二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第7話 燃え上がる信念 ( No.9 )
日時: 2017/06/26 10:14
名前: kuzan (ID: UPSLFaOv)

ごうっ、と火の柱が夜の街の中央公園に上がる。
その炎はまるで来いという合図や挑発の意味が込められていた。
その炎を起こしたのはバーサーカーだ。
バーサーカーは魔力を放出し、各陣営に合図を出したのだ。

「ふふ、さあこれで私の誘いに応じない者はいないでしょう。こちらは強力な魔力を放出したので、これほどの脅威は、放っておくわけないでしょうし、ね。」

くすり、と微笑を浮かべる。
炎の灯に照らされるバーサーカーの横顔は美しくもあり、どこか狂気的だった。
ヒャッチは渋い顔をしながらバーサーカーを見る。
この前日、ヒャッチはバーサーカーの真名について調べたのだ。
それの影響か、バーサーカーは信用出来ない。そのような顔でいる。
が、そんな顔はすぐに解かれた。令呪が疼いた。
つまりマスターが近くにいるという事だ。

「バーサーカー。」

「ええ、分かっていますよ。主様マスター。来ましたね、サーヴァント…。
さあ、どこからでもかかってきなさい。私が相手を致しましょう。」

刀と火縄銃を顕界させながら宙に向かって声をかける。
すると上空から何かがすごいスピードで落ちてくる。
それを探知していたかのようにバーサーカーは後ろに跳び、その突撃をかわす。

「あら、ふふふっ…。荒いお方。
まあ私は嫌いではありませんけどね?」

相変わらずクスクスと笑いながら目の前の大男を見る。
ライダーだ。
獣の皮で作られている鎧を着た大男は牛に乗って突撃してきたのだ。

「ほう、貴様がバーサーカーか。
あんな炎を出すものだからどんな大男かと思えば、思ったより華奢な体をしているではないか。
こんな場でなかったのなら声をかけていたのだがのぅ…。」

ライダーは少し残念そうにしながら呟く。
しかし、油断はしていないようで、いつでも戦えるように剣を手に持っている。

「あらあら、それは残念。ええ、このように女ですとも。
ふふ、しかしこれは戦い。戦争です。それは叶う願いではございませぬ。そうでしょう、ライダー?」

それに対し、バーサーカーも冷静であり、1度剣を鞘に入れると手を口に当て、クスクスと笑っている。

「うむ、そうだ。
…やるか、バーサーカー。」

剣を構え直し、バーサーカーをしっかりと見据える。

「ええ。
いざ尋常に___。」

刀を懐から抜く。
そしてライダーの方に向ける。

「勝負!!」

ライダーもその合図と同時に牛を突進させる。
その速さは車すら超える早さだ。
バーサーカーはうっすらと笑い、刀を横薙ぎする。
その横薙ぎは斬撃となり、牛の足元へと向かう。
無論、それだけではない。その斬撃には炎が付与されていた。
ライダーはその斬撃を飛んで回避する。
そしてその勢いでバーサーカーを踏みつけようとする。
しかし、もう片手に手にしている火縄銃で牛を狙い、銃弾を牛の腹に叩き込む。
そのまま後ろに回避すると牛はその場で苦しむように蠢く。

「ほほう、やるではないか。」

それをされてもまだ、余裕だった。
それどころか笑みを浮かべていた。

「っ___!
何をしているの、ライダー!!第一宝具開帳よ!!」

痺れを切らしたのか、隠れていたメイは飛び出し、そう指示する。
しかしライダーは首を振り

「なぁに心配は不要だ、こやつに宝具をくれてやる必要は無い。
貴様はそのまま引っ込んでおけばよかったものを…ほれ、バーサーカーのマスターが向かってるぞ。」

メイはそれを聞き、ヒャッチを見る。
ヒャッチは黒鍵を構え、猛スピードでメイに向かう。

「___。
その黒鍵、聖堂教会からの派遣者ね。
この戦争を邪魔するように指示された?それとも聖杯を回収するように言われた?
どちらにせよ、邪魔ね。」

そう言えば「Thunder V(ボルト)」と呟く。
彼女の周りは電撃に覆われ、その電撃がヒャッチに飛んでいく。ヒャッチはそれを切り伏せながらメイに向かっていく。

「…っ!
ライダー、撤退!!分が悪いわ。攻略法を見出してからやるわよ!!バーサーカーに関する情報は手に入れたしね!!」

ライダーは渋々と言った形で承知した、と呟けばメイを構え、撤退していった。
バーサーカーは最後までごうっ、と炎を向けていた。
笑を一度も絶やさずに。