二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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VOCALOID短編集【鏡音多し】
日時: 2012/12/22 18:49
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

始めましての方は始めまして。
月森和葉(つきもりかずは)と申します。
以前に「からくり卍ばーすと」という小説を書きましたので、そちらもよろしくお願いします。
小説を書いたには書いたけど、短いので1つの小説として投稿するのもどうかと思ったので、短編集にしてみました。

私が鏡音廃なので、鏡音多しです。
また
ひとしずくP
SCLproject(natsuP)
が好きなので、その辺も多いです。
mothy_悪ノPも好きなのですが、あの方はご自分で小説を書いていらっしゃるので、私は遠慮しようと思います。
*コメ下さい。
*リクエストありましたらどうぞ! 出来るだけご希望にお答えしようと思います。
*短編集ですので、どこからでもお好きなところからお読み下さい。

目次
所々入り交じっておりますが、気にしたら負ける(`・ω・´)
 深海シティアンダーグラウンド 田中B feat.鏡音リン >>1 >>7 >>13-14
 カゲロウデイズ じん(自然の敵P) feat.初音ミク >>2 >>10-11
 Dark Side Of The Moon SCLproject(natsuP) feat.Len(鏡音レン) >>15
 Le rouge est amour SCLproject(natsuP) feat.Gackpo(神威がくぽ) >>17
 秘蜜〜黒の誓い〜 ひとしずく×やま△ feat.鏡音リン・レン >>18-26
 Bad∞End∞Night ひとしずく×やま△ feat.初音ミク・鏡音リン・レン・KAITO・MEIKO・巡音ルカ・GUMI・神威がくぽ >>27 >>33-36
 囚人と紙飛行機 囚人P feat.鏡音リン・レン >>39-42 >>44 >>46-48 >>52 >>55
 LOVELESS××× SCLproject(natsuP) feat.VanaN'Ice >>38 >>50 >>57
 ローリンガール wowaka(現実逃避P) feat.初音ミク >>67-68 >>71-72 >>79
 スーパーヒーロー Nem feat.鏡音レン >>80-81 >>85 >>87 >>89 >>91-92
 弱虫モンブラン DECO*27 feat.GUMI >>94-95 >>98-101
 暗い森のサーカス マチゲリータ feat.初音ミク・鏡音リン・レン >>105 >>108 >>110-111 >>113-114

【がくっぽいど生誕祭】
 約束 のりぴー feat.神威がくぽ >>115
 Episode,0 かにみそP feat.神威がくぽ >>118
 蜃気楼のジャンナ ちーむ炙りトロ丼 feat.神威がくぽ >>123
 太陽の絆 SCLproject(natsuP) feat.神威がくぽ >>124
 空に届く砂の山 ナタP feat.神威がくぽ >>127
 蟲と桜、嘘とコンクリート otetsu feat.神威がくぽ >>128
 エゴイスティック No,D feat.神威がくぽ >>132

 人生リセットボタン kemu feat.GUMI >>133 >>135-136
 六兆年と一夜物語 kemu feat.IA >>143 >>145
 背徳の花 ひとしずく×やま△ feat.鏡音リン・レン >>146 >>148 >>151 >>153
 ジェミニ Dixie Falatline feat.鏡音リン・レン >>154 >>156-157
 Pane dhiria 新城P feat.KAITO >>161-163
 東京テディベア Neru feat.鏡音リン >>166-168
 トゥインクル Junky feat.鏡音リン >>170-171
 秋月 Nem feat.神威がくぽ >>173-174

【初音ミク生誕祭】
 メルト ryo feat.初音ミク >>179
 からくりピエロ 40mP feat.初音ミク >>181

 粘着系男子の十五年ネチネチ 家の裏でマンボウが死んでるP(タカハシヨウ) feat.VY2 >>184-185 >>187-190 >>192

【MEIKO生誕祭】
 MIRAGE of DREAM Project MOON(月計画) feat.MEIKO >>193
 Nosatlogic yuukiss feat.MEIKO >>194
 黄泉桜 仕事してP feat.MEIKO >>195

 筋肉痛駆け落ちの滑稽な結末 家の裏でマンボウが死んでるP(タカハシヨウ) feat.GUMI >>196-199
 アザレアの亡霊 トーマ feat.初音ミク >>201-204

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秘蜜〜黒の誓い〜 ( No.22 )
日時: 2012/06/24 11:53
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


 次の日、少女が幾ら家の中を捜しても、天使は見つからない。
 帰ってしまったのか少女は残念に思ったようだったが、天使は帰ったのではない。
 そもそも翼が折れているのだから、帰れるはずもない。
 では、天使は何処へ行ったのか?

