二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

デジモンストーリー【Liberty Gate】
日時: 2017/09/06 23:18
名前: ポカラ (ID: j5axgBAW)
参照: http://blog.livedoor.jp/digimon_pokara/

これは近未来化した世界のお話。
人間にとって既に必要不可欠の物になっているインターネット。
それは時代の流れにより視覚的、そして感覚的にアクセスが可能になった。
己の姿をアバターに置き換え、画面上でのやり取りではなくバーチャルリアリティとしてWeb上の情報を感覚的に体感することができる。
そのもう一つの世界…電脳空間 EDEN

しかし平和だったEDENに再び脅威が訪れようとしていた。
5年前の脅威…記憶から消されたことになった筈だった、無かったことになった筈だった世界の脅威が。
再び悪夢が始まる。



はい、長々とすみません。
そうです、デジモンストーリーサイバースルゥースの別のお話です。
世界観などはそのままに書いていこうと思っております。
実際に原作を知っている方も、そうでないかとも楽しんでいただけたら幸いです。
それでは宜しくお願い致します。


※諸々の都合上長らく放置してしまいました…
2年という月日が流れてしましましたが、今一度ゆったりと更新していこうと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
更新速度が亀並みのスピードですが、長い目で見て頂けると幸いです。



※登場人物 >>1
※世界観補足ページ >>20

※参照の欄URLはこの作品を纏めてあるブログに飛びます。
一気に読みたいという方にお勧めです。

——————————————————————————————
※更新履歴

第四章「清く 正しく 、そして美しく」更新>>60 17/09/03
第四章「清く 正しく 、そして美しく」更新>>61 17/09/06 ←NEW

——————————————————————————————
※目次

序章「異変の再来」 >>2
第一章 「デジタルモンスター」>>3>>4>>7>>8>>9>>10>>11
第二章「青春熱血!熱き拳」>>15>>16>>19>>21>>22>>24>>28>>29>>30>>35
第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」>>36>>39>>43>>44>>45>>46>>47>>54>>55
第四章「清く 正しく 、そして美しく」>>56>>57>>60>>61

——————————————————————————————


※お越しくださりコメントを残してくださった皆様

風死様 >>5
モノクロ様 >>12>>26 
YU-KI様 >>13>>33>>48
敷島クルル様>>17>>31>>37

どうもありがとうございます、またのお越しをお待ちしております。

——————————————————————————————

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



Re: デジモンストーリー【Liberty Gate】 ( No.53 )
日時: 2017/08/14 00:06
名前: ポカラ (ID: j5axgBAW)

>>管理人様

確認しました!ありがとうございました!

第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.54 )
日時: 2017/08/14 00:38
名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: j5axgBAW)

ガオモンは両の足に力を込めれば勢いよく地面を蹴り上げる、その反動と衝撃により彼の速度は普段よりも格段に底上げされた。
ケラモンを助ける、その一点に集中すればレアモンの元へと距離を詰めていく。
レアモンのヘドロ状の身体から飛び出ているケラモンの触手は完全に静止しているわけではなく、まるでもがいてるかのように慌ただしく動いているように見えた。それならば早めに助けることが出来れば最悪の結末は見ないで済むのかもしれない。

「はぁぁぁッ!」

距離が縮まれば、ガオモンはその右腕をレアモンの顔面へと繰り出した。風を切る音と共にその赤いボクシンググローブはベトロの顔へとめり込む。
そして怯んだ隙を見逃さず、ケラモンの触手へと目を向ければそれを掴み引っ張り出そうと試みる…しかし…

「オォォ…ォォ…」

気間の悪い雄叫びを上げながら、レアモンはその巨大な口を開くとガオモンを飲み込もうとする。
このままケラモンの触手を引っ張り続けていては、逃げるのが遅れ今度は自分がヘドロに取り込まれてしまう…それを瞬時に理解したのか止む無く触手から手を離し今度は両腕でレアモンの口を抑え込む。口を閉ざさせない様に、無理やりこじ開けるかの様に。

「た…タクト、リン…今の内にケラモンを引っ張り…出してくれ!」

グググと力を入れレアモンを抑えつけるガオモンだが、その表情は苦しそうだ。これだけ身体の大きさに差がある相手を力尽くで抑えつけているのも長くは持たないであろう。
しかし少しでも時間を稼げているのも事実、その間にケラモンを引っ張り出し救出してくれと叫ぶ。

