二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.10 )
日時: 2018/06/21 20:08
名前: フウ (ID: fDoLpxww)



○battle for money 激闘中



【エスケープ情報】
イエローがエスケープを宣言。これより5分間撃破されなければ、エスケープ成功時点での所持金を持って戦線から離脱する。なお、これより特殊ミッションを発令する。

【ミッション】エスケープを阻止せよ
これより5分間、プレイヤーの所持金は1秒500円ずつ減少していき、エスケープ者へと自動送信される。所持金が0円となったプレイヤーは強制失格。
阻止するにはエスケープ者を撃破しなければならない。





「イエローさんがエスケープ……!?」


 メールを読み、ブルーはたまらず絶句した。送信されてきた文面には、イエローの位置情報がレーダーによりリアルタイムで確認できるという旨も記されている。彼の左後方に立つ納屋内では、彼の忍が命令通りブルーの死角を見張っていた。
 まとまった金額が手に入ったらタイミングを見計らって戦線離脱を考えていたブルーにとって、イエローのエスケープ宣言は完全に予想外だった。
 “戦闘中”でエスケープを敢行するプレイヤーはほぼいない。このゲームにおける賞金総額は、プレイヤー全員の所持金総額に等しい。己の所持金の持ち逃げ行為であるエスケープは賞金総額減少に直結するため、他のプレイヤーに蜂の巣にされることが目に見えているのだ。
 だからこそ、ブルーはエスケープを宣言しても逃げ切れるよう、ある“秘策”を用意してその時を狙っていた。
 ————なのにまさか、プレイヤーが9人も残っているこの状況で、あのイエローに先を越されるとは! 戦闘狂な彼のことだ、最後まで残って戦うとばかり思っていた。
 
「なんで……。金に執着しているような人には見えなかったのに……」

 言いながら、「イエローの目的が賞金ではないのでは」という仮説に行き当たる。
 現時点で、イエローのもとへ転送されている金額は1秒500円×9人分で4500円、1分で27万円、5分間逃げ切ったとなれば135万円にもなる。
 それだけの超高額が差し引かれるとなって、他のプレイヤーが黙っているはずがない。
また裏を返すと、イエローを撃破出来れば大金が手に入るということでもある。



「まさか、自分から餌になりにいった?」



 青メンバー全員が忍契約解除装置に集結した時、最近誰も相手してくれなくて寂しいと、冗談交じりに言っていなかったか。
 そして、援護に駆け付けた時に見た鬼神もかくやといった笑み。まるで心の底からバトルが楽しくてしょうがない、とでもいいたげな。



 重ったるいため息をはいて頭を押さえる。むちゃくちゃなことをする人だとは感じていたが、随分荒っぽい策に出たものだ。
 幸いにも、ブルーは強制失格の条件から外れている。ひとりあたり減らされる所持金総額は最大15万円、ブルーの所持金はミッション発動直前で100万円。差し迫った状況にいるわけではないからか、最初の衝撃が抜けかけている今、ブルーは存外落ち着いていた。これが所持金40万円のままだったなら、また気の持ちようは違ったかもしれない。やはりあの時の60万円が……。




『律儀なんだね。こんなの“戦闘中”ではよくあることだよ。ラッキーだと思ってもらっとけばいいのに』
『だけど』
『じゃあ、忍を助けてくれたお礼ってことで。お礼がゲンナマ?ってのもどうかと思うけど』




 閃くように、先ほど交わした会話が脳裏をよぎった。彼女が隻眼の忍と並び立ちながら自分に向けた、恥ずかしそうな苦笑いも。
 慌ただしくホルダーから携帯を取り出して、プレイヤーごとの所持金額を調べる。エネルギーパックは1個30万円だったはず。そんな額を支払っておきながらミッションの報酬を受け取らなかった、あの子の所持金は————!?