二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.50 )
日時: 2017/11/05 20:54
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>37 >>28-30



おまけ

移動店舗香霖堂



2・掃除好きな骨董屋




地霊殿

崩壊した香霖堂を建て直し、まだ見ぬお宝を求めて歩き回る霖之助は地底へ続く縦穴を渡っていた。手には紅魔館へ行った時にパチュリーから貰った賢者の石を燃料としたランプがある。煌々とした光を手に下りていくと旧都にたどり着いた。旧都の人々はモップを手に掃除をしているようだ。よく見れば旧都全体がペンキをぶちまけたように汚れている。霖之助は掃除の邪魔にならないように奥へ進んでいると地霊殿を掃除しているさとりを見つけた。霖之助が声をかけるとさとりは雑巾を置いてこちらにやってきた。

さとり「こんな所まで行商人が来るとは珍しいですね……上では大変な騒ぎが起こって大忙しなんでしょうね。まぁここも似たようなものですが……」
霖之助「なぜこんなにも汚れているのです?色水を使った縄張り争いでもしていたんですか?」
さとり「それだったらまだいいんですがね……私は石像になっていたので詳しいことはわかりませんが、魔女が放った魔力によってこんなことになってしまったようです。すぐさま旅人さん達がやって来て魔女を討伐してくれたのですが、討伐されたからといって汚れが消えるわけではないんですね……」
霖之助「よろしければお手伝いしましょうか?しばらく滞在する予定ですし、汚れてもいいボロ布ならいくらでもありますしね。」
さとり「それは助かります。私達だけでは例え鬼といえど全てを元通りにすることはできませんので……」

そう言うと霖之助は荷物を下ろしボロ布を手にし、鬼に混じって汚れを落としていた。頑固な油汚れではなく、濡らした布でこすればすぐに消える。しかし旧都はとても広く、とても多くの水を必要としていた。幸い地下水があるので水には困らなかったがその分濡れた服や布を乾かすのに場所と時間を要していた。それが早く終わらない原因でもある。

さとり「灼熱地獄に持っていくと燃え尽きかねませんから、皆暖房などで乾かしているんですが、それでも間に合わなくて……」
霖之助「なるほど……さとりさん、今すぐ集めてきてほしいものがあるんですが……」
さとり「わかりました、しかし私だけでは非力なので何人か呼んできますね。」

さとりは霖之助に言われた通りの物を持ってこさせた。大量の鉄屑や燃えやすいもの等。霖之助も工具を借りて鉄屑を加工する。
鉄屑をある程度組み合わせると持っていたランプから賢者の石を取りだし鉄屑に組み込んだ。そして仕上げを施し遂に完成したのである。

霖之助「外の世界の道具『乾燥機』を元にして作ってみたんだ。洗っていた布がすぐに乾くよ。」
さとり「すごい………これならすぐにまた作業を始められそうです!」

住人達は洗濯物を入れスイッチを入れるとものすごい音を立てて乾燥機は動きだし、あまり時間をかけずに完全に乾ききった。割と大きめに作ったのでさとりが計算した期間より早く終わりそうである。功績が称えられさとりは掃除を終えた霖之助を地霊殿に招いた。

さとり「本当にありがとうございます……わざわざこんな便利なものまで……」
霖之助「いえいえ、お役に立てれば何よりですよ。」
お空「私だったらすぐ乾かせるのにー。」
お燐「お空は乾かすを通り越して焼きつくしちゃうから……」
さとり「何か代わりのものを用意しましょう。少々お待ち下さい。」

そういうとさとりは部屋からしおりを持ってきた。ずいぶん使い古したしおりだ。

さとり「あいにくランプと見合うものが見つからなくて……私の宝物のひとつを差し上げますね。」
霖之助「しおり……ですか?」
さとり「はい、私が地上にいたころから使っていたものです。なぜか使っていると思いでが蘇るような不思議な感じがして……これではダメですか?」
霖之助「いえいえとんでもない!!宝物をいただけるとは思いもしませんでしたよ。いやぁ、いい買い物をしたなあ。」

確かに古びた和紙にリボンをつけた程度のその辺にあるしおりだが、少しではあるが昔の思いでが蘇ってくる。暖かみが感じられる作品でもあった。霖之助はそれを大切にしまい地霊殿を後にした。










地上

さとり「では、私はこれで……乾燥機、ありがとうございました。」
お空「またねー!!」
霖之助「ええ、皆さんもお元気で!!」

さとりとお空の案内で地上に出ることができた霖之助。たとえ価値がないありふれたものでも持ち主にとってはそれがかけがえのない大事な宝物になることだってある。霖之助はもう一度しおりを見て思いでにふける。そしてその日常をもう一度取り戻すために歩きだした。