二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ドラクエ8〜瞳の中の竜〜
日時: 2014/02/12 14:28
名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: 9kyB.qC3)

 ——許せなかった。何もかもが。
 自分からすべてを奪った。愛するものを、大切なものを。その怒りを紫のドラゴンにぶつけた……
〜瞳の中の竜〜

 皆さん、お久しぶりな方が大勢だと思われます、朝霧です。
PCがやられて意気消沈していましたが、やはりドラクエ8熱を忘れれず再度スレを立ててしまいました。
不定期更新になるとは思いますが、よろしくお願い致します。ドラクエ8では、サーベルト兄さんが好きです←

!小説概要。
①ドラゴンクエスト8の二次創作
②オリ主のオチは8主。
③本編にない設定など盛りだくさん。
④一部キャラの扱いが悪い(特にドルマゲスとか)
以上です。よろしくお願い致します。

本編
序章 瞳の中の竜

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Re: ドラクエ8〜瞳の中の竜〜 ( No.1 )
日時: 2014/02/09 22:05
名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: LkHrxW/C)  

前章
終わりの物語

 暗闇の中で誰かが泣いていた。嗚咽を漏らしながら、誰かの名前を呼び続ける。助けて、助けてと懇願する。
 早く、ここから逃げ出したかった。早く、ここから出たかった。
 そう思い、唯一頼れるモノを呼び続ける。だが、

「……おい、こいつがどうなってもいいのか!」
「……分かりました。手を引きましょう」

 いつも返ってくるのは、恐ろしい声で。
 誰も助けに来てくれなかった。

 それから幾ばくかの時が過ぎ——助けはやってきた。

「ようこそ。月の世界へ」

身体が燃えるように熱い。
引き裂かれた腕は熱を帯び、じわじわと痛みが襲ってくる。本来なら倒れてもおかしくないのに、立つことが出来るのは、強い感情のせいだった。身を支配する怒りと悲しみだけが、己を立たせている。
ふと前を見れば、一人の男が立っていた。背中まで伸ばされた金髪を持つ、美しい男。黒いワンピースに似た服の上に、赤いチュニックのような服を着た男だ。チュニックの上には、何かの生き物が翼を広げた姿を象った模様が刺繍されている。
変わった服も目を引くが、一番目を引くのは耳だった。姿形は人そのもの。しかし。耳は、尖っていた。まるで伝説上の生き物である、エルフのように尖っているのだ。
男は静かにこちらを見据えると、口を開いた。

「……よ。そのような姿に変わり果てても、分かるぞ。お前は、……なのだろう?」

その言葉に抗議するかのように、咆哮が上がる。許せない。この男は許せない。その感情だけが頭を支配し、男の言葉など耳に入ることはない。
倒してやろうと鋭い爪を振り上げると、男は持っていた錫杖を天にかざした。

「まだ罪を重ねる気か?ならば……」

強い光が錫杖から放たれた瞬間。身体が動かなくなった。金縛りにあったかのように身体が固定されてしまい、言うことをきかない。
ぐるる、と唸りながら男を見れば、無言で見つめてきた。

「ならば、罪には罰が必要だろう」

——その言葉を聞いたリリアは、がばっと飛び起きた。

〜つづく〜
緋兎雫の小説、実は私が書いていました。
今度は合作と言う形で続きを書きます。

Re: ドラクエ8〜瞳の中の竜〜 ( No.2 )
日時: 2014/02/12 14:17
名前: 朝霧 ◆14iGaWqIZs (ID: 9kyB.qC3)

怖くなり、辺りを見渡すが見慣れた自分の部屋だった。金の髪の男はいない。ふう、とため息をつき、リリアは起き上がる。リリアは今年で16になる少女。
本名はリリアーナであるが、その名で呼ぶものは少なく、大抵リリアと呼ばれている。
リリアは、背中まで伸ばされた茶色の髪と明るい緑の瞳を持つ。黙っていれば大人しそうに見えるが、今はずいぶんと眠そうだった。頭には白いが羽の飾りがついたおしゃれな帽子——はね帽子。服は膝の上まではある青のワンピース、その上に白いエプロンを身に付けていた。

「リリア、どうした?」
足下で声がしたので下を見ると、一匹の獣がうつ伏せの体勢のまま頭を動かし、リリアを見ていた。
黄色い身体に斑点模様が散るヒョウのような獣。口からはみ出る牙、手足に生える爪。噛まれたり引っ掛かれたりすれば、大怪我は免れないだろう。
この獣は人々にキラーパンサーと呼ばれる獣だ。別名地獄の殺し屋。出会えば死ぬ、と人々に恐れられる凶暴な魔物。