「リンっ!しっかりしろ、まだケラモンは生きてる…今助けないと取り返しが付かないぞ!」

タクトのその言葉を聞いたリンは瞳に溜まる涙を無造作に拭い取りながら、その場から立ち上がれば直ぐに駆け出した。

「ごめん、そうだね…今助けるよ。待っててね、ケラモン!」

もう既に悪臭など苦でもなくなっていた、ヘドロの汚さも気になりもしない。今はケラモンを助ける、それしかない…そうすることしか出来ないのだから。
リンとタクトの二人はレアモンへと接近すれば、先程のガオモンの様に飛び出た触手に手を伸ばし力任せに引っ張り上げた。ヘドロには妙に粘着力があるのかまたはケラモンが奥まで埋まってしまっているのか、中々引き抜くことが出来ない。
少しずつ、微々たるものだがズズズと小さく音を立て抜け始めている感触が手に伝わる。もう少し、もう少し粘れば何とか助けられる…そう思った刹那。

「ゴゴォ…ォ…ジャマ…ダ…」

レアモンの身体全体から悪臭ガスが勢いよく噴出されれば、三人は弾き飛ばされてしまった。リンとタクトも今現在は電脳体の為痛みなどは感じなかったが、それでもガスの勢いには勝つことが出来なかった。

「クソ、もう少しだったのによ」

「あ、諦めないよ…もう一回…やってみる」

この状況だ、もはや悪臭の匂いなんて気にならなくなっていた。今はともかくケラモンの救出が最優先。危険ではあるが再度救出を試みようとした時であった、突然レアモンの身体が仄かに光りはじめる。
まるで火山の噴火の前兆の様にその光はどんどんと強さを増していき、やがてレアモンを赤黒く染め上げる。そして———。

ボゴオォォ!!

突如轟音と共にレアモンの身体が中心から弾け飛び、ヘドロが四方八方に飛び散った。
何が起こったのかはもはや一目瞭然。そう、ケラモンが飲み込まれた状態で体内から攻撃を仕掛けたのだ。

「け、ケラモン…良かった、無事だったんだね」

リンはすぐさまケラモンの元へと駆け寄ると、その身体を抱きかかえる。あちこちに付着したヘドロを拭ってあげれば安否を確認した。
無事だったとはいえ、一度レアモンに飲み込まれた身。ヘドロや悪臭により確実にケラモンを弱っていた。弱弱しく触手を動かすことで精一杯のようだ。

「ごめん…なさい、リン。わたしが油断したせいで」

ケラモンの言葉に、リンは優しく微笑みゆっくりと目を瞑れば首を横に振った。

「違う、違うよ。ケラモンのせいなんかじゃない…だから謝らないで。とにかくケラモンが無事で本当に良かった」

そんな二人のやり取りを見てタクトも安堵の表情を浮かべる、ケラモンは無事だった…そして気にする点はもう一つ。
四方八方に飛び散ったレアモンのヘドロに目をやれば案の状予想した通りであった。そのヘドロはピクピクと動きだすとやがて集まりはじめ、ゆっくりと身体を再構築していけば、その忌々しい姿が復活した。
レアモンは身体のあちこちから腐臭を吹き出し、気味の悪い呻き声を上げている。しかし先程とは違い様子が変であった。

「ォォォ…ゴ…ォ…ォ」

苦しんでいる?直ぐにその異変を察知すればガオモンへの指示を急いだ。

「ガオモン!奴は弱っている。今がチャンスだ!この機を逃すなっ!」

ケラモンの体内からの一撃が致命傷になったのであろう。動きも鈍くなっており、その再生スピードも低下していた。レアモンが確実に弱っているのはもはや一目瞭然であった。
タクトの指示を受け、ガオモンは間髪入れずにレアモンへと急接近すれば三度その拳を叩きつけた。目にも止まらぬその早いラッシュはレアモンの反撃を許さない程だ。
その様子をリンはケラモンを抱きかかえたまま見つめていた。ガオモンは確実にダメージは与えている、そして更に強い一撃を与えることが出来れば恐らく奴を倒せるかもしれないと考えた。

「リン…わたし少しなら攻撃出来るよ?」

リンの考えを悟ったのか、ケラモンがそう語りかけた。とは言っても強がりだろう、実際動くことも辛い筈だがレアモンを倒すことも大事だ。
そんなケラモンの言葉にリンは悩みながらも小さく頷き…上空を見上げた。

