二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【東方project/短編集】本当は怖い幻想郷【アリス編】 ( No.9 )
- 日時: 2017/02/08 19:55
- 名前: 名無しの図書館 (ID: 2QWuZ1bi)
空気に溶け込み、透き通るような色をしたカーテンがゆらゆら動いている。
カーテンの隙間から射し込むは、暖かい陽の光の雨。
私はそれを、遠くから自我を失ったように、ジーっと、ボォォっと見ていた。
「.........おはよう」
目を覚ます。
私は寝落ちしていたらしく、目の前に例の男の子がいた。
“おはよう”と声を掛けると、男の子はゆっくりと微笑み、首を少し傾げ、此方を見据える。
.......これらは全て、私の意図による動きだ。
私の指先から伸びている透明の細い糸は、男の子に繋がれている。
それにより、本来動く筈のない男の子が動くようになっているのだ。
ふふ、我ながら天才的な案ね。
「しかし....これでは、喋る事が出来ないわ..。声帯を操るなんて、流石の私でも無理だし...」
魔法を掛けるという案もあったが、“私が男の子から一定の距離を取ったあとはどうするのだろう”と
思い、魔法を掛けるのは止めた。
それに、糸で操るのも、距離や精度に限度があるし....。
声を出せないという事実は、適当な理由で誤魔化そうかしら。
●○●
「.....アリスさん。その子は..」
「..阿求」
阿求は私を見るやいなに、何かに怯えるように私を見つめた。
それから数秒後、阿求は何処か別の場所へと駆け出した。
恐らく、慧音や男の子の親を呼びに行ったのだろう。
..それにしても、周りが五月蝿い。
私の腕に収まっている男の子に吃驚やら恐怖やらで、騒がしくなっただけなのだろうが。
しばらくすると、顔も身も知らないが、親らしき二人と、慧音、妹紅、阿求がやって来た。
ただ、親らしき二人は私の事を知っているみたいで、私の名前を口に出していた。
親らしき二人は....多分、男の子の親だろうか?
「.......!!そいつは....」
「まさか、見つけてくれた....のか?」
慧音と妹紅が各々、口々に驚きの言葉を漏らす。
親らしき二人に至っては、再会を喜んでいるのか嗚咽を漏らしながら涙を流していた。