二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第8話 死神と災厄 ( No.11 )
日時: 2017/06/28 23:30
名前: kuzan (ID: gcTkfQD.)

「…」

アーチャーはアサシンの戦闘後、ある屋敷が見える丘におり、その丘からある小銃を構える。スコープはつける必要なんてない。
この位置から相手を撃ち抜くなんて容易い御用だからだ。
場所はクロッツェ邸。
その館は丘の下に堂々と構えている。奇襲なんて出来ない。何故ならば後ろは崖、横も崖、入れるのは正面の森からだけだ。
しかしその丘は決して高い訳では無い。見下ろせば窓が見えるのだ。
窓の外からはベッドに横たわる老人が見える。この老人には特に用はない
用があるのは、その隣の部屋にいるマスターだ。
そう、キャスターのマスター、シェン・クロッツェだ。
彼は警戒する様子もなく呑気に何かと連絡している。このチャンスを逃すわけには行かない。

「…第一宝具開帳、『殺戮のジェノサイド・ヒル』。」

アーチャーはなんの戸惑いもなく魔術師とはいえ、人間に向かって宝具を開帳した。
その必中の必殺を。
そして引きトリガーを引く。
狙いはシェンの頭だ。
その銃弾はシェンの命を狙うべく一直線に打ち出された、そしてしばらくすると、パリン、という何かが割れた音がした。

「…ふ。」

笑みを浮かべ、アーチャーは銃から目を離し、窓を見る。
窓は割り、キャスターのマスターの脳天に銃弾を食らわせたのだと信じ込んだのだ。
…しかし、それは失敗に終わっていた。
必中の銃弾は〝無敵のバリアに護られていた〟。
その盾に銃弾はくい込んでいるが、貫通する様子はない。

「残念でした、アーチャー。
名の立つ狙撃手みたいだけど、それでも現代の武器じゃ神から授かった神秘(魔術)は敗れない。
それにここは工房を通り越して私の神殿になってるの。
悪くないね、ここは。霊脈がいい感じに流れててここら一体が私のものみたい。」

アーチャーの後ろにはキャスターが立っていた。

「…いつの間に…!?」

アーチャーは急いで距離を取り、銃を構える。
キャスターはくすりと笑い

「んー、空間転移、かな?
それは魔法の域だけどここは私の領域。
そんなことも容易い御用なんだよ?この丘も私の領域の一部。
…まあ、結界のギリギリの所だったから飛べるかとうか不安だったけどね。」

少し首をかしげながら手を横に上げる。
その手には魔力が篭っていた。

「…〝δцναμη τηзλησηч(ディナミー・ティズ・セリシズ)〟。」

1度そう唱えた時、無数の紫の弾が一斉掃射される。
それは高速神言のスキルだった。彼女の高速神言は神代の魔女と同様かそれ以上のものである。

「…な___。」

アーチャーは思わず絶句する。
あの量を防ぎきれるはずがない。
何故ならこのアーチャーに対魔力はないからだ。

「…クソッ…!!」

対抗と言わんばかりにアーチャーは機関銃を取り出し、連射する。そしてその魔術達を相殺する。
キャスターも力を弱めていたのか、その魔術達は呆気なくその場で爆発を起こす。

「…ふふ、残念ね、あなたじゃ私には勝てな___。」

キャスターにぞくりとした感覚が走る。
その日はとても寒く、さらに雪も降っていた。
その影響だろう、と彼女は考えた。
いや、違う。その環境は今、アーチャーを味方していた。

「…第二宝具開帳、『白い死神ベーヤラ・スメルチ』。」

【『白い死神ベーヤラ・スメルチ

ランク: C 種別:対人〜対軍宝具
レンジ:1〜100最大補足:1〜100

平均気温-20℃から-40℃という酷寒の中で、純白のギリースーツに身を包んで狙撃を行い、その活躍によって赤軍兵士から“白い死神”と呼ばれた逸話より。
条件として、『雪が降っている』や『気温が低い』のどちらか一つが最低条件。
相手はアーチャーの補足地点に足を踏み入れた際、寒さと何者かと対峙しているという恐怖により筋力・敏捷がワンランクダウン。
雪が降ることで条件が整い、アーチャーの動体視力、つまり『千里眼』のスキルがCからBになり、敏捷はDからBになりアーチャーに有利な状況が整う。】

その弓兵しにがみは真名開帳に近いその宝具を展開する。

銃使いであり、白い死神と言える存在は一人しかいない。

フィンランドの軍人。
フィンランドとソビエト連邦の間で起こった冬戦争では、ソビエト赤軍から“白い死神”と呼ばれ、恐れられた。
スナイパーとして史上最多の確認戦果542名射殺の記録を残している。
愛称は「シムナ」。フィンランド現地語の発音にあわせる場合、シモ・ハユハ、もしくはシモ・ハウハと表記するのが近い。

そう、その真名はシモ・ヘイへである。

「…」

冷気を纏いながらアーチャーはキャスターを狙う。キャスターも宝具を取り出し、対峙しようと思ったその時

「___令呪をもって命ずる…!!
キャスター、戻れ___!!」

このままではキャスターが殺されてしまう。
そう考えたのかシェンは戦力差があり、空間転移するにも銃が近い。
状況的にあまりに離れたキャスターに令呪を使い、自分の元に戻した。

「…命拾いしたなキャスター。
まあいい。報酬はできた。キャスター陣営に令呪をひとつ使わせることが出来たのは大きな収穫だ。」

そう言いながらアーチャーは白いコートを翻し、撤退していった。

___

>>10

94虎様

コメントありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。