二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第17話 仕事 ( No.22 )
- 日時: 2017/09/01 21:52
- 名前: kuzan (ID: r3UXBQ7u)
___夢を見る。
それは、そう。英霊になりきれなかった男の話。
それは小さな小さな村だった。平和で、何の変哲もない村。
その村に一人の少年がいた。彼は暗殺教団である山の翁に憧れていた。
当時の山の翁は呪いの腕を持つ「呪腕のハサン」と呼ばれた男だった。
彼は呪腕のハサンに憧れ、山の翁を目指すようになった。
そのために彼は自身の力に電撃を流し始めた。最初のうちは静電気などで徐々に慣れて言ったが、どんどんエスカレートしていき、最終的には落雷直後の湖に飛び込むという仕打ちまでした。電撃を流し続けた仕打ちでか、彼の髪色は白く染まった。
そこまでして、彼は電撃を操る力を得た。
しかし、彼は報われなかった。彼は選ばれなかったのだ。
その事実に直面した彼は、絶望し、悲しんだ。
今までこれだけ努力したのに、何のために自分を捨てたのだ、と。
しばらく絶望した後、彼は一つの答えにたどり着いた。
なれなかったのであれば、無理やり名乗ればいい、と。
彼は次の日、村から出た。黒いコートに帽子、口元に黒い布を巻き、靴まで全身黒くした。
そして黒塗りの短剣を持ち、自分こそが次の代のハサン・サッバーハ、「紫電のハサン」だ、と名乗った。
彼は不要な人物と思われる人物を手に入れた能力で殺して殺して、殺し尽くした。
自分こそがハサンだと証明するために。
だが、彼は本物の山の翁に危険視され、殺害対象に設定されてしまった。
そして彼の最後は、呪いの腕で殺されてしまった。それが自分の本当の名も忘れてしまった殺人鬼の話である。
…そこでアサシンのマスター、フィマは目を覚まし、ゆっくりと起き上がる。
「…酷い話ね。」
ボソリと呟けば髪の毛を整える。
その最中、不機嫌そうに彼女の後ろで霊体化しているアサシンに声をかける。
「全く、酷い内容だったわ。
どっかの誰かさんと契約しているせいね。人が死ぬ夢なんて、胸糞悪いわ。」
そしてちらりと鏡を見る。
そこには夢で見た服装と全く男が現れる。
「…あー、なんとなく察したわ。あれだろ?オマエ、オレの生前の夢を見たな。
まァ、胸糞悪ィ話だとは思うけどよォ?
まァいい。3日目の報告だ。
まずアーチャーの脱落。勝者はセイバーとバーサーカーの同盟だ。ったくよォ、あっさりと脱落するような器じゃねェと思ったんだがなァ。
…それで、面白いことにそのマスター、ミヤ・アリベータはサーヴァントを失ったにも関わらず、聖杯戦争を続けると宣言した。更に、奴こそが魔術協会からの派遣者だった。」
指をピン、と立てアサシンは自分のマスターに報告する。
それを聞いたフィマは目の色を変え
「…仕事よ、すぐに始末しなさいアサシン。
昼でも構わないわ。できるだけ人目のつかないところで敵を殺しなさい。」
冷静に、的確にそう支持する。
アサシンは分かりきってたかのように溜息をつき
「はいよォ。ま、任せとけや。」
と言って霊体化をし、街へと繰り出した。
それと同時にフィマは修道服に着替え、自室から教会の祭壇の方へと歩き出した。