二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第22話 制裁者 ( No.28 )
日時: 2017/10/18 13:42
名前: kuzan (ID: 1T0V/L.3)

蓮はセイバーとともにまた街に出ていた。
その目的はセイバーの偵察という名の街巡りだ。
大方、偵察3割、街巡り7割だろう。その証拠に手には様々な食べ物が手に握られている。道行く人には驚いた顔で二度見され、噂話などをされる。
その内容は様々で「あの人すごい美人」「あんなに食べて太らないのかな?」等だ。とにかくセイバーは目立つ。とても目立つ。
蓮はその視線が少し痛いようで不機嫌そうにしており

「…セイバー、もういいだろ、帰ろう…。」

などとブツブツ漏らしているがセイバーは

「まあ待て蓮!
今度はこのクレープとやらが食べたい。
…え?偵察?やってるさ、ちゃんとな。」

と若干目を逸らしながら言う。
…訂正だ。偵察1割、街巡り9割だ。

「あのな、セイバー。
遊びじゃないんだぞ。そろそろ勘弁してくれよ…。」

「…私はお前に仕える。
お前は私にその料金として私の欲しいものを買う。ギブアンドテイクだよ、分かるか、蓮?」

にまにまといい笑顔で蓮に詰め寄る。
蓮は顔から顔を逸らしながら

「ちょ、近い、セイバー!
もうちょっと離れても…」

と、蓮が言ってセイバーの方を一度見る。
その横顔は綺麗で美しいと彼は思う。
しかし、同時になぜセイバーは顔を自分ではない方向に向けているか、と言う疑問を浮かべた。そう、先程まで自分をからかっていたのにどうして急にそれをやめて別の方向を見ているのか、だ。
その理由はすぐにわかった。それは街の住人の1人が叫び、明確となった。

「…山火事だ!!」

と。
周りがざわつき、軽くパニックになってる中、セイバーだけは冷静だった。
そして突然口を開き

「…バーサーカー、君なのか…?」

と呟き、山の方に走り出そうとした。
しかし、その行動は老人の伸ばした腕によって静止された。

「待たれよ、若い者。
そちらは危険だ。そう焦るな。」

という言葉と共に。その老人は十字架の装飾が施された赤い修道服を来ており、さらに首から十字架をぶら下げた老人だった。

「…新杯教会の者か…!
…いや違う…!?まさか…!?」

「…その通り。私は制裁者のサーヴァント、ルーラー。人だかりが多い故、真名の開帳は控えさせていただく。遅れながらも参上した。
…私が召喚されたということはこの聖杯戦争、何かがおかしい。しかし、まずはこの騒ぎを収めるのが先。
この先は私に任せよ、呪いの剣の担ぎ手のセイバーよ。」

その老人、ルーラーはセイバーと蓮を一度見た後、山の方に歩いて行く。
野次馬たちが止めようとするが、それはすべて失敗に終わり、ルーラーを山の方に歩かせる。
そしてルーラーが完全に見えなくなったことを確認し、セイバーは口を開く。

「…ルーラーはこういっていたな…。
『この聖杯戦争、何かがおかしい』、と。確かにそうだ。ルーラーが召喚されるなんて、聖杯戦争が特殊な形か世界に異常を起こす可能性がある場合だけだからな。
…この聖杯戦争、どうなっている…?」

と、普段見せない深刻そうな顔で言葉を紡いだ。