二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方×カービィ 幻想郷のキカイ化 ( No.53 )
日時: 2017/11/18 20:00
名前: ピコパ ◆aIf9C.jTkU (ID: wXGYBxg0)

frontstory >>21



41・霊夢と愉快な仲間達



プレインプロプトン



霊夢「………うぅ………あれ?」

気がつくと霊夢はとある草原にいた。自然豊かではあるがやはりキカイ化が進んでいる。木々は風車のように回り、地面は固い鉄で覆われている。空はもっと澄んでいたはずなのに排気ガスで所々曇っている。霊夢は歩きながらここがどこなのかを探っていた。
しかし霊夢は気が気でなかった。スージーによって別世界へ飛ばされた今、幻想郷は無防備になっている。それに神社がホール建設のために壊されてしまったのでそれの後始末もしなくてはならない。早くここを後にして幻想郷(主に博麗神社)の再建をしなければ。
そう思っていると、突然野生動物が襲ってきた。サイボーグ化されているのか体に制御装置のような機械が埋め込まれている。しかしまだ完全に制御しきれていないのか痛みで暴走しているようだ。案の定それは霊夢にも襲いかかる。霊夢はいつものように迎撃しようとしたが、あることに気がついた。












霊夢「………無い。」

お祓い棒も、陰陽玉も、針もお札もない。霊夢にとってこれは致命的であった。いくら幻想郷で無類の強さを発揮する霊夢であっても、それはいくらかの道具があってからこそ。格闘術はそれなりに持ってはいるがあの野生動物はかなりの大きさでとてもではないが倒せそうにない。

霊夢「なんでこんなときに……ついてないわね……」

霊夢は走ってその場から逃げる。すると野生動物も霊夢を追いかけた。単純な走力勝負は霊夢は得意ではなく、やがて野生動物に追い詰められてしまった。心なしか先ほどよりも血気が盛んになっている気がする。もう霊夢を逃がしてはくれないだろう。

霊夢「こんな時に道具があれば………」

野生動物が渾身のタックル攻撃をしかける。霊夢は咄嗟に受け身を取った。












しかし、霊夢にその衝撃はなかった。恐る恐る目を開けてみると何やら大きなハムスターが野生動物を押さえている。そして

???「どぅおらあぁぁぁ!!!」

自分より何倍も大きいであろう野生動物を投げ飛ばした。投げ飛ばされた野生動物は正気を取り戻したのかゆっくりと起き上がり去っていった。霊夢はそっと胸を撫で下ろし、ハムスターに話しかけた。

霊夢「あの、助けてくれてありがとう……大きなハムスターさん……?」
???「おう、気にすんな。」
霊夢「うわっ!?ハムスターが喋った!?」
???「んだと!?オイラを化け物扱いすんじゃねえ!」
霊夢「だって、ハムスターは喋らないはずじゃ……さては、あなた妖怪ね!」
???「誰が妖怪ネズミだってぇ!?こんの……いい気になりやがって!!」

ハムスターが霊夢に殴ろうとした直前に、黒い何者かが間に割って入りハムスターの拳を受け止めた。それはハムスターと同じ大きさのフクロウだった。猛禽類なだけあって目つきは鋭く口調もどこか威圧感がある。

???「やめろリック、何があろうと女性は殴っちゃいけないんだぜ?」
リック「クー……わかったよ………」

リックと呼ばれたハムスターとクーと呼ばれたフクロウは改めて霊夢と話をする。

クー「お嬢さん、あまり見ない服装だがどこから来たのかな?」
霊夢「幻想郷ってとこなんだけど……ここもそうなの?」
リック「何言ってんだ?ここはポップスターのプププランドだぜ?ここはグラスランドっていう草原だったんだが、春巻きだかなんだか知らねぇ会社がこんなにしちまったんだ!」
霊夢「そう……やっぱりそうなのね。」
クー「ポップスターにそんな地名は無かったはずだ、恐らくあの会社と関係があるのかもしれない。」

クーは風車の木に彫られた社章を霊夢に見せた。ハルトマンのHを象った社章だ。

霊夢「……ええ、それのついた髪飾りをつけた女が私の神社をぶっ壊して幻想郷をキカイ化させていったわ。私は抵抗したんだけど時空の歪みに投げ飛ばされて……」
リック「???なんだかよくわかんねぇなぁ。」
クー「俺も詳しく話が知りたい。霊夢さん、と言ったかな、俺達についてきてもらえないかな?大丈夫、手は出さないさ。」
霊夢「今は少しでも情報がほしいわ、連れていってちょうだい。」


クーとリックは霊夢を木洞まで連れてきた。数少ないキカイ化されていない木でありかなりの大きさを持つ木の洞穴は野生動物のすみかとなっていた。中に入ると仲間と思われる動物達がいた。

