二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: キャラクター達は世界を救うために駆けるようです ( No.1 )
- 日時: 2017/01/13 23:19
- 名前: カネゴン (ID: ugLLkdYi)
———序章 『???』の世界———
「ハァ、ハァ...」
辺りに人の気配はない........、それどころか生き物の痕跡というものが確認できない
在るのは瓦礫の山と化した建造物ばかりだ。そしてそれらの大半は業火に包まれ燃え盛っている。
埃の臭い、火の臭い、溶け出した鉄の臭い...、いずれにしても人にとっては害にしかならない臭いが辺りを漂っている
そんなゴーストタウンで、一人の少年が必死に歩を進めている
「ハァ...、くそっ...!」
少年は息切れするほどに走っていた
必死に、何かから逃れようとするように走っていた
それもそのハズである、彼はただ走っているのではない。逃げているのだ
正体不明の何者かから、自分を生い立てるカゲのような者から
「どうしてこんなことに......!」
少年にとってこの瓦礫と炎の街は見知らぬ地だ
少年は突然この街で目覚め、そして命を狙われているのだ
何もかも分からないまま、突如として自分を殺そうとする者達に追われる...
それほどの恐怖が今、この少年に襲いかかっていた
「うっ...ぐっ...、ハァ...」
ぐちゅり、と
何か嫌な感触がする物を踏みつけたが、少年はそれに目もくれず走り続けた
きっと踏みつけたソレを見てしまえばずっと立ち止まってしまうから、少年は走り続けることを選んだ
「ここは何処なんだ...!」
少年は叫んだ
それは誰への問いかけでもなく、この恐怖を打ち払うために咄嗟に叫んだに過ぎなかった
「僕はどうして、こんな所にいるんだ...!?」
少年は再び叫んだ
それは誰への問いかけでもなく、心を完全に覆わんとする恐怖と絶望を振りほどかんがために叫んだに過ぎなかった
「どうしてこんなことに......!!」
少年は三度叫んだ
それは誰への問いかけでもなく、彼の発した言葉は虚しく宙を切るだけだった
「僕は.........」
少年は叫ぼうとした
しかし燃え盛っている炎による煙に喉をやられ、上手く叫ぶことはできなかった
「僕は.............!」
少年は今度こそ叫んだ
「僕は誰なんだ...........!?」
少年のその叫びは他の何者でもない、自分自身への問いかけだった
しかしその叫びは誰にも届かない、誰もその叫びへは答えない
少年はただ走り続けていた
このゴーストタウンから抜け出すために
自身の命を狙うカゲ達から逃げるために
自分自身が何者なのか、その答えを探すために——————