「分かった。ケラモン!上に攻撃を放って。あいつを狙うんじゃなくて高い所に!」

何故レアモンを直接狙わない?ケラモンをそう思い迷いながらもリンの言葉を信じて上空へと光弾を放とうとする。
口一杯に赤いエネルギーが集中し、そして勢い良く上空へと射出した。

「タクト!ガオモン!それを使って!!」

上空へ放たれたケラモンの光弾はどんどん上昇していくが、やがて勢いはなくなっていく。結果重力により当然ながら今度は下へと落下していった。
リンの叫びにタクトとガオモンは直ぐに察知した。二人は無言で頷けばタクトは指示を、ガオモンを地面を蹴り上げ上空へと飛び上がる。

「ガオモン、合わせ技だ!渾身の一撃をお見舞いしてやれ!」

「ウオォォォ!とりゃッ!」

高く飛び上がったガオモンは今もなお落下する光弾を上空で雄叫びと共に力一杯殴りつけた。ガオモンの拳による強い衝撃、そしてケラモンが放った高密度のエネルギーの塊が合わさればその威力は何倍にも跳ね上がる。
眩い閃光が上空を照らし、轟音と共に光弾は凄まじい速度で落下していった。まるで隕石が大気圏に突入するかの如く…無論狙う相手はただ一人。

「クレイジーギグルとガオラッシュの合わせ技…その名もクレイジーラッシュ!いっけえぇぇぇっ!」

タクトが叫ぶ。レアモン目掛けて放たれたそれはまさに隕石落下の如く…奴に接触したその刹那、凄まじい衝撃波と巨大な爆発を起こし周囲のデータの残骸も所々に付着したレアモンのヘドロも全てを吹き飛ばした。
リンも自分の体、そしてケラモンを吹き飛ばされないように抱きしめ必死に堪える。

「ガ…アアァ…ァォ…————ォォ…ォ…ォ」

断末魔とも呼べるその苦痛の叫びはやがて聞こえなくなり、爆発が収まれば再びこの場所に静寂を訪れた。レアモンがいた場所は大きなクレーターを残し他には何も残ってはいなかった。
文字通り木端微塵と言った所であろうか。予想を遥かに超えるあまりに物凄い衝撃と爆音だった為か静寂が訪れた今も尚強い耳鳴りに襲われていた。
ともあれ、今度ことレアモンを倒すことが出来た。ふと緊張の糸が切れ体の力が抜けたのか、リンはその場にペタリと座り込み、上空から着地したガオモンはポテっと地面に倒れこむ。
暫くの間、4人は言葉を発さなかった。初めてのデジモンとの実戦、なんといえば良いのであろう?あまりに普段とは違う非日常なこの現状に何も考えられないでいるのかもしれない。
それもその筈だ。普段は普通の女子高生とちょっと暑苦しい只の青年なのだから。

「は…あはは。私たち、勝ったのかな?」

「そう、みてぇだな。俺たち…勝ったんだ。ともあれ早くここを出よう」

漸く口から出た言葉はそれだけであった、早々にこの場から移動しようとケラモンが開けた穴を再び通り、無言のまま歩いていれば気づけばクーロンがらくた公園に辿り着いていた。
見慣れた場所に戻ると不思議といつもの日常に戻ってきた感じがして、口数も増える。レアモンの悪臭などすっかり忘れるほどだ。

「それにしても、タクト。クレイジーラッシュってなに?変なネーミング」

「本当!変なネーミング!変なネーミング!」

ふと思い出したのはタクトが叫んだクレイジーギグルとガオラッシュの合わせ技のネーミング。あの時は意識する余裕など無かったがいざ落ち着いて思い出してみるとそのまんまというか単純というか。
そんなネーミングを聞いてリンの腕の中で横たわるケラモンもケラケラと笑う。

「いいだろぉ、クレイジーラッシュ!カッコよくないか?なぁガオモン?」

「う〜ん…ま、まぁまぁかなぁ…」

困った様子のガオモンの言葉にリンとケラモンは再び笑い、タクトはこいつぅとばかりにガオモンをいじっている。4人とも勝利の余韻に浸っていると言ったところであろうか。
そんなやりとりが少しの間続き、やがてリンはタクトとガオモンに別れを告げEDENからログアウトをする。電脳空間でアバターとして活動していたとはいえ、なんだかとてもクタクタであった。当然現実世界に戻ってきたのでレアモンの悪臭はしないわけなのだが何だか体