二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第16話 炎の支配者 ( No.21 )
- 日時: 2017/08/20 11:27
- 名前: kuzan (ID: gfjj6X5m)
「…チィ、バーサーカーのヤツ、木々に炎を放ったか…!
卑怯な…!煙と炎のせいで全く見えん…!」
アーチャーは様々な所に向けて銃を向け、バーサーカーとセイバーを見つけようとするが、辺り一面は炎に包まれ、視界が悪くなっている。
「こちらでございます…!!」
アーチャーから見て右から声が聞こえ、さらに炎の中を突っ切ってくる炎の支配者は笑みを浮かべながら刀をアーチャーの首めがけて横薙ぎする。
アーチャーは苦難の表情を浮かべながらなんとか銃で防ぐ。が、バキリ、という音を立ててしまった。
「…!!スオミがやられたか。
やはり、最後はこいつか。頼むぞ…モシン・ナガン。」
今持っている銃を捨てれば、背に背負っていた小銃を取り出す。
モシン・ナガンM1891/30である。
しっかりと狙いを定め、炎の中を目を凝らして色々な方向を見る。
そして、ゆらりと炎の中で影が揺らいだ。
「そこか…!!」
トリガーに手をかけ、その方向に向けて狙撃を行う。
「…はっ!!
く、ぅ…!!」
その影の主はバーサーカーだった。
バーサーカーは刀の持っている肩に銃弾を受けてしまった。
地面に手をついたバーサーカーを見下ろすように見て、モシン・ナガンを構える。
「終わりだ、狂戦士。
お前の狂いっぷりはバーサーカーその者だった。」
そう言ってトリガーに手をかけた。
そして次の瞬間、どさり、と音が聞こえた。
「侮ったなアーチャー!!
もう一人ここに貴様の敵がいることを忘れるな。」
そう、セイバーが背後からアーチャーを切り伏せて見せたのだ。
アーチャーは不意をつかれ、バランスを崩し、木から落ちてしまった。
「…ふ、その通りですともアーチャー。
戦では背後をとった方が勝ちなのです。背後を取られてしまっては生存の可能性は多く下がります。分かるでしょう、アーチャー?」
くすくす、と全て予想通りだったと言わんばかりにバーサーカーは笑い、刀を反対の手に持ち帰る。
「…ふ、なるほど、それが俺の敗因か。
セイバー、アーチャー。また違う戦乱の世に生きた者達の力、か。
その下に敗れたと考えれば悪くは無いな。」
アーチャーの体から青い光のようなものが現れ始める。
そう、退却が始まっているのだ。
「…バーサーカー、お前の真名はなんだ…?」
アーチャーが最後に、と言ったようにバーサーカーに問う。
バーサーカーはセイバーの方をちらりと見たあとに、アーチャーの方を見る。
「ふふふ、なら教えて差し上げましょう。
私の真名は___。」
バーサーカーは告げる。セイバーには聞こえず、アーチャーにしか聞こえないように。
「…なるほど、それが貴様を狂戦士に捉える理由か…。」
そう呟けばアーチャーは完全に青白い光となり、夜に解けてしまった。
この事実は、アーチャー陣営の敗退を意味する。
それと同時に役割を遂げた炎は納まった。
___
「うそ…私のアーチャーが…。」
炎の方を呆然と見つめていたミヤはその場に膝をつき、自分の令呪があった場所を見つめていた。
決着がつき、自分の敗北が決定したと分かった瞬間だった。
「…協会になんて説明すれば…
私、合わせる顔がない…。じゃあ監督役のシス神父のところに行く…?でも、私は協会の人間。新杯教会なんかの力は借りたくない。」
ブツブツと一人で壊れたようにつぶやく。
「…協会…?聖堂教会がヒャッチだから…お前が魔術協会からの派遣者か!!」
蓮は声を上げてそういう。
そういう彼をミヤはキッ、と強くにらみ
「ええそうよ!
私があんた達の戦争を邪魔しに来たもう一つの存在よ!仕方ないじゃない、聖杯は…いや、何でもないわ。とにかく私はあれを回収したかった。なのに…なんでこんな素人に負けるわけ!?」
苛立った様子を見せるとその場から立ち上がり、公園の出口に向かって歩き出した。
「お、おい…どこに行くんだよ。」
蓮は相手の背中にそう声をかける。
「決まってるでしょ、私ひとりで続けるの。聖杯戦争を。」
と振り返っていえばまた歩き始めた。