二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 東方双魔使 ( No.6 )
日時: 2018/08/13 22:44
名前: レヴァニラ (ID: Ba9T.ag9)

寺小屋だから当然生徒はいる。
慧音という人を探す為に玄関から履物を脱いで片手に持ちながらブラブラしていると、水色の髪のウェーブがかかったセミショートに透明度の高い氷のような羽根を生やした少女が2人を見上げていた。
「あれ? アンタ達見ない顔ね」
「「……」」
2人はこの少女と初見でありながら全く同じ事を……本当に失礼な事なのだが、この少女に対する評価が脳内で直感的に下された。

((此奴は⑨だ、間違いない))
「ちょっと! 聞いてるのか?!」
⑨がギャーギャーと喚き散らし愛染の衣服を掴んでグイグイと引っ張り、混世は……そんな⑨の友達だろうか……緑髪を左のサイドテールに纏め、鳥とも虫とも似つかない羽を持つ少女がオロオロと水色の髪の少女を窘めようとしているところを眺めていた。
「ち、チルノちゃん……やめようよ、その人達怖そうな人だよ……」
「大丈夫! あたいは最強だからこんな人間達をコテンパンにしてやるわ!」
「……コテンパン、ね……」
何かを思いついた混世はチルノ、と呼ばれた少女の目線に合わせるように屈み、一つの問題を出した。

「最強のチルノちゃんに問題だ。 コテンパンってどんなパンだ?」
「え? えっと……」
混世が出した問題ですらない問題に真剣な表情で考え始めたチルノに緑髪の少女は「チルノちゃん、コテンパンは……」と何か助言をしようとしたところで混世は待てとばかりに少女の口元に人差し指を添えて黙らせ、暫くしてチルノは自信満々に言った。



「コテンパンはきっと美味しいパンよ!」
「此奴は馬鹿だ! ⑨だ! 間違いねえ!」

自信満々に間違えた解答を出したチルノをぞんざいに扱い、馬鹿にされたチルノは憤慨。
「⑨って言うな! ⑨って言った方が⑨だぞ!」
「ハイハイ、可愛い可愛い最強最強」
憤慨するチルノの頭を撫でながら適当によいしょする混世。 愛染は何かに気付いたのか混世の肩を叩き背後を指差した。
「混世、混世。 後ろ後ろ」「あわわわ……」
「……?」
愛染と少女が後ろを見ている為視線を追うように後ろを振り返る混世。

……其処には怖い笑みを浮かべた女性が立っていた。
「あっ……(察し)」
「おー、けーね!」
側から見ればとんでもない現場だ。 幼女好きな悪兄さん(誤字にあらず)と勘違いされるその現場で、けーね……上白沢慧音に見つかったのだ。
慧音は混世の肩を叩き立ち上がらせ、上半身を仰け反らせてから一気にお辞儀をするかのように……ヘッドバット、俗に言う頭突きを混世の額へと叩き込んだ。
哀れ混世、その頭突きの威力が予想以上だったか意識を刈られて膝から崩れ落ちる際「慧音先生と呼べと言っているだろう!」という怒声と自分も聞いた鈍い音を最後に意識を手放した……。



「……えっと、慧音先生であってますか?」
「……? 私が慧音だが君は、いや君達は?」
気絶した混世に代わり愛染は取り敢えず話を進めようと混世と今の惨状を心の中で無かった事にして慧音と話し合った……__

Re: 東方双魔使 ( No.7 )
日時: 2018/08/16 23:36
名前: レヴァニラ (ID: Ya3klDgh)

「此処だ、入ってくれ」
慧音に部屋に案内され「失礼します」と愛染が先に入り、次に緑髪の少女……後に聞いたが大妖精という名前らしい……とチルノに手を引かれながら混世が入り、最後に慧音が入った。
混世は気絶から復帰後、自分を見下ろす2人に大丈夫か聞かれ立ち上がったものの足元がおぼつかなく、大妖精とチルノに手を引かれていた。

「……随分懐かれたね」
「何の話だ……」
混世が座れは大妖精とチルノが膝の上にちょこんと座り、混世はその2人の頭を撫でていた。
「……その子達に変な事をしでかしたら……」
「分かってるから落ち着け……まだ頭が痛えんだよ……」
慧音の頭突きが予想より遥かに強かったからかしかめた面で言いつつ、代わりに愛染から話を切り出した。
「えっと……実は僕達、昨夜ルーミアという子に襲われまして……それを混世が過剰な反撃を与えて大怪我をさせてしまいまして……」
「……日が跨ぐ頃にボロボロのルーミアが私の所にやってきたのはそういう事か……」
ちらりと横目で混世を見れば、その混世はチルノに首にしがみつかれ、大妖精は顔を赤くしながら混世の体に背を預けていた。

「「……」」
「……助けろ」
「……実は今、ルーミアは永遠亭と呼ばれる場所にいて「えっ、無視?」そこで暫くは安静にするようになっているんだ」
愛染と慧音は混世を無視して話を進め、愛染は一度考えてから「じゃあ」と話を切り出した。
「ルーミアちゃんを怪我させたのは僕達が悪いですし、お見舞いに行っても大丈夫でしょうか……?」
「ふむ……まあ見たところ君は礼儀を弁えていそうだから大丈夫だろう……地図を書き記すから待っていてくれ」「いや無視ってオイ」
「何から何まですみません……」「助けろって言ってんの聞こえてました? あっ、冷え……」
慧音が一度部屋を出て行き、愛染は溜息を零して混世の方へ向き直った。

「大人しくしてなさい!」
「この現状を見てよく言えたな!?」
猫のようにじゃれつくチルノと胸板にぐりぐりと頭を押し付ける大妖精、そんな2人に懐かれた混世は愛染の言葉にツッコミを入れるのだった……。__



__地図を手に入れた愛染と混世は途中八百屋に寄り(何故か幻想郷の金に換金されていたが)果物をいくつか買い、人里を出てから永遠亭へと飛ぶ事にした。
「ルーミア元気でいるかなー?」
「ルーミアちゃん元気だといいねチルノちゃん」
「「……」」
……何故かついていくかのようにチルノと大妖精が愛染と混世と並んで飛んでいるが。
「……ついてこなくてもいいんだぞ?」
「えー? こんせーおもしろくて気に入ったから最強のあたいと大妖精もついていくよ!」
「よ、よろしくお願いしますね……」
2人の言葉に混世は額に手をやり「oh……」と呟き、愛染は「未来のお嫁さん候補かな?」と混世をからかった__