「セシル。また夢を見たの」

……と呼ばれるはずのキラーパンサーを、リリアはセシルと呼び、恐れる様子を見せない。

「竜に敗北する夢か?」黒い瞳を細めセシルが聞くと、リリアは頷く。

「今日は男が竜に変身する前まで、だったけど」
リリアは幼い頃から、時々奇妙な夢を見ていた。自分が巨大な紫色の竜に挑み、破れる夢。
先程夢に出てきた金髪の男はあの後、紫色の竜へと姿を変え、襲いかかってくるのだ。

「お前、今こそへなちょこだが前世は竜と戦う勇者だったのか?」

からかう口調で聞くセシルに、リリアは頬を膨らませて反論する。

「誰がへなちょこよ!?」

ベッドから足を下ろして靴を履くと、床でくつろいでいるセシルに近付く。セシルは立ち上がると全身を伸ばし、窓の方を見た。つられてリリアも眺めると、窓の向こうに広がる空は既に茜色となっている。リリアは目を丸くした。

「買い物行かないと……」

リリアは足下にいるセシルの上を跨ぐと、机の上にある布の袋を手に取る。そろそろ夕飯の支度をしなければならない。店は大抵夕方には片付いてしまうので、もう閉店してしまっているかもしれないが。<br />買い物に行こうと部屋から出ていくリリアの後を、セシルが追いかける。

「荷物くらい持ってやるからな。酒を買ってくれ」<b「まだあるでしょ!」


 リリアとセシルが暮らす街の名は、トラペッタと言う。ここから少し離れたトロデーン王国の城下町と位置づけられ、トロデーンへ行く商人や僧侶などが休憩する、宿場街として栄えている。
  辺りを巨大な石の壁——市壁しへきに囲まれ、出入口にはトロデーン王国から派遣された兵士もいる。城下町故か治安も安定しており、街には穏やかな空気が漂う。

「ん?」

 しかし、今日に限っては広場に近付くにつれ、街の空気がピリピリとしているのを、リリアは肌で感じ取っていた。

「セシル、空気がピリピリしてない?」

 リリアがセシル、と呼んだのはキラーパンサーではなく人間の少女だった。歳はリリアと同じくらい。黒い髪、黒い瞳の花売りの格好をした少女だ。
 セシルは難しい顔で俯いていたが、リリアが呼び掛けると顔を上げた。

「あれだろう」

 セシルが広場の方を指差す。その先を追うと広場の片隅に、馬車が一台止まっていた。
 馬車馬とは思えない美しい毛並みを持つ白馬が繋がれていたが、その手綱を持つのは奇妙な生き物だった。カエルのような頭を持つ、緑色の生き物。見た目は魔物のようだが、みすぼらしいローブを着ていたりと魔物にしては変な生き物だ。街の人々は、彼らを遠巻きに眺めていた。その顔には未知の生き物に対する恐怖、警戒の色が現れている。

「あー。あの魔物が原因みたいね」

 背伸びをして魔物を見た、リリアは呑気な声で言って人垣の後ろを歩き、露店に向かう。その最中魔物の処遇に関する話や、恐がる声が聞こえてきたがリリアはそれらを無視して店に行った。

〜つづく〜

Re: ドラクエ8〜瞳の中の竜〜 ( No.3 )
日時: 2014/02/10 23:52
名前: 春巻きさん ◆nZhKGkSNSA (ID: A4fkHVpn)

お上手ですね。街の景色がよく分かります。

Re: ドラクエ8〜瞳の中の竜〜 ( No.4 )
日時: 2014/02/11 23:54
名前: 朝霧 ◆CD1Pckq.U2 (ID: K9lkoYz9)  

魔物を恐れ誰も広場に近付かない中、リリアは堂々と魔物の前を横切り、目的の露店へと向かう。
街の人々は驚き、リリアに注目するが当の本人は気にしていない様子だ。リリアにとっては魔物よりも、夕飯の材料を買えるかの方が大切なことだった。
リリアが訪れたのは、野菜や果物を売る店だ。木箱の中には赤や緑、様々な色の野菜や果物が詰められていた。

「おばさん。これ、下さい」

箱に入れられた野菜と果物を幾つか取り、台の上に置いたが、店の女主人は青ざめた顔で魔物を眺めていた。

「おばさん?」

リリアが呼び掛けると、女主人は我に帰ったように瞬きする。

「あ、ああ……50Gだよ」
皮の袋からお金を出し、払うと女主人は野菜と果物を麻の袋に入れてリリアに差し出した。その荷物はセシルに持たせ、二人は帰宅の途につく。
流し目に広場を見れば、人々はまだ魔物を遠巻きに見ていた。