リック「うーっす、ただいまー!」
クー「早速で悪いんだがお客を連れてきた。皆自己紹介を頼むぜ。」

動物達は霊夢の元に集まり自己紹介を始めた。皆大きさは変わらないようだ。

カイン「……はっ!ぼ、僕はカイン。よ、よろしくなんだな………」
霊夢「あなたはマンボウね?そのバケツ狭くない?」
カイン「こ、ここにいるときだけは我慢してるんだな……でも川とかもあるから大丈夫、なんだな……」

チュチュ「アタシはチュチュ、よろしくね!あ、そのリボン可愛いじゃない、見せて見せて!」
霊夢「これ?いいけど……」
チュチュ「見たことのない柄だわ……アタシもほしいなぁ。」
霊夢(この子はタコ、なのかしら……?軟体動物っぽいし……でも言うのはやめとこ。)
リック「あれ?チュチュ、いつもつけてるやつはどうしたんだ?」
チュチュ「それが無くしちゃったのよ!お気に入りのやつだったのにー!!」

ピッチ「ぼ、ボクはピッチです!よろしくです!」
霊夢「あら、ちっちゃくて可愛いわね。」
クー「そいつは誰よりも速く走ることができるやつなんだ。」
霊夢「そうなの?へぇ、知らなかった……こんなに小さいのにすごいわね。」
ピッチ「ピ、ピピッ……て、照れちゃいます……」

ナゴ「吾が輩は猫のナゴである、よろしく頼むぞい。」
霊夢「あらら、丸まっちゃった…」
クー「ナゴはああ見えて俺達よりも賢いやつなんだ。丸いものが好きなんだぜ。」
霊夢「そうなの……確かになんだか風格を感じさせるわ……」



クー「自己紹介が終わったな、俺達はここであいつらと戦うための対策を練っているんだ。各自が自分の仕事を果たしてな。」
ナゴ「しかし、どう頑張ってもなかなかあやつらのじゃくてんがわからないのである……それにおかしな事件が相次いでいるのでな……」
霊夢「おかしな事件?」
リック「最近、皆が大事にとってあるものが無くなったりするんだ。オイラは取っておいた完熟リンゴを、クーは櫛を、チュチュはリボンを、ナゴは毛糸玉を無くしたんだ。」
霊夢「私も道具一式を無くしたわ。ちゃんと縛っておいたのに……無くしたってことよりかは盗られたっていう方が近いのかしら。」
カイン「そ、そういえば、明らかに怪しそうなやつを見つけたんだな……ほっかむりしてて、いつもキョロキョロしてたやつだったんだな……」
チュチュ「まさか、泥棒!?」
霊夢「許せないわ……絶対に捕まえてやる!」









かくして、霊夢達による泥棒捕まえ作戦が始まった。やり方は極めて簡単、今までのデータをもとに張り込むだけである。

リック「なぁ、ホントに大丈夫なのか?」
霊夢「私の勘はよく当たるのよ、任せなさい。」
クー「どうやらあいつみたいだな。」
リック「マジかよ!?」

クーが指差す先にいたのはどう考えても泥棒のような服を来ているタックだった。しかし現行犯で確保しなくてはならないためリックの協力のもとリンゴが入ったカゴを罠として置いたのだ。タックはカゴに興味を持ち始め、中身を確認した途端スタコラと逃げ去ってしまった。霊夢達は慌てて後を追いかける。

リック「待てこらー!!」
タック「ヒョヒョ!?」

見事な逃げ足でリックから逃れるタック。

クー「逃がさん!!」
タック「ヒョーーー!?」

横から先回りしていたクーの蹴りが入り、タックは捕まった。
その後タックのふろしきからは盗られたものが全て入っていた。霊夢はタックをボコボコにした後に身ぐるみを全て剥がしてその辺にほっぽりだした。そして荷物を全て持って帰りまた木洞へ戻った。

チュチュ「あーこれよ!戻ってよかったわー。」
ナゴ「吾が輩の毛糸玉である!はぁー絶品じゃあ……」
クー「俺の櫛も無事みたいだな。」
霊夢「……よし、全部あるわね。はぁ……売り飛ばされなくてよかったわ。」
リック「よくねぇよ!オイラのリンゴが……リンゴが……熟れすぎて腐ってんだよ!」
クー「まぁまぁ、また採ればいいんだ。」
リンゴ「簡単に言うなよな……キカイ化されてから食べ物がかなり減ってるんだ。リンゴ1個でも希少なんだよ……」
霊夢「種さえあれば私がなんとかしてあげるから心配しないで。それよりもどう?反乱作戦に私も混ぜてくれない?ここのことよくしらないし、人がいたほうが仕事がやりやすいでしょ。」
クー「そうだな……よろしく頼むよ。」



かくして霊夢は森の動物達と共に森を取り戻す作戦に同好することになった。