち止まり。考え込むような仕草をした後、口を開くと

「......ククイよ、ワシは此処のポケモンたちを見ているので、最深部に行って頂けますかな?」

 姿は見えずともポケモンたちが自分たちじゃない何かに怯えて息を殺しているのが分かったハラは、静かにそれでいて回りに居るポケモンを安心させるような声でククイ博士に伝える

「え...嗚呼、了解だ それじゃハラさん、ポケモンたちを頼みます」

 てっきり最深部に行くと思っていたためか、瞬きを数回して意外そうな声を出してから、ハラの言葉に頷き、ハラに此処のポケモンを任せる形で最深部に向かった

「さてと、そこに居るのは分かっていますぞ カプ・コケコ......先程の雷いや、放電はそなた......嵐や雨は彼方からの客ですかな?」

 ククイ博士の姿が見えなくなった所で、斜め上を見て温厚な口調のまま、メレメレ島の守り神であるカプ・コケコに問い掛ける

 勿論、ポケモンの声は技か特性であるテレパシーがない限りは普通の人には聞こえないが、人の気持ちが通じること、互いに心を通わせることで稀に聞こえることがある。ポケモンにも、人と喋りたいと云う気持ちがあり、特訓をすれば喋れる例も稀にあるらしく、ハラも昔見たことがあった

「どんな状況であれ他のポケモンを怯えさせるのはよくありませんな、カプ・コケコ......ワシも助太刀致しますぞ」

 ウルトラビーストが迷い込んだ時とは違い、見たことがあるポケモンだったが何やら何処か様子がおかしいのが分かったハラは糸目がちな瞼を少し開き、原因を見極めようとしているのか睨むような眼差しで見据えて構える

 ハラが構えたのを合図としたのか、ハラの前方に移動したカプ・コケコと呼ばれたポケモンは鶏冠のような先が黄色で全体がオレンジの鬣にとちがみポケモンらしい模様が描かれている黄色の卵形を二つに割ったような甲羅と同化した手、下はオレンジの民族衣装のようになっていて腕には黄色いリングをつけている見た目も好戦的だが気まぐれで勝負が好きなメレメレ島の守り神とされている

 そして、向かい合う形で降りたったポケモンはアーロラ地方には生息していないポケモンだ。カプ・コケコとそのポケモンは同時に自らの能力と気持ちを高めるように高らかと鳴く

 カプ・コケコとそのポケモンの勝負が始まろうとした時、ハラはもう1つの影を捉えすぐさま声を掛けようとするが、捉えた影もハラの視線に気付いたようで

「くくっ...あーあ、此処から出りゃバレねえと思ったのによりにもよって、人に出くわすなんてな!ついてねえ、全くもってついてねえよ!くははっ」

 そのポケモンの後ろに降りたった両手をズボンのポケットに突っ込みながら近寄るダークブラウンの髪をした猫背でがらの悪い青年が自分自身を嘲笑うかのようにくつくつと笑いながらわざとらしくハラに聞こえるような声で何処か楽しげに言う

 青年の笑い声に同調するように、そのポケモンも笑い始める。挑発するような見下した笑みを浮かべており、青年以外の全てのものに敵意を持つかのように鋭い眼差しをしたままカプ・コケコ、ハラを睨んでいた

「まあ、見られちまったからなあ......特別にダークポケモンの凄さ、見せようじゃねえか!せいぜい目に焼き付けておけよ、じじい!最初の目撃者として盛大に歓迎しとくぜ!」

 やれやれと云うように首を左右に振り、あからさまに小馬鹿にするような笑みを浮かべてわざとらしくしょうがねえ、しょうがねえと二回ほど聞こえるような大きさで繰り返してから青年は今出ているポケモンに加えてもう二体、モンスターボールから同時に投げるように繰り出した