二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第2話 開戦前夜 ( No.2 )
日時: 2017/11/16 12:27
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

まさか、こんなことになるとは。

一人の少年は召喚し終わったあと家に帰り、彼はそこで隣に立っている女を見てそう思う。
彼女は彼が召喚したサーヴァントであり、彼女はサーヴァント、セイバーと名乗った。

「なんだ、その辛気臭い顔は。
私がついているんだ。マスターは必ず聖杯を手にするさ。」

セイバーは彼に向かって微笑みながらそういう。
彼はその笑顔に戸惑いながら

「…儀式が成功するとは思わなかったんだよ。
興味本位で参加したらこれだ。最悪だ…。」

彼は頭を抱える。
そんな彼を見てセイバーが呆れたようにしながらも口を開いた。

「全く、聖杯戦争とはそんな楽なものでないぞ、マスター。
…ところで、君の名前を聞きたいんだが。今のところ私はマスターとしか呼べないからな。」

「…ああ、自己紹介がまだだったか。
俺の名前は近山 蓮(ちかやま れん)だ。」

少し戸惑いながら彼…蓮は答える。
するとセイバーは微笑みながら

「…私も改めて自己紹介しなければな。
…私こそがサーヴァント、セイバーであり、その真名を最優の騎士ーーー」

「…待て!セイバー。
…どこで誰が聞いているかわからない。あまり明かすのは良くないと思う。」
真名を名乗ろうとするセイバーを慌てて止める。
最優の騎士、という部分で割れることもあると思うが、まあ大丈夫だろう。
彼は心の中でそう思う。

「なんだ蓮、ここから面白いところじゃないか。
それに騎士たるもの名乗らなければ闘いは始められない。
…いや、これは聖杯戦争…真名がバレてしまえば不利になるものだったな、済まない、私としたことが…もう少し冷静になるべきだった。」

セイバーが申し訳なさそうに頭を垂れる。
それを彼はすぐに頭を挙げさせ

「いや、いいんだ。
今後気をつけてくれたらな。」

と声をかける。
するとセイバーはぱっと顔を上げて

「さあ、明日はついに開戦だ。
蓮はゆっくり休んでくれ。」

「…ああ、そうするよ、おやすみセイバー。」
彼はそう言った後、奥の部屋へと消えていく。
セイバーはそんな彼を見守り、扉が閉まると

「…まさかこんなことになるとはな。
…最優の騎士…いや、双剣の騎士…うーん、二本の剣を帯びた騎士、と言うべきだったか…。
聖杯戦争のルールとは厳しいものだ。
名前を名乗ってはいけないとは…。騎士道には少し反するところがあるが…まあいいだろう。」

彼女はしばらく考え込む。

「…ここの聖杯は円卓の騎士達が求めたものではなさそうだな。
ま、私には興味無い話だ。」

ふ、と短く笑いセイバーのサーヴァント、ベイリンはまた考え込むのだった。