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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【Splatoon】忌み子イカ物語 ( No.1 )
- 日時: 2018/06/22 15:18
- 名前: ラトル (ID: PLnfHFFW)
これは、まだ——が心を閉ざす前の幼少期のことである。
雨が降りしきり、強風が吹き荒れる山の嵐の中で一人の少年が大きな葉を傘代わりにして息も絶え絶えに走っていた。その少年は足を引きずっており、体には生々しい傷跡がいくつも刻まれていた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
静まる気配の無い嵐が、少年の華奢な体を容赦無く叩きつけていく。年は12歳位だろうか。結んで無く背中まで伸びた長い真っ黒なゲソとは対照的に、肌は雪の様に白かった。一見美少年だが時折ふらつくその体は誰がどう見ても栄誉が足りていなかった。
そんな細い体はとっくに限界を超えていたが少年は無理をして走り続けていた。まるで何かから逃げるように………。だがしかし、無理をするのにも限度がある。疲労がMAXを超えふらついた少年は飛び越えようとした坂の上の木の根に足を引っ掛けてしまい思いっきりすっ転んでしまった。
「うぅ…イタタ………ッ!!くぅッ…」
側に落ちた葉を拾い立ち上がろうとしたが捻ってしまったらしく右足首に激痛が走り立ち上がる事が出来ない。そして更に不運な事に、右足首を押さえてる時バランスを崩しそのまま色んな木にぶつかりながら坂を転げ落ちていった。
「あぐッ…!くぅッ………ッ…イ"ッ……」
ようやく坂を転げ終わった後は、ほとんど少年の気力は残されていなかった。転がり落ちてる途中にやったのか、左腕から真っ赤な鮮血がドクドクと流れていた。焼け付く様な激痛の中、少年の朦朧とした意識の中にはただ「あの村から少しでも離れる」という考えしか無かった。
「お母………さん……」
そう呟き一筋の涙を流し少年は意識を失った。意識を失う直前に慌てた様な少女らしき声が聞こえたがその正体を確かめる前に少年の目の前は真っ黒に染まっていた。
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