二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方双魔使 ( No.4 )
日時: 2018/08/09 22:27
名前: レヴァニラ (ID: h/hwr32G)

草木も眠る丑三つ時。 夜も深まって妖怪が活発化するこの時間帯に三人の男女が神社の中でそれぞれ座りながら対面していた。
博麗の巫女である霊夢の前に座る2人の男、愛染と混世にジト目を向けつつ話し合う事にしたのだ。
「もう夜遅いから今回は紫の奴を呼べないけど……アンタ達何者? ルーミアを一方的に叩きのめすって唯の外来人じゃないわよ?」
「ちょっと待て、その外来人ってのに説明してもらいたいんだが」

外来人。 先程の化物少女ルーミアも言っていた言葉。 霊夢はうーんと腕を組み唸ってから顔を上げて2人を見ながら簡潔に説明した。
「詳しい事は紫に話してもらうとして、要するに外来人ってのはこの幻想郷の外から来た人間の事を指すわ」
簡単な説明を聞いて「成る程」と混世は納得するが、霊夢は先程『ルーミアを一方的に叩きのめせた理由』についての説明を受けていない。
混世の代わりとして愛染が自分達の事について話す事にした。
「実は僕達は外の世界の魔法使いでね……彼は魔法でそのルーミアって子を相手に一方的な戦いをしたってところだね」
「魔法、ね……」
魔法の説明は必要かと霊夢に問いかけるが「知り合いの魔法使いがいるから大丈夫」と素っ気なく言い、そうそうと言い居住まいを正して2人の方へ向き直った。

「アンタ達、今日は此処に泊んなさい。 それで明日慧音にルーミアの事で謝りに行くわよ」
「は? 何でだ?」
「アンタ達がルーミアを痛めつけたからよ……あの子、慧音のとこで学んでる生徒の1人だからね」
その言葉に混世はうへえと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、愛染は「まあ怪我させちゃってるし仕方ないね」と苦笑しつつも霊夢の言葉に頷き、話の続きは慧音を交えてからという事で一眠りする事にした。__





__朝になった。
季節は夏なのか蝉の鳴き声が聞こえ、混世は深い眠りから目覚めた。
鼻腔をくすぐる味噌汁の匂いにフラフラとつられて部屋の一室に辿り着くと自分と自分達の分を作った霊夢に遭遇した。
「おはよう、取り敢えずもう1人の外来人の方も起こしちゃってくれる?」
「ん……」
混世は寝ぼけたままコクリと頷くとポケットからルーミアを叩きのめした銀色の液体が入った小瓶を取り出して中身を庭先にぶち撒け、解き放たれた液体は愛染の方へ向かい起こしに行った。

……暫くして愛染と液体が戻ってきて液体を小瓶に戻すと静かに朝食をとり、全員が食べ終えれば皿や茶碗を水に浸しながら人里へ向かうと霊夢は2人に言った。
「いい? 慧音はちょっと頭が堅いけどちゃんと説明をすれば許してもらえると思うから余計な事は言わないようにね?」
「「分かった」」
2人とも頷いたのを確認すれば霊夢は境内へと出て宙へと浮かび上がった。
「ほら、魔法使いなら飛べるでしょ?」
「まあ確かにね」
そう言って愛染と混世も境内に出ると愛染は霊夢同様宙に浮かび上がり、混世は液体を足に纏わせてジェット噴射のように宙へと飛んだ……__

Re: 東方双魔使 ( No.5 )
日時: 2018/08/10 23:55
名前: レヴァニラ (ID: ZVqxEqci)

空を飛び人里へと向かいながら霊夢の案内の元混世と愛染の3人は其々の能力について話していた。
「霊夢さんの『空を飛ぶ程度の能力』……聞くだけでは飛ぶだけとしか思われないですがね……」
「それは解釈次第だろ。 飛ぶ=浮くと考えると『存在が浮く』だのになって最悪触れる事すら出来ないとかなりかねん」
霊夢の右側を飛ぶ愛染の言葉に左側にいた混世は何事もなかったかのように言いのけ、霊夢はその鋭い考察力に舌を巻いた。
「私としては2人の魔法にちょっとした興味があるけどね、愛染の魔法はアリスに似ているけど……混世のは、その『魔法生物』ってのを作り出すって感じ?」

つい先程案内の途中でそれぞれ自己紹介していたからかそれぞれ名前を知っている。
霊夢の言葉に混世は「概ねあっている」と答え、更に付け加えるならばと簡単な説明を始めた。
「より正確には『金属のスライムしか作れない』な、才能が全くないから自力で飛ぶ事すら出来ない」
「ふうん……才能、ね……」
才能。 その単語を呟いた霊夢は何か思うところがあったか押し黙り、暫く沈黙が続く中人里が見えてきた。

霊夢の指示で入り口の方に降り立てば、其処には屈強な男が長槍を持って霊夢達をジロリと睨め付けてきた。
「今日もご苦労様。 今日は慧音に用があるから通してくんない?」
「慧音先生に用があるのは分かりましたが……」
男達の視線の先、コートを脱いで腕にかけるように持って口元を緩めている愛染と魔法生物を小瓶に戻してポケットに手を入れて此方を見る混世を訝しむように見た。
霊夢はそれに気付くと「慧音とちょっとしたいざこざがあるから謝らせる為に呼んだ」と簡潔に説明し、何とか人里の中へと入り込む事が出来た。

人里は賑わっているのか、大通りは様々な店が並び人々は忙しなく動いていた。
「賑わっているな……」
「そりゃ勿論。 此処は数ある人里の中でも一番大きい所だからね」
何の事もないかのように霊夢は言いながら人混みの中を歩き、混世や愛染もぶつかりそうになれば謝りながら道を開けてもらいつつ霊夢の後をついていった。
……暫く歩いた先、寺小屋が見えた霊夢は「この先に慧音がいるから、あとは頑張んなさいよ」と適当に言って手をヒラヒラさせながら来た道を戻っていった。

2人は互いに顔を見合わせた後、愛染が苦笑し混世は溜息を吐いて寺小屋の方へと歩いていった……__