二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.32 )
日時: 2017/07/19 12:42
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: CqswN94u)

frontstory >>09



29・十人の庭師と幽霊楽団



霧の湖

ネクロディアスによって体を10人に分断されてしまった妖夢は幽々子に後を任せる感じで逃げてきた。あらゆる能力が10等分されており妖夢1人だけでは簡単にやられてしまう。何も考えずにここまで逃げてきたが、辺りはキカイ化され酷い有り様だった。紅魔館でさえも不気味な工場と化している。妖夢はなんとかロボット兵に気づかれずに辺りを探索していると寂れた洋館を見つけた。倉庫として使われているのか使用用途がわからない機械が無造作に置いてあった。

妖夢4号「お、おばけとか出そうですよね………」
妖夢7号「ちょっと!怖いこと言わないで下さいよ!」
妖夢9号「そもそも私達も幽霊なんですがね………」
妖夢1号「10人いれば怖いものなしです!では行きましょうか。」



廃洋館

10人で力を合わせて開けた扉の先は驚くほど静かだった。外装とは裏腹に内装は割と綺麗に仕上がっている。つい最近まで誰かがここに住んでいたのだろうか…………妖夢達は身をよせあいながら洋館の奥へと進んでいった。
次に訪れたのはずいぶんと開けた場所だった。照明も器具も揃っており大きなホールを思わせる。ここの主は楽器をやっていたのだろうか。ホールの脇には小さな引き戸があり段ボールが山のように積み重なっている。出ようとすると突然ガタガタと段ボールが揺れた。

妖夢4号「ひゃあ!?」
妖夢6号「もしかして………お化け!?」

『誰かー!そこにいるのー?』
『変な人達に閉じ込められちゃったのよー、助けてー。』

どうやら段ボールの奥に閉じ込められているらしい。妖夢達は怯えながらも手分けして段ボールを動かした。重くて持てないものは皆で、邪魔にならないように移動はスムーズに。たとえ10人に分断されようと持ち前の器用さと判断力は劣ってはいなかった。
なんとか段ボールをどかすとその中にドカドカとあばれる段ボールがある。なんとか押さえつけてテープを剥がすと中にあったのはキーボード、トランペット、バイオリンの3つだった。楽器達はふよふよと浮きあがり妖夢の周りを漂い、本当の姿を表した。

リリカ「ありがとー!ずっとこのまましまわれちゃうのかと思ったよー!」
ルナサ「空気がおいしい……ありがとう。」
メルラン「あらあらー、ずいぶんと小さいわねー。」
妖夢1号「プリズムリバーさん方………もしかしてここってあなた方のホームなのですか?」

プリズムリバーとは幻想郷では話題のグループである。キーボード担当のリリカ、トライアル担当のメルラン、バイオリン担当のルナサ。性格も楽器もまるでバラバラだが奏でる音色は揃っており一級品。有名人である3人を前に妖夢は緊張していた。

メルラン「そうよー。練習してたらなんか外で騒ぎが起きてて……気がついたら変な人達が押しかけてきて私達を閉じ込めたのよもう!やんなっちゃうわ!」
ルナサ「あやうく弦が切れるところだった………なんなのよあの人達。」
妖夢1号「やはりここにも被害が………どうやら今回の敵はとてつもなく強大のようですね………」
リリカ「宇宙人ってホントにいるんだねー!」
メルラン「そうねー、ビックリねー。」
ルナサ「………あなた達はもう少し危機感を持って頂戴。」
リリカ「大丈夫だよ!私達がいれば無敵!」
メルラン「そうよルナサ姉。怖がることは何もないわー!」
ルナサ「はぁ………ごめんなさいね、いつもこうなの。」
妖夢1号「いえ………でも仲がよさそうで何よりです。」

意外な一面を垣間見た途端、乱暴な足音が響き渡る。

兵士1「お前ホントに見たのか?」
兵士2「ああ、ホントさ。全く隊長も心配性だよなぁ。こんなとこなんか来るやつなんていないってのに。」
ルナサ「あの人達………戻ってきたんだわ。」
メルラン「よーし、あの人達を驚かしちゃうわよー!」
リリカ「ちょうどよかった!あなた達も手伝って!」
妖夢1号「は、はい!」









兵士1「はぁ…………ん…………お、おい………マジかよ………」

兵士が見回りをしていると突然食器が浮いた。浮いた食器は兵士を囲みグルグルと回る。驚いた兵士は食器をかき分け相棒を探した。その相棒も食器に追いかけられたらしく2人して青い顔をしていた。

兵士1「おいおい………ここは幽霊屋敷か………?」
兵士2「に、逃げよう………そして応援を呼ぼう…………!」

『ダメよー、せっかくあなた達だけに贈るコンサートを用意したのに聞かないなんてもったいないわー。』

兵士達は見えない力によってホールへと運ばれた。そのホールには誰もおらず兵士達は真ん中に座らされた。そして脇からプリズムリバーが現れ演奏を開始する。
プロから発せられる音色は感情さえも左右する。音色に魅せられた兵士達は笑ったり泣いたりを繰り返していた。演奏が終了すると妖夢の不意打ちにより兵士達は気絶した。




リリカ「あとはこうやって縛りつけて………よしOK!」
メルラン「よかったわよーあなたの不意打ち!」
ルナサ「スカッとしたわ、ありがとうね。」
妖夢1号「でも、あの兵士はどうするんですか?」
リリカ「適当なところに放っておくよ。何も覚えてないだろうしね。」
メルラン「ふぅー………で、あなたはこのあとどうするの?」
妖夢1号「今は私達にできることをするしかありません。ただそれだけです。」
メルラン「偉いわねー………こんなに小ちゃいのに。またいつでも来てね!思いっきり歓迎しちゃうんだから!」

メルランは私達のことを思い出してほしいと横笛を手渡した。そして軽く挨拶を交わしたあと妖夢達は出発していった。妖夢達の後ろ姿は小さいながらも立派な戦士そのものだった。



リリカ「いい子だったねー。」
メルラン「私達も何かやりましょっか!」
ルナサ「紅魔館の手伝い………とか?」