二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Interval Part.10 スペースマウンテン ( No.43 )
日時: 2017/04/28 21:32
名前: エイヴ ◆.Z4zYzVCxs (ID: v2BiiJyf)

紅菜が「スペースマウンテンに乗ってみたい!」と言い出した。真っ先に反応したのは和斗だ。「紅菜ちゃん!?」と声をあげる。蒼樹に睨まれたが、その表情にも、焦りが混ざっていた。匠は無表情だ。額に汗さえ浮かべていなければ。

それもそのはず。スペースマウンテンはほぼ暗闇の中、右に左に振り回されるライド型アトラクションだ。ビックサンダーマウンテンと比べれば、これから乗ろうとしている方が激しい。ただでさえ和斗はこう言う系のアトラクションは苦手なのに、と言うより、ビックサンダーマウンテンでお腹がいっぱいなのに、紅菜がこれより激しい物に乗りたいと言うのだから……。

和斗だけではない。蒼樹もジェットコースターみたいなマシンはあまり好きでは無かった。和斗ほどに苦手ではないが。

匠はこう言う物に対して、充分過ぎるほど耐性はある。涼しい顔を貫いたまま乗れる。だが……

匠「本当に、乗りたいのか?時間が経ってるが、まだ昼に食べた物が胃の中に残っていたりとかしないか?」

全員が考えていた事。それは、昼ご飯を食べて、それがまだ残っている感覚がするのに、激しいアトラクションに乗れるのか。乗ってる途中や乗った後で最悪な事にならないか。それを危惧していた。

匠が和斗達の考えを代弁する。紅菜はキョトンとするが、すぐに、

紅菜「大丈夫!(^ω^)」





数十分後……

和斗「はは……あはははは……(´゜∀゜`)」

おぼつかない足取りで、アトラクション出口から外へ踏み出した和斗。

明「和斗、大丈夫?(´・ω・`)」

フラフラな和斗を気遣いながらも、いつ座り込んでもおかしくない状態の明。

和斗「大丈夫だよ……スペースマウンテンくらい、どうって事無い……どうって事……」

と、笑って答えた瞬間、突然手で口を押さえて、そのままトイレへと駆け込んで行った。

一方で、言い出しっぺの紅菜は満足した様子で、

紅菜「面白かったね、お兄ちゃん、ネリアちゃん(´ω`)」

と、蒼樹とネリアに話を振るが、

蒼樹「そう……だね。面白かったよ……」

ネリア「スペースマウンテン……初めて乗りましたが、あそこまで振り回されると
は……」

笑顔だが、うつろな目をして答える蒼樹と、風を操る自分があんな物に振り回されるとは思っていなかったのか、ショックを受け、落ち込んだ様子で呟くネリアだった。

殆どが沈んでいる中、この二匹は相変わらずだった。

フレイ「たのしかったね(´ω`)」

コール「もういっかいのりたいな!」

フレイとコールである。乗っている途中、右に左に振りまわされていても、嬉しそうに叫んでいた。それはそれで良い。

だが、もう一回乗りたいコールが言う物だから、こちらからすればたまったものではない。

明「後でね……また後で。みんな、疲れちゃったみたいだから(^_^;)」

明はそれだけ言うと、力を振り絞って、近くにあった座れる所で座り込んだ。

匠「……」

匠は何も言わず立ったまま、疲れた表情を出しながら、和斗が戻って来るのを待つ事にした。





ちなみに、唯一、紅菜の言い出しに巻き込まれていない二人は……

ディクト「……ごめんね、巡人」

巡人「気にしなくて良いよ。俺も悪かった」

ディクト「巡人は何も悪くないよ。僕が我慢出来なくて叫んじゃったんだから」

ディクトの目に涙が溜まる。巡人はそっと、ディクトを自分の膝元に乗せて抱き寄せた。アゴを撫でてあげる。

ディクト「………ぅぅっ………っ………」

巡人の優しさに、ディクトは涙を流した。

ディクトが泣き止むまで、巡人はその体勢のまま、グミシップに乗った。




12:38

閉園まで、あと9時間22分。

こうして、巡人とディクトの2人、和斗、匠、明、紅菜、蒼樹、フレイ、コール、ネリアの8人は今に至る。

この先、2人に何が待ち受け、8人はこれからどうするのか。

それは、その時にならなければ、分からない……。





to be continued...