「魔物が街に入り込むとは、警備の腕も落ちたな。衛兵たちは何をしているのだ」
「さあ」

長い影を伸ばしながら、二人は茜色の空の下を歩いていった。

「ただいま、おじいさま」
そう声をかけながら家の扉を開け、リリアは硬直した。まず目に飛び込んで来たのは、荒れた我が家の光景。机と椅子がひっくり返り、本棚から落ちたらしい大量の本が床に散乱していた。
次に見えたのは部屋の真ん中に立つ一人の男。
背中まで無造作に伸ばされた銀髪が風で揺らされ、化粧で白く塗った顔がゆっくりとリリアの方を向いた。目を縁取る赤い線、赤と紫の目立つ衣服から察するに道化師なのだろう。
だが、道化師には不釣り合いな杖を持っていた。身の丈の半分ほどはあろう、木の杖。頭に鳥の頭を象った飾りを持つ杖だが、リリアはこの杖を好きになれなかった。鳥の頭には目の代わりに赤い宝石が埋め込まれているのだが、これが不気味にぎらつくのだ。気味が悪い。

「悲しいなぁ……可愛らしいお嬢さんたちのお出ましですか」

道化師は唇の端を持ち上げ、薄く笑う。その気味の悪い笑みを見て、リリアは鳥肌が立つのを感じた。

「うう……」

うめき声の方に目をやり、リリアは驚愕する。
そこには、白髪と立派な髭を蓄えた老人が壁に張り付いていた。大の字になったまま身体を動かそうと抵抗しているが、動けないようだ。

「おじいさま!」

その老人は、リリアの祖父であるライラス。
魔法を扱えば右に出るものはいない、と言われるはずのライラスが何故、壁に磔にされているのか。リリアはその光景を信じることが出来なかった。
祖父を助けようと一歩近づくと、男が待ちなさい、と声を張り上げる。

「どうなってもよろしいのですか?」

ニタリと気味の悪い笑みを浮かべながら、男はライラスの喉元ギリギリまで杖の先端を近付けた。

「貴様、何者だ?」

リリアを庇うように前に出たセシルが問うと、男は鼻を鳴らした。

「我が名は、ドルマゲス。あなたたちが人生の最後に出会う人間ですよ」
「は、何が人生最後だ。くだらん」

セシルは吐き捨てるように言うと、男はライラスの喉元に杖の先端を押し当てる。軽く力を込めたようにしか見えないが、ライラスは苦しそうに顔を歪めた。

「悲しいなぁ……これ以上私が力を込めれば、どうなってしまうかな?」

リリアが動こうとすると、ドルマゲスは杖を持ち上げ、ライラスめがけて降り下ろした。が、ギリギリで止める。

「お二人とも、動かないで下さいよ。動けば……」

分かっているな、と言わんばかりに杖を持ち上げる。リリアもセシルも、悔しそうにドルマゲスを睨むことしか出来なかった。二人の表情を見て、ドルマゲスは高笑いする。

「あひゃひゃ! いいですねえ、その悔しそうな顔。たまらなく可愛いですよ」
その言葉で背筋に悪寒を感じたリリアの行動は、素直だった。セシルが抱えている麻の袋に手を突っ込むと、中から赤いトマトに似た野菜を取り出す。

「そんなこと言われても、嬉しくないわよ!」

大きく振りかぶり、トマトに似た野菜をドルマゲスに向かって投げる。びゅん、と言う空気を切る音と共に、トマトに似た野菜はドルマゲスの顔に直撃。顔面にぶつかった衝撃でトマトに似た野菜は砕け、真っ赤な汁がドルマゲスの顔にかかる。
すると、ドルマゲスは悲鳴を上げ目を押さえた。

「ぐ、ぐああ! 目が、目がああぁ!」

痛そうに呻くドルマゲスの横で、ライラスが床に倒れこんだ。どうやら、解放されたらしい。
リリアとセシルはすかさずライラスに駆け寄る。

「おじいさま!」
「む、リリアか?」

ライラスは差し出されたリリアの手を掴み、ゆっくりと立ち上がる。

「おい、さっさと逃げるぞ!」
「おじいさま、走れる?」「ああ、なんとかな」

セシルが先に飛び出し、続けてリリアとライラスが外に出る。トラペッタの街の中を走って逃げる三人の後を、ドルマゲスが追いかけていた。

〜つづく〜


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