二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.1 )
日時: 2018/06/17 14:21
名前: フウ (ID: fDoLpxww)

○battle for fight 連携中



【ミッション】チーム戦に勝利せよ
チーム分けが決定した。これよりチーム戦を行う。敵チームを全滅させれば勝利。
勝利チームは撃破された者も全員復活となり、再び個人戦のバトルに挑むことができる。

【ミッション】忍の契約を解除せよ
赤・青、それぞれのチームの『忍契約解除装置』を設置した。
先に敵チームの装置のレバーを下ろせば、忍の契約を解除できる。





 攻撃部隊にイエローがいの一番に名乗りを上げた時、青チームの面々の反応は「だろうな」という明るい苦笑めいたものだった。
 バトルボールをプレイヤーにぶつけて相手を撃破し、最後のひとりになるまで戦い抜くサバイバルゲーム、“戦闘中”。彼らが参戦しているこのゲームは、西暦2900年、月面のとあるコロニーにて幅を利かす巨大企業“クロノス社”によってもたらされた未来遊戯のひとつだ。
 その“戦闘中”において、イエローは大学生ながら前人未到の優勝回数20回を突破した歴戦の猛者だった。性格はあけっぴろげで好戦的、敵チームのプレイヤーたちががっちり防衛しているであろう装置を叩きに行くと聞いて、某野菜星の戦闘民族よろしくワクワクが止まらないようである。
 とはいえ、そこまでは他のプレイヤーたちも読んでいた。しかし自チームの解除装置を守るメンバーを振り分けたあと、イエローが放った一言に全員が耳を疑った。

「じゃあさ、防衛組は俺の大盾忍使っちゃって」
「!?」

 誰よりも驚愕したのは言うまでもなく、彼のパートナーである大盾忍であったろう。漆黒の忍装束を翻し、重い防具を持っているとは思えない素早さでマスターに詰め寄り、ガクガクと彼の肩を揺らす。その二の腕には、イエローのベストと同色である黄色の“契約の腕輪”が巻かれていた。
 イエローは大盾の狼狽に構うことなく「はっはっはっは」と快活に笑う。

「適材適所って言葉があるだろ? 攻撃主体の俺が敵陣に仕掛ける。防御に秀でたお前が装置を守る。お互いの長所を生かせるいいミッションじゃねえか」
「ッ! ……!」
「だーいじょうぶだって、心配すんな。ほれほれ、制限時間内にあっちのレバー下ろさにゃならんし、いつ向こうが仕掛けてくるかもわからん。さっさと持ち場につけ」
「〜〜〜〜!!」

 それでも大盾は納得しない。青色の解除装置とマスターを交互に見比べ、何かを訴えかけるような目つきをする。だがそれも「ほら」とイエローに背中を押されるまでのことで、仕方なしに————というより未練たっぷりに————何度もマスターを振り返りながら、解除装置へと駆けていった。

(今回の忍はやたら動作が人間臭いのな)

 みたび後ろを向いてきた大盾に手を振りながら、そんなことを思うイエローである。
 戦闘アンドロイド“忍”は、プレイヤーのバトルを補佐する強力なパートナーである。中でも大盾忍をはじめとした忍数種は特殊装備を備えたレアアイテムで、限られた条件下でしか入手できない。
 イエローの場合は闘技場でプレイヤーとの直接対決を制し、最後に残っていた大盾忍を獲得した。身の丈ほどもある長大な白銀の盾を軽々と回したあと、任せてくれと言いたげに盾を叩いた時のアンドロイドは、機械のくせしてやる気に満ちあふれているように見えた。

「よかったんすか? あんたの忍、ついて行きたさそうに、してました、けどっ」

 同じく攻撃部隊の“黒”が、息せき切って走りつつイエローに問う。
 ゲームの舞台は江戸時代の日本をぎゅっと濃縮した現代のレジャー施設だ。東京ドームの何倍も広い敷地、その半分を職人街や武家屋敷を内包する城下町エリアが占め、河川を挟んだ残りの土地を雑木林や田園に囲われた農村エリアが埋めている。敵の————赤チームの忍契約解除装置は城下町エリアにあり、農村エリアにいるイエローたちは3つある橋のどれかを使って向こう側へと渡る必要があった。

「あー、うん。あいつには悪いが、正直相性が悪くてな」
「駄目ですよー、闘技場は開場してすぐ行かないと。双龍とかビックバトルボールとかはさっさと持ってかれますから」
「? 大盾が守る分、ひとりの時よりも攻撃に集中できるんじゃないのか?」
「それならよかったんですけど、ねっ!」

 歯切れの悪い言葉が急に断ち切られ、イエローは身を低くして左前方の茂みに突貫した。
気づかれたと察するや、葉擦れの音と共に身を潜めていた敵の忍が飛び上がり、切れ味鋭い一投をイエロー目掛けて振り下ろす。紙一重で避けたイエローは獲物を牙にかけた獅子のような笑みを浮かべ、ゼロ距離でバトルボールを叩きつけた。撃破された忍はぐらりと体勢を崩し、その場に片膝をついて起動停止する。

「……緑さん、あんた賞金目当てのにわかでしょ。イエローさんがゴリゴリの速攻・接近戦タイプなの、この界隈では地球の空は青いレベルの常識っすよ」
「う、うるせえ! お前だってゼニ目的だって言ってたろうが!」
「そりゃ皆大なり小なりそうっしょ。……っつーわけで、スピードを生かしぎりぎりまで近づいて撃つスタイルのイエローさんには、デカい盾持ってマスターの周りうろつく大盾はさながら障害物、相性最悪なんす」
「やべ、プレイヤーの方に逃げられた! 俺らの情報知らされる前に潰すぞ!」
「ちょっと、待って下さいよー! あんたらと違ってボク、走り慣れてないんですからー!」

 イエローは地面を踏み抜く勢いで遁走する敵プレイヤーを追う。緑と黒は両腕を振り回すようにしてイエローに続くが、ぐんぐん距離が開いていった。
 それが敵の狙いだとイエローが気づいたのは、ホルダーに収めた携帯電話が鳴り響いたあとのことだった。