二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第3話 夜に咲く一輪の炎(はな) ( No.4 )
- 日時: 2017/11/16 12:27
- 名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)
そこは暗い廃ビルの中。
中にはチンピラが屯って大声で話している。
「お前知ってっか?この町の伝説。」
1人の男がそう口を開く。
他のチンピラは口を揃えて知らねーよ、と答える。
「…じゃ、聖杯って、知ってるか?」
「それくらいは俺も知ってるぜ。キリスト教の儀式である聖餐に用いられる杯だろ?んなもんどこにでもあるじゃねーか。」
「それが、聖杯は聖杯でも特別な聖杯らしく、俺らの知っているやつではないらしい。」
「やたら詳しいな、お前。」
「まーな、ウチって栄えてんだろ?
んでお宝転がってねーか探してたら妙な資料を見つけたんだよ。
『聖杯戦争』。
なんでも、7人の魔術師とその使い魔が殺り合うっつー戦争らしい。
行われる場所は日本の冬木市。」
「伝説でもなんでもねーじゃねぇか。」
「まあ聞けって。
その冬木市ってところの聖杯が解体された時、新たな聖杯がここクロック・グロウで起動するんだと。
それの管理を任されてんのがアルト教会の神父。
最近教会が怪しい動きしてんだよ。」
「へぇ、で、その聖杯戦争って…ん?」
一人のチンピラが足音を聞きつけ、廃ビルの入口を見る。
するとそこには紫色のコートにジーンズ、紫色の髪を持った女たっていた。
「うっひょ、女じゃねぇか。
おいちょっとそこのカワイコちゃん、俺達といいことしようや。」
一人のチンピラが女に近づいていく。
が、次の瞬間男は地面に腹を抱えてうずくまっていた。
「!?んな馬鹿な、女があんな力を持ってるわけ…」
女は暗闇の中でうっすらと不気味に微笑む。
そして口を開いた。
「おや。その程度でございましたか。
そのようでは私の相手にならないようでございます。ふふ。」
クスクスと笑いながら女は男達を見る。
「…殺す!」
1人がナイフを片手に襲いかかる。
女の首元にナイフが刺さる直前で、男は体に火を纏った。
「…ぐぁぁぁぁぁ!!あ、あつい…あついぃぃぃぃぃ!!」
その場で男は火を消そうと地を転がり回る。
女はその様子を見下ろしながら
「聖杯戦争について詳しいようでございますね。
では、あなたにいいことを教えて差し上げましょう。
ーーーサーヴァント、バーサーカー。
それが私のクラスにございます。」
女…バーサーカーは刀を手に持ちながらそう言う。
男は目を見開き、ありえないという表情をする。
次の瞬間、男の首と体が二つに分かれた。
「…ふふ、ふふふ。
やはり、炎はいつ見ても美しいものでございます。
あなたもそう思うでしょう、マスター?」
バーサーカーが後ろを見ると、いつの間にいたのか、スーツを着た男がその場にたっていた。
「…それが貴様のやり方か、混沌に目をくるませた者の、やり方か。」
男は無表情でバーサーカーを見据え、そう言う。
バーサーカーは小声で「つれないお方。」
とつぶやくと
「ええ、そのとおりにございます。
この力ーーー炎を使役する力があれば敵はなし、でございます。
…先程も伝えたはずですが、ヒャッチ様…。」
男…バーサーカーのマスターであるヒャッチ・ディグソンは無言で頷き
「強力なのはいいことだ。だが、バーサーカー。
…なぜ狂化の効果を受けていない。
本来のバーサーカーであれば言語は失われるはず…。」
考えた様子でヒャッチはそう呟く。
それに対しバーサーカーは
「私とて狂化の効果は受けております。
思考回路が、ですが私の場合、思考回路が少しいじられた程度ですので、特に意味なし、ということでございます。」
クスクスと笑いながらバーサーカーはそう答える。
「…まあいい。
貴様の真名については後ほど調べよう。
…今後のためにも、私のためにも。
…ニホンの英雄が召喚されるとは思わなかったのだ、やはりニホンのことも学ぶべきだったか…。」
彼は悔やむように言った。
その姿を見ながらバーサーカーはより一層笑を深くしたのだった。