二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- サンドスクレイパー Another story
- 日時: 2012/06/06 21:06
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
これはボカロ曲
「サンドスクレイパー ー砂漠の特急線ー」
の二次創作です。
ちょっとキノの旅っぽいのも入るかも。
てか多分ほぼそうなるね、うん。
まぁ、サンドスクレイパー×キノの旅みたいに解釈して下さい。
そして何故かボカロメンバー出てこない。
序章 >>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06
一話 >>07
- Re: サンドスクレイパー Another story ( No.2 )
- 日時: 2012/06/04 07:17
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
「そう言えば父さん、明日はサンドスクレイパーがこの町に来る日だね!」
「そうだ、サンドスクレイパーと言えばジン!お前、倉庫にある“アレ”磨いておけよ?」
「……はい」
ジンは聞こえるかそうでないかの声で返事をして、ふらふらと倉庫へ向かった。
「父さん、ついに“アレ”が僕のモノに……!?」
「ああ、そうだ」
「ここ、だっけなぁ……」
ジンは倉庫のいかにも重そうなシャッターをやっとの事で上まであげると、中へ入っていく。
「うわ、埃っぽい」
ジンは一、二回咳をすると、迷いも無く奥へ向かった。
「そうそう、これだ」
たいそう嬉しそうな声でジンはそれを丁寧に磨き始める。
元々茶色がかった黄色だったであろう色が埃を被ってしまっていたが、次第に色を取り戻していく。
「……終わった」
ジンはぽつりとそう一言言うと、倉庫を去ろうとした。
その時。
『オイお前、この俺は誰に乗られるんだ?』
「……は!?」
ジンはしばらく周りをキョロキョロしたが、言葉を発せるものが自分しかいないと分かると、「幻聴」と判断した。
ただそれは常識の範囲内で、な訳で。
常識以外だったら何が喋ってもおかしくはない。
そう、例えば。
『俺はさっきお前が磨いたバイクだよ!』
さっきまで磨いていたバイクが喋ってもおかしくは……無い。
- Re: サンドスクレイパー Another story ( No.3 )
- 日時: 2012/06/05 07:16
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
「……冗談だよな、ハハ……」
ジンは引きつった笑いを浮かべると、さっさと倉庫を去ろうとした。
『だーかーら!俺は誰に乗られるんだっつーの!』
バイクが声を張り上げる。
「それは……息子さんじゃあ無いのかな……?」
多分、そうだ。
これは元々息子への誕生日プレゼントだと言っていたし。
だから誕生日が明日に迫った今、これを磨く事を命じられたんだ。
『フーン……』
バイクは自分から聞いたくせに興味無さげに返答した。
そして。
『あのさ、そいつはちゃんと乗ってくれるのか?』
「……は?」
それはジンにとって愚問だった。
なんせバイクだ。
乗る事が目的である。
「まぁ……乗るんじゃね?」
乗らなかったら……何するんだよ、バイクで。
ジンは真面目にそう思った。
(ま、このあとこのバイクと関わる事は無いだろうなぁ)
『じゃあさ、お前は俺に乗りたいか?』
「へ!?」
訳分からない。
だってこれは息子さんのバイクだ。
俺が乗るなんて事はまず有り得ない。
でも、もし乗れるなら。
「……乗りたい」
ジンはそう言って、倉庫を立ち去った。
バイクがクスクス笑っている事も知らず。
- Re: サンドスクレイパー Another story ( No.4 )
- 日時: 2012/06/06 07:26
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
翌日。
「坊ちゃんお誕生日おめでとうございます!」
いたる所でそんな声が聞こえる。
そして、ジンはと言うと……
「おーい、バイクー」
命令で再びあのバイクを磨きに行っていた。
『お前かよ……美人のメイドとかじゃねーのかよ……』
「失礼な」
そんな会話をしながら、ジンはバイクを磨く。
と言っても昨日磨いたばっかりなのでそんなに汚れてはいないが。
「はい、終了」
