二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方双魔使 ( No.2 )
日時: 2018/08/05 06:22
名前: レヴァニラ (ID: 9MGH2cfM)

【第1話 博麗の巫女と魔法使い】



誰もいない静かな夜の森。
入るには勇気がいる暗い森の中に誰にも気付かれる事なく空間が裂けスキマが出現し、そこから2人の男が出てきた。
片方は愛染。 白いコートをはためかせながら彼は迷彩柄のパーカーを着た男の方へ向き直った。
「妙なところに出ちゃったねえ……混世」

混世。 そう呼ばれた男は頭をガジガジと掻きながら木々の間から見える月を眺めた。
満天の星空と共に儚く輝く満月を暫く眺める。 この世界の事は何も知らない2人はさてどうするかと考えると近くの草むらがガサガサ、と音を立てながら揺れた。
「おや……誰がいるようだね? 出てきてくれ、道に迷ったんだ」

愛染が何者かに呼びかけると、草むらから黄色の髪のボブヘアーに赤いリボンをつけた赤い目の少女が現れた。
「わはー、こんな所に人間だなんて珍しいのだー」
「……」
ニコニコと嬉しそうな表情を浮かべる少女の発言に何か引っかかるところがあったか、混世はパーカーのポケットに手を入れながら目を細める。 その間に愛染は少女と同じくらいの目の高さに合わせるよう屈んで人の良さそうな笑みを浮かべた。
「実はお兄さん達迷子になっちゃってね、此処が何処だか分からないから道案内してくれるとありがたいなあ」
愛染の言葉に「そーなのかー」と笑顔のまま答え、そして少女は月を見上げながらポツポツと話し始めた。
「ところでお兄さん達、此処は人間を襲う妖怪がいるって知っていたー?」「ん? んーん、お兄さん達、此処に来るの初めてだから知らなかったよ」
「じゃあ外来人なのかー」「外来人……?」

愛染と少女の遣り取りに不自然さが目立ち始め、混世はポケットから小瓶を取り出すと蓋を開け銀色の液体を足元に垂らした。
それに気付かない少女は愛染の肩に手を置くと、先程の笑顔から一転して……捕食者の目でニヤリと笑った。



「それじゃ……いただきます」

動くのはほぼ同時、だが速さは混世の方が上だった。
彼の足元の銀色の液体が意思を持ったかのようにうねり口を大きく開き尖った歯をギラつかせながら愛染を喰おうとした少女の下顎を打ち上げる。
だが少女はまるで効いてないように捕食者の笑みを混世に向け、今度は混世を対象に変更した。
「面白い事をしてくるね!」
「魔法使いだからな」
少女が振り下ろした拳をいつのまにか足元に戻していた銀色の液体が渦を巻くように混世の周りに展開して受け止め、化物少女と魔法使いとの戦いが幕を開けた__

Re: 東方双魔使 ( No.3 )
日時: 2018/08/06 22:50
名前: レヴァニラ (ID: DTQ3vDnC)

いきなりだが化物少女と混世が戦っている場所は『幻想郷』内にある『博麗神社』が近くにある森の中である。
その博麗神社では博麗の巫女・博麗霊夢が1人で過ごしている。

いつものようにやる事を終え空の賽銭箱の中を確認して溜息を吐き、月を暫く眺めてから寝ようかと思っていた。
……その時、境内へと続く階段の下辺りが何やら騒がしい様子を見せていた。
「もう……こんな夜中にどんな馬鹿が暴れているのよ……」
面倒事が舞い降りた、その程度の認識の彼女は階段を一つずつ、真っ暗な夜道を月が照らしながら下りていった。__





「__ぐう!?」
その頃、化物少女は木々を倒しながら階段の方へと勢いよく押し出され、ボロボロとなっていた。
化物少女が見つめる先、其処にはまるでアメーバのように蠢く銀色の液体を従える混世と、その混世の後を追って階段へと出てきた愛染の2人組が月に照らされ姿を現した。

「混世! 確かに僕は喰われそうになったけど彼女を痛めつけるのは良くないよ!」
「黙れ、お前の為ではなく俺に歯向かう存在を完膚なきまでに叩きのめしているだけだ」
2人が何でもないように駄弁り、化物少女は今のうちに逃げ出そうとするが混世は右腕に銀色の液体を纏わせると一つのドリルへと変化させ突撃、化物少女の右肩を容赦無く抉り取った。
「うぐっ!?」
ズシャア、とその場に崩れ落ち混世は勝ち誇った笑みを浮かべながら化物少女を見下した。

「俺の勝ちだな? さあどう料理してやるかな……」
「まだ……負けてない!」
完全に気を抜いていた混世に化物少女は何かの塊を撃ち込むが、先程混世を守ったように銀色の液体は渦を巻くように混世を守り、その隙に化物少女は闇を纏い逃げ出した。
「……逃げられちゃったね……」
「……チッ、最後の最後までしぶとい化物だな……」
逃げられた方向を見ながら混世は銀色の液体を小瓶の中へと戻しポケットに入れ、階段を見上げた。

……其処から紅白を基調とした斬新なデザインの巫女が飛んできたのを見て思わず2人揃って「はぁ?」と声を上げてしまった。__





__霊夢は驚いていた。
外来人が来ていたのはさほど珍しくはない。 それはスキマ妖怪である八雲紫がよくやるミスだからだ。
だが化物少女……ルーミアを圧倒し、更に謎の能力を使用している時点で唯の外来人ではない。

もしかしたら侵略者の類かもしれないと霊夢は内心思いながら此方を見上げ惚ける2人組……混世と愛染の方へと能力を使用して飛んだのだった……__