二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第5話 2人の暗殺者 ( No.6 )
日時: 2017/11/16 12:25
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

それは聖杯戦争開催宣言から1日後の夜に起きたものだった。
その夜はとても冷え、雪も見えている。

「…」

男は木の上に立ち、あたりを見渡す。
黒い何かを見た気がした。その何かはもう見えなくなったが、確かに見たと言う。

「ね、ねぇアーチャー。今日は寒いしここ高いから怖いのだけど…」

男…アーチャーのそばにはマスターと思われる女を置いている。

「まあ待てミヤ、恐らくあれはアサシンだ。見つけたと思ったら気配が消えた。気配遮断だろう。どこから来るか分からない。
…周りに気をつけなければな。」

「…それで、私をここに連れてきたの!?
鬼!悪魔!」

アーチャーのマスター、ミヤ・アリベータが声を上げる。
魔術師として優秀だ。しかし危機管理能力がまるで無い。

「…酷い言われようだ。あのまま寝ていたらきっと殺されていたぞ、アサシンに。」

周りを見ながらそういう。
木の後ろを見た途端、正面から黒い布と黒い帽子をかぶった男が現れる。
アサシンだ。
アサシンは黒塗りの短刀を振りかぶる。

「アーチャー、前!!」

ミヤがとっさに叫ぶ。
アーチャーはその場からミヤを抱え、後ろに飛び地面に着地する。
そしてミヤを降ろすと武器であるサブマシンガンを構える。

「チーーー。今のは絶対行ったと思ったんだがなぁ。
マスターの指示だけでなくアーチャー自身の能力も高いと見られる。
そしてなんだその飛び道具。アーチャーとは弓兵のクラスと聞いていたんだが。」

アサシンは二人の前に現れ、帽子の上から頭をかく。
全身が黒い服で闇夜に溶け込んでいる。

「にしても今日はさみィな。雪でも降るんじゃねぇの。」

空を見るとボソリとつぶやく。
現に、パラパラと降り始めている。

「…雪、か。
いいと思うぞ、寒いのも、雪も。」

それに対しアーチャーは白いコートを着ており、アサシンとは対照的だ。

「…はっ、オマエ、アサシン適性もあるな、アーチャー。」

アーチャーを暫く見つめるとそう呟く。
そしてアーチャーは少し考え

「アサシンとして呼ばれた方が正解かもな。
ま、アーチャーとしてなら単独行動があるから楽だ。基本的にいつも1人だったからな。」

いつの間にか雪が降り注ぐように降り始めた。
周りは寒くなり、気温は厳しくなる。
が、そんなことは構わず両サーヴァントは対峙している。

「…アサシン。
残念だが、俺の勝ちだ。お前に勝ち目はない。」

「はっ、それはこっちのセリフよ。
確かに雪のせいでこっちの姿はばればれだ、だがよ、あんまり舐めないでほしいぜ。」

バチ、バチとアサシンの周りから青白い電撃が出始める。
その電撃はアサシンが持つ短刀に付与される。

「…いざ。」

アーチャーは屋根の上に飛び移り、サブマシンガンを乱射する。
アサシンはうまく交わしながら木と木の間を飛び移り、徐々に上に近づく。

「…言っただろう、俺の勝ちだと。
宝具開帳。第1宝具『殺戮のジェノサイド・ヒル』。」

【『殺戮のジェノサイド・ヒル
ランク: B+ 種別: 対人〜対軍宝具
レンジ:1〜100 最大補足:1〜100

アーチャーより低い位置にいる標的に回避不可能の弾丸を受ける。
回避不能、と言っても敏捷による回避が不可能なだけであり、『直感』や高ランクの『千里眼』による未来視などで回避することが可能。】

アーチャーはそう呟くと弾丸をアサシンに向け、一発だけ放つ。
アサシンは木の上におり、自分は木より高い屋根の上にいる。
状況は整い、宝具の開帳が可能だったため、惜しみなく発動したようだ。
弾丸は雪で隠され、そのまままっすぐアサシンに向かっていく。木から屋根に飛び移ろうとしていたアサシンはそれに直前で気がついたが、もう遅い。
その弾丸が肩に埋めこられる。

「ぐ…!
ア、チャー!!」
ふらりと体制を崩し、地面に落ちる。
そしてそのままアサシン霊体化し、撤退した。

「…戦闘終了。英霊にもこの弾丸は通用するか。
この戦争、俺達の勝ちだな。」

屋根から降りればミヤの前まで歩いていく。

「…やるじゃないアーチャー。
褒めるわ。これからもこの調子でやってよね。」

そう言いながら体を温めるように抑え、家の中に入っていく。
アーチャーはただ、「ああ。」と呟き、その後に続いた。