ジンはバイクに白いカバーを被せると倉庫を後にした。
夜。
「ほら、カバーを外してごらん?」
「うんっ!」
息子が勢いよく白いカバーを外す。
「うっわぁ……!」
そこに現れたのは、つい先程までジンと会話していたあのバイク。
(よく見るとカッコイイなぁ……)
ジンは少し息子が羨ましくなった。
しかし、この色何処かで見た気がする……
そうだ、サンドスクレイパーだ。
ジンは自分で結論を出した。
「父さん!僕はこのバイクを“飾って”皆に自慢するんだ!」
有り得ない。
バイクなのに乗らないなんて。
それじゃ、もう既にバイクじゃ無い。
そんな言葉を一気にはきだそうとしたジン。
言おうとして、深呼吸をしようとしたら。
『じゃあ俺はお前のバイクにはならねぇ!』
あのバイクが声を張り上げた。
- Re: サンドスクレイパー Another story【コメ下さい】 ( No.5 )
- 日時: 2012/06/06 14:21
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
「……え?」
息子は訳が分からないと言いたげな表情で父親に助けを求める。
訳が分からないのは一体どの部分なのか検討もつかないが。
バイクが喋っている事か、それともバイクが「息子のバイクにはならない」と言った事か。
はたまたその二つともか。
「お、おいバイク!お前は黙ってこの子のバイクになればいいんだ!毎日整備だってしてやる!」
『毎日、誰が整備すんの?』
「そこの薄汚いジンと言う名のカスがな!」
『……ふーん』
カス、と言われて少し腹が立ったがこの怒りは何処にもぶつけられない。
『……俺さ、毎日じゃなくてもいいから自分を使ってくれる人に整備されたいんだけど』
「父さん、このバイク黙らせといて」
感情を出来るだけ押し殺した声で息子が命令する。
「でも、このバイクは僕の玩具だからね?」
「……分かってるよ……」
そうして資産家家族とメイドは退散していった。
ただ一人、ジンを除いて。
『お前、ジンって言うんだな』
「ああ。じゃあお前は何て名前なんだ?」
『名前?んなの知らねぇ。ただ一つ名前みたいのがあるが……』
「へぇ。じゃ、それ名乗れば?」
『したいんだけどなぁ……それが無理だ。それよりジン、バイクの操縦分かるか?』
何言ってるんだ、コイツ。
ジンは不思議に思いながらも首を横に振る。
『じゃあ俺がやり方を教えてやるから、お前はとりあえずそこの茶色のコート着ろ。夜は冷えるからな』
「え、ちょ」
『燃料は充分だな……よし』
もっと頭が混乱してきた。
「えっと、何する気だよ……?」
返答は、思いがけないものだった。
『決まってるだろ?“この町から出る”んだよ』
- Re: サンドスクレイパー Another story【コメ下さい】 ( No.6 )
- 日時: 2012/06/06 14:54
- 名前: 奏緋 (ID: gOceoAmU)
「……この町、から……」
ジンはごくりと唾を飲む。
茶色のコートを着ながら。
『ああそうだ。お前はもうこき使われなくて済むんだぜ?あ、あと食料な』
「後食料かよ……んなの厨房から取らないと無理だっつーの」
『いや、倉庫にもその辺に携帯食料が』
「本当だ」
ジンは携帯食料をコートのポケットに三つほど突っ込むとバイクにまたがった。
「んで、どうすりゃいーの?」
『えーと……』
「……走った」
ジンはただただ驚いていた。
『どうだ?初めてバイクで走った感想は?』
「気持ちいい」
ゲートをあっさり抜ける。
そして、彼らの目の前に現れたのは。
「サンド、スクレイパー……!?」
月光に照らされて颯爽と走るサンドスクレイパーだった。
『……でか』
「格好いいな、本物は……」
その言葉にバイクが反応した。
『お前さ、本当のサンドスクレイパーはあれじゃ無いんだぜ?』
「え、嘘」
『本当本当』
……本当かなぁ
ジンは疑う。
「じゃあさ、その本当のサンドスクレイパーって何処にあるんだよ」
『お前が乗ってる』
「ふーん……」
……今、流せない言葉を聞いた気がする。
「まさかとは思うけどお前……」
『そ。サンドスクレイパー。元々俺の事を指してたんだけど俺を作った人があんな馬鹿でかい列車を作ったモンだから、すっかり名義奪われた』
はははっ、と笑うバイクもといサンドスクレイパー。
『てかさ、名前つけてくんねーか?』
「あ、うん。じゃあ……レンとかどう?」
『それでいっか』
他愛ない話をしながらレンを走らす。
城壁が見えてきた。
この掲示板は過去ログ化されています。