二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第6話 最優秀と落ちこぼれ ( No.8 )
日時: 2017/06/19 10:35
名前: kuzan (ID: 1T0V/L.3)

「…セイバー、先程アーチャーと思われるサーヴァントとアサシンが戦闘を行ったみたいだ。
結果はアーチャーの勝ち。アーチャーは宝具を開帳し、アサシンの肩を射抜いた。
アサシンは状況的に不利と読んだのか、その場から霊体化で撤退した。
これが使い魔からの情報だ。」

家のリビングで全ての電気を消し、蓮はセイバーと話をする。
セイバーは顎に手を当てて考え込んでいる様子だ。

「…なるほど、しかし、何故アーチャーはこんなにも早く宝具を開帳したのだろうな。
…アーチャーは三騎士とも言われる優秀なサーヴァント…つまりアサシンに遅れをとるとは思えない。
…早く終わらせたかった?いや違うな、なら普通に戦って勝てばいい話だ。
…アーチャー、か。少し考えておこう。もしかすればこの戦争、厄介な敵のひとりになるかもしれん。」

顎から手を離せば蓮の方を見る。
蓮は目が合うと思わず目を逸らす。

「…?どうした、蓮。
私の顔に何かついているか?」

少し首をかしげ、少し近づく。
蓮は目を逸らしながら

「いや、何でもない!!
と、とにかくだ、まずは情報収集を優先させよう、な。」

慌てた様子でセイバーに声をかける。
セイバーは不思議そうにしながら

「…まぁ、私としては早く戦いたいところなんだが…
厄介なことにマスターという存在がいる。好きに動けないし、私は君に従うよ。」

やれやれと言った様子で目を瞑り、蓮に言う。
そして目を閉じたと思えばすぐに目を開け、窓の外を見る。
すると、窓に槍が突き刺さっており、亀裂が走る。
槍が消えたと思えば次は足が亀裂の入ったところに蹴り入れられた。

「蓮!!下がれ!!
ランサーだ、君が集めた情報にあっただろう!!このサーヴァントは…この戦争で最も優秀と言えるマスターと組んでいると!!」

「…ほう、マスターはそんな評価なのか。まあいい。セイバー、私とやり合おうではないか。私はマスターを殺すなどという卑怯な真似はしない。
幸い、私のマスターにも口止めをされているわけだ。」

冷静な様子でランサーが窓から入ってくる。
槍は赤く、先が捻るようになっており、槍先は尖っている。

「…───!!その、槍は…!!」

セイバーが驚いた様子で声を上げる。
そしてランサーは少し眉を動かし

「ほう、知っているのか、この槍を。
聖槍とも魔槍とも言えるこの槍を。」

ランサーが槍を掲げ、また構え直す。
そして目を鋭く光らせる。

「…セイバー、知ってるのか、この槍を。」

何も知らない蓮はセイバーとランサーを同時に見、セイバーに声をかける。

「ああ、知っている。
…たしかにこのサーヴァントはこの戦争で最強レベルとも言える。
…グランドの適性もあるかも知れない。それほどの槍使いと槍だ。」

セイバーは頬に冷や汗を浮かべながらつぶやく。
そして双剣を顕現させる。

「…ほう、呪いの類がかかっているな。
呪いの剣そしてこの聖槍を見て驚愕。
セイバー、お前は…ベイリン卿だな。」

「…!!」

連はぞくりとし、ランサーを見る。
ベイリンを知っている…?ならこのランサーはベイリンにゆかりがある人物かも知れない。
そして聖槍とも魔槍とも言える槍。
…生前、ベイリンはぺラム王の城に訪れた際、短剣しか持っていなかった彼が武器代わりとして城にあった聖槍ロンギヌスでペラム王を撃退することに成功した。しかし、触れてはいけない「聖具」を扱った反動、嘆きの一撃により城と周囲の土地を破壊し、自身も生き埋めとなった使用したという逸話がある。
…つまりこの、ランサーは…

「…ロンギヌス…
聖ロンギヌスか…!?」

思わず声を張り上げる。
それに対しランサーは今まで通り冷静に対応する。

「いかにも。私こそイエス様の生死を確かめるためにその左脇腹に槍を突き刺したローマ人の百卒長。
ロンギヌスである。これを知ってしまったセイバー、お前には死んでもらうぞ。これもマスターと主のためだ、いざ…!」

そういえばランサーがセイバーに迫り、槍を突きつける。
セイバーは咄嗟に剣を合わせる。その場にはキィン、という甲高い金属音と衝撃が走る。
蓮は飛ばされないように顔を覆い、戦闘を見守る。
そしてふと、後ろからの気配を探知した。

「…あら、気づいたのね。
残念、楽に終わらせてあげようと思ったのに。」

後ろを向き、視線の先にはランサーのマスター、ニィナがいた。その手には短剣が握られている。

「…っ…!!
投影、開始(トレース、スタート)!!」

咄嗟に投影を行い、ティナの短剣を咄嗟に作る。

「…投影魔術。
効率の悪いことをするのね。それに、本来のやり方とは違う。何、トレーススタートって。まさか、独学でそれを生み出したの?
ふふ、馬鹿ね。そんなこと、自分の魔術回路と寿命を傷つけるだけなのに。」

クスクスと笑いながら斬り合う。
それは小馬鹿にしている様子だ。

「ふふ、飽きちゃった、ランサー、撤退するわよ。
セイバー陣営は私が手をくださなくても敗退するわ。」

「承知。」

頷けばニィナを抱え、窓から出る。

「ランサーの真名を当てれたのは褒めてあげるわポンコツさん。じゃあね。」

嫌な笑顔を浮かべながらランサーとニィナは撤退していく。蓮とセイバーは渋い顔をし、見守るだけだった。