 数日後。
 少女と男爵の、結婚式の一日前。
 眩しいくらいに青い空を見上げて少女が眼を細めると、どこか遠くで小さな破裂音が二つした。

秘蜜〜黒の誓い〜 ( No.23 )
日時: 2012/06/24 21:35
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


 遂にやってきた、少女と男爵の結婚式。
 少女は暗い気持ちで朝を迎えた。
 今は亡き前の夫を尊重し、ウエディングドレスは真っ黒に染まっている。
 黒いヴェールを掛けた頭が俯いた。
 その先には花々が美しく咲き誇ったガーデンが広がっている。
 そこに、一人の少年が立っていた。
 ここは教会の敷地内なので関係者以外は入れないはずだが、少女はそんなことは気にしていなかった。
 どこかで見たことのあるような蒼い瞳で、儚く笑う。
 眼が合ったその瞬間に、少女の小鳥のような心臓の鼓動が早まる。
 深いマリンブルー。その手で触れたらあっという間に霧散してしまいそうな儚さ。
 その少年に、少女は一目で夢中になった。
「こんにちは」
 少年の口が開いた。
「奇麗なところですね」
 少女の口は、虚しく宙を空回るだけだ。
「貴女の瞳もとても奇麗だ」
 少女は、自分の胸が信じられない想いで一杯になるのを感じていた。
 この少年が欲しい。
 この少年の心が、欲しい。
「失礼ですが、今日は貴女の結婚式なのかな?」
 ようやく少女の口が動き、意思表示をする。
「そうですか。しかし、貴女はその結婚を望んでいないように見える。違いますか?」
 少女が大きく喘いだ。
「どうですか。貴女さえよければ、僕と一緒に来ませんか?」
 少女は首を振った。
 男爵を悲しませるようなことは出来ない。
「どうして?僕は、貴女が僕に何を求めているか知っている。それでは駄目なのですか?」
 駄目だ。
 この少年に、嘘はつけない。
 恐る恐る少女が手を伸ばすと、その手を少年が優しく受け止めた。
「さあ、行きましょうか」
 前方から吹いてきた優しい風によって、少女の被っていたヴェールが飛ばされた。
 少女はそれすらも気に留めず、少年に従って歩いていった。
 男爵が少女の様子を見に来たとき、既にそこには少女の姿はなく、風に飛ばされたヴェールが虚しくはためいているだけだった。

秘蜜〜黒の誓い〜 ( No.24 )
日時: 2012/06/25 22:30
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


「ここが僕の家です。さあ、どうぞ」
 高鳴る胸を抑えつつ、一歩一歩階段を踏みしめながら登る。
 扉を開けると、そこに並んでいたのは簡素なベッドと小さな机だけ。
 少年が一人で住むにしても、ここは寂しすぎる。
 家族は、と問うと、少年は困ったように笑った。
「困ったな。僕に家族は居ません。でも、こうして堂々と貴方を連れ込むことが出来る。その代償としては、ちょうど良いくらいだと思いますが」
 少女は俯いた。
 その少年の言葉で我に返ったが、それを少年は直ぐに忘れさせた。
 少女の大理石のような頬に口づけると、少女の細い身体を抱き締めた。
「僕と、男爵。どちらがいいですか?」
 少女も何も言わずに抱き締め返した。
「温めて欲しいのですか?」
 少年の妖艶な笑みも、優しい口づけも、少女を惑わせるには充分だった。
 清らかな結婚の誓いなど、ここには無用。
 あるのは、ただ単に求める熱と、純粋なる愛情だけ。
 少女の頭から、今さっき結婚するはずであった男爵のことはすっかり消え去っていた。
 後悔はしていない。
 後悔など、している暇もない。
 少女は、少年の愛と身体に溺れていった。






……はい、すいません。
いきなりぶちかましました。
正直言うとここが書きたかったんですよね!
ええ私は変態です何か問題でも
mothy_悪ノPの大罪シリーズでは「悪徳のジャッジメント」と「ヴェノマニア公の狂気」って言うとかなりの人に退かれます。
だって鈴ノ助様のがくぽ格好いいじゃないかって思うのは私だけですか。
変態的な趣味の人達は私だけですかーっ!?
……すいません……。

秘蜜〜黒の誓い〜 ( No.25 )
日時: 2012/06/27 22:16
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)


「僕に、お金はあまり在りません。でもいつか、貴方に相応しい、指輪を買ってこようと思います。だから、今は—」
 少年は足下の花を摘むと、器用に輪を作って少女の左手の薬指に填めた。
 少女が顔を綻ばせると、少年も楽しそうに笑う。
 ただ、そんな幸せな日々も、長くは続かなかった。

秘蜜〜黒の誓い〜 ( No.26 )
日時: 2012/06/27 22:53
名前: 月森和葉 (ID: Lx/gxvCx)

 少年はその時、用があるとかで家を空けていた。
 家の中には少女しか居なかった。
 少女は、少年から貰った花の指輪を愛おしそうに眺め、少年の帰りを心待ちにしていた。
 その為、部屋の中に誰かが入ってきたのにも気付かなかった。
 入ってきた男は物凄い形相で少女の背中を睨み付け、次の瞬間にはその手にした拳銃で少女を撃ち抜いた。
 無粋な鉛の玉は、少女の繊細な身体を突き抜ける。
 何も知らない哀れな少女は血だまりの中に倒れ込んだ。
 男が満足して帰ろうとすると、後ろに人の気配があった。
 少年が帰ってきたのだ。
 抱えていた荷物と上着をその場に取り落とし、慌ててし少女に駆け寄るも既に息はない。
「—何故だ。」
 少年が男—蒼髪の男爵—に向かって言った。
「何故彼女を殺した。」
 すると男爵はあろう事か楽しそうに表情を変えた。
「ほう?お前だったか、人の嫁さらいは」
「答えろ。何故、殺した。」
「何故?—そうだな、しいて言えば—」
 男爵はそこで言葉を切り、少年を見た。
「この俺を、裏切ったからだ。お前の時も殺してやれば良かったんだがな。お前は殺して死ぬような奴ではないし、それに、お前は俺の女達の中で一番可愛かったからな」
 最低だ。
 こいつは、本物の外道だ。
 自分は何も知らないふりをして、いつも沢山の女を囲っていたのだ。
 自分も、そのうちの一人だったのだ。
 少女に眼を付けたのは、自分の傍に居るに相応しいと感じたから声を掛けたのだ。
 結局、自分も彼女も、この男に良いように使われていただけなのだ。
「—やはり、逃げて正解だったな。貴様のような外道に私や彼女は似合わない。彼女は自分から私の元へ来たのだ。貴様なぞより、私の方が彼女にとってよかったのだ。」
 少年は床に横たわる少女の亡骸を抱き上げた。
「貴様は、やはり人として、いや、天使としても最低の男だ」
「なっ—!」
 怒りにまかせて、男爵が引き金に指を掛けた。
「落ち着け。そう焦らずとも私はもう間もなく死ぬ。その前に、ここから出て行け」
 途端に、男爵は少年の蒼い瞳に射竦められた。
「出て行け。二度と顔を見せるな」
 少年の剣幕に、男爵は先程までの気迫は何処へやら、部屋から転がるようにして出て行った。
 二人きりになった部屋の中で、少年が何かを呟いた。
 すると、みるみるうちに少女の身体に体温が戻り、魂の鼓動が聞こえてくる。
 少女が緑色の瞳を持ち上げると、そこには、いつもは結んであった髪の解けた少年—少女が救った天使の顔があった。
 天使の蒼い瞳から、一筋の涙が零れる。
「—さようなら。貴女のことが、大好きだったよ—」
 それを最後に、少女が幾度となく抱き締めた天使の身体は、融けるように霧散していってしまった。
 後から、一枚の真っ黒な羽根が舞い落ちてくる。
「—い、」
 少女の瞳が大きく見開かれる。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 少女の甲高い悲鳴がこだました。
 天使は、自分のために、天使であることを捨て、翼を捨てたのだ。
 だから、少年の背中には二筋の傷があったのだ。
 少女は天使の遺した黒い羽根に顔を埋めて泣いた。
 その涙は枯れることはなく、いつまでも流れていった。

 その後の少女の生き様は分からない。
 一生を未亡人で過ごしたとも、天使の子を腹に宿したとも言われているが、真相は定かではない。
 ただ、一日一日をゆっくりと過ごし、いつも黒い服を身に纏っていた。
 それは、じっと、自分が愛し、愛された天使に逢うのを、ずっと待っているかのようにも見えた。
 罪の果実が朽ち果てるまでには、まだ時間がある。
 だが、いつかその時は訪れて、少女と天使を再び相見えようとするだろう。

                    〈〈 終 〉〉


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