二次創作小説(映像)※倉庫ログ

7話 初対人戦 ( No.8 )
日時: 2017/01/03 20:13
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: U7ARsfaj)

 互いにフィールドを挟んで向かい側に立ち、それぞれボールを握る。
 先にポケモンを繰り出したのは、イオンだ。
「よーし。じゃ、オレからポケモン出すよ。行くよ、キモリ!」
 イオンの一番手は、グリーンカラーのトカゲのようなポケモンだ。

『Information
 キモリ 森トカゲポケモン
 足の裏に棘があるので壁を垂直に
 登ることができる。木の枝や花
 などを咥えてると力が出るらしい。』

 図鑑によると、キモリというポケモンらしい。しかしイオンのキモリは図鑑にあるような木の枝や花は咥えていない。
「えーっと、しゃあ僕は——」
 今回のバトルはポケモンに経験を積ませるためなので、まだ戦闘経験の少ないポケモンをバトルに出したい。となると、
「——ミズゴロウ、出て来て」
 フィアの初手は、ミズゴロウだった。
「え……?」
 そのチョイスに対し、イオンは驚いたような表情をする。
「草タイプのキモリに対して水タイプのミズゴロウって……なにかの作戦? オレを誘ってる?」
「……? タイプ?」
 フィアが首を傾げるとイオンは、あーと納得したような声を出す。
「フィア君、まだ初心者なのかー。えーっと、タイプっていうのはポケモンバトルで重要な要素で、このタイプによって有利に戦えたり不利に戦えたりするんだよ。例えば、草タイプは水タイプに弱く、炎タイプは水タイプに弱く、水タイプは草タイプに弱い、みたいにねー。攻撃側のタイプが受ける側のタイプの弱点を突くと、ダメージが跳ね上がるんだ。逆に、苦手なタイプで攻撃したら、ダメージは落ちる。基本だよ?」
「そ、そうなんだ……」
 つまりキモリは草タイプで、ミズゴロウは水タイプ。相性ではミズゴロウが不利なのだ。
「P・ターミナルでも調べられるから、あとで見てみれば? あと、ここのジムリーダーはタイプの相性分かってないと、倒すの難しいんだよー」
「え? イオン君、この街のジムリーダー倒したの?」
「んー、いーやー? 話に聞いてるだけなんだよねー。ま、オレ天才だし、よゆーでサクっと倒す予定だけど!」
 気の抜けた感じだが自慢げなイオン。しかしジム戦前に有益な情報を得ることが出来た。どうやらシュンセイジムのジムリーダーは、タイプ相性を重視しているようだ。
「ま、とりあえず始めようか。キモリ、タネマシンガン!」
 最初に動いたのはキモリだ。キモリは口から無数の種を発射し、ミズゴロウを攻撃。
 草タイプは、攻防共に水タイプに強い。タネマシンガンは草タイプの技。水タイプのミズゴロウには効果抜群なので、ダメージは大きい。
「ミズゴロウ、反撃だよ。水鉄砲!」
 ミズゴロウも負けじと水流を発射するが、こちらは対照的に、キモリへのダメージは少ない。
「そのくらいじゃ効かないねー! キモリ、電光石火!」
 水鉄砲を受けきったキモリが高速で突っ込み、ミズゴロウを攻撃。今度は弱点を突かれなかったので、ダメージはさっきより大きくない。
「ミズゴロウ、体当たりだ!」
「遅いって! アクロバット!」
 ミズゴロウはキモリに向かって体当たりをしようとするが、キモリは俊敏に動き回り、ミズゴロウを尻尾で攻撃する。かなりすばしっこい。
「だったら、泥かけ!」
 視界を悪くさせようと、ミズゴロウは地面を蹴って泥を飛ばす。しかし、
「当たんない当たんない! 電光石火!」
 キモリは既に攻撃に移っており、ミズゴロウは弾き飛ばされてしまう。
「どんどん行くよー、キモリ。アクロバットだ!」
 瞬時にキモリはミズゴロウの背後に回ると、尻尾を叩きつけてミズゴロウを攻撃。さらにキモリの猛攻は止まらず、
「ローキック!」
 今度はミズゴロウの足を払って転ばせ、ダメージを与える。さらに、体勢も崩されてしまった。
「アクロバット!」
 休む間もなくキモリは攻撃を続け、ミズゴロウを押し飛ばした。
 これほどのスピードで攻撃できるキモリも凄いが、そのキモリの猛攻を耐えているミズゴロウの耐久力も相当なものだった。しかしそれももうすぐ限界、ミズゴロウの体力は残り僅かだ。
「うぅ……全然攻撃できない。ミズゴロウ、岩砕き!」
 岩を砕く勢いで突っ込むミズゴロウだが、単調な攻撃では簡単にキモリに躱されてしまい、隙を作るだけだった。
「とどめ! キモリ、タネマシンガンだ!」
 キモリは無数の種を発射してミズゴロウを攻撃。その弱点を突く連撃で、ミズゴロウはその場に倒れ込んだ。
「あ……ミズゴロウ!」
 ミズゴロウは完全に目を回しており、もう戦える状態ではない。戦闘不能だ。
「ありがとう、ミズゴロウ。戻って休んで」
 フィアはミズゴロウをボールに戻す。結局、キモリは効果いまひとつの水鉄砲一発しかダメージを与えられなかった。
「あと一体か……今度は相性も大丈夫なはず。出て来て、イーブイ!」
 フィアの二体目はイーブイだ。
「へー、ノーマルタイプかー。でもキモリは格闘タイプ技のローキックがあるから、こっちの方が有利って感じ? キモリ、ローキック!」
 キモリは相変わらずのスピードでイーブイに接近し、足払いを仕掛けるが、
「イーブイ、躱して目覚めるパワーだ!」
 イーブイはジャンプしてけたぐりを躱すと、赤い球体を発射する。球体はキモリに直撃すると、メラメラと燃え上がった。
「えっ? キモリ!」
 キモリはその一撃で戦闘不能。スピードはあっても耐久力は低いようだ。
「あっちゃー、炎タイプの目覚めるパワーかー……戻れ、キモリ」
 イオンはキモリを戻し、次のボールを手に取る。これでお互い、ポケモンは一体ずつだ。
「よーし。そんじゃ、次行ってみますかー」
 そして、イオンの次のポケモンが繰り出される——



あとがき。そういえば前回、あとがきでイオンについてまったく触れていませんでしたね。ごめんねイオン君。リメイク作品なので、なんか勝手にイオンのことはわかっているみたいに思い込んでいましたが、リメイク前の執筆時期も考えると、普通に新規の読者の方が多いはずなのに。とんだ失態でした。申し訳ない。