二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.29 )
日時: 2017/06/30 17:58
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>17 >>28



27・忘却の展覧会



旧地獄

家や店が多く立ち並ぶ商店街を歩くデデデ達。普段は賑やかなのだろうが、今では行き場を失った怨霊がふよふよと漂っているだけの不気味な空間と化している。濁った外観も相まってここは文字通り地獄と化していた。
次にデデデ達は大きな橋に差し掛かる。渡る者の途絶えた橋を渡ろうとすると、軋む音の他に助けを求める声がした。そこには裏返しになった額縁があった。デデデが恐る恐るひっくり返してみるとまるで『本物』のような絵画だった。

デデデ「おぉ、これはまた上手い絵だ………」
バンワド「大王様の肖像画も描いてもらいましょう!」
藍「瞳や肌の陰影もくっきりしてる……まるで本物みたいね。」

???「本物よ!!」

急に喋りだした絵画に驚いてデデデは手を離してしまった。慌てて絵画を立てると描かれた緑眼の女性は頭をさすっていた。よく見ると額縁には『Parsee』と彫られている。

パルスィ「よくも落っことしたわね……」
デデデ「す、すまん……まさか喋るとは思わなかった……」
バンワド「アドレーヌさんも来てるんですかね?」
藍「パルスィさん……と言いましたか、なぜ絵の中に?」
パルスィ「知らないわよ……地霊殿の方から不気味な煙が凄い勢いで下ってきて、気づいたらこうなってたわ。あのあと魔女みたいな人がやってきて絵画を取ってってたけど………私には見向きもしなかったわね………妬ましいわ!!」
デデデ「魔女……?おい、その魔女について詳しく聞かせてくれ!」
パルスィ「はぁ?んなこと言ったって………紫のローブを着込んでたことくらいしかわかんないわよ。」

デデデとバンワドは察した。全てを絵画にする力を持ち、紫のローブを着込み、自分を忘れた世界に復讐しようとする魔女、ドロシアを知っていたからだ。確かに元のドロシアの世界はかなり濁り不気味な色合いをしていた。今はまだ地底だけだが放っておくと幻想郷を絵画にしかねない。デデデ達は急いで地霊殿に向かった。

パルスィ「待って!せめてどこかに飾って!」






地霊殿

禍々しい空気を放つ大きな屋敷のエントランスにはここの住人であろう人々の絵画が飾ってあった。悲鳴、怒号、歓喜……展示場はある意味いつも通りの賑やかさだった。
ふとデデデは中央にある少女の像を見た。あどけない顔の下には第三の目とも言えるものがついている。像の表情は心なしか苦痛を訴えるように見えた。まるで抵抗する姿をそのまま固めたように……
像の近くには他とは違った絵画が飾ってあった。鬼や蜘蛛、桶や猫、烏と様々だ。デデデ達がそれを見ると、やはり絵画は動き出した。

お燐「あー!やっと人が来てくれたー!」
お空「うわーん!もうだめかと思ったよー!」
藍「と言うことは、あなた達も魔女に……」
勇儀「ああ、情けない話だよ。あたしがなんの抵抗も出来ずにやられちまうとはね………」
ヤマメ「動きづらいんだよこれー!早くなんとかしてー!」
キスメ「魔女を…………倒して…………そうすれば……さとり様もきっと…………!」
デデデ「さとりって………あの像のことか?フン、任せときな!」
お燐「ありがとう………魔女はあのおっきな額縁に入って行ったよ!」



大きな額縁の向こうはドロシアの世界だった。絵の具をゴシャゴシャにしたような色、無数に並ぶトゲの山、そしてケタケタと不気味に笑う絵画………ドロシアの世界は正に狂ったキャンパスそのものだった。橙はビクビクしながら藍の尻尾にくるまっている。

橙「こ、怖いよう…………藍しゃまぁ…………」
藍「大丈夫だよ橙。私がしっかり守ってあげるからね。」
デデデ「なぁバンワド………なんか前より酷くなってないか?」
バンワド「ですね………早くなんとかしないと………」

しばらく歩いているとどこからともなくキャンパスと筆が現れた。筆はキャンパスにトゲや爆弾を描くと煙のように消えてしまった。一瞬何が起きたかわからなかったデデデとバンワドだったがすぐに察知し藍と橙に叫んだ。

デデデ「マズい!おい皆、今すぐ走れ!トゲと爆弾が襲ってくるぞ!」
藍「何!?どういうこと!?」
バンワド「とにかく今は走って下さうわぁっ!?」

地面がボコボコと盛り上がったあと鋭く大きなトゲがデデデ達を突き刺そうとする。さらに空からパラシュートをつけた爆弾が落ちてくる。上と下、両方からの攻撃を避けながらデデデ達は逃げ続けた。

藍「な、なんでこんなことに………」
デデデ「バレたか……?でも近いはずだ、頑張れ!」

逃げた先に大きな扉がある。デデデはそれを思いっきり開けると広い空間に出た。そこは美術館の一室のようであり、様々な絵画が飾られていた。その部屋のまん中には絵の入っていない額縁があり、魔女はそこにたたずんでいた。

ドロシア「………本当は………私がこの額縁に入るはずだったのに………呪いだなんておかしな噂を信じこんで………しまわれて………忘れられて…………」
デデデ「やっぱりお前だったか………おい、気持ちはわかるが………」
ドロシア「いいえ、あなたにはわからないわ………だって、あなたを慕ってくれる人がいるんだもの………」
デデデ「………………」
ドロシア「あなたがなんと言おうと私の思いは変わらないわ。忘れられることがどんなに辛いことか、すぐにあなたもわかる日がくるわ。」
藍「どんな理由であれ、幻想郷に危機をもたらすのなら、倒さないわけにはいかないわね。」
橙「そ、そうです!怖い魔女さんは嫌いです!」

ドロシア「あなた達も参りましょう、忘却の果てに開かれる展覧会へ!」
デデデ「皆に愛されたかったらまず全部変えてこい!思いも服も、まとめて全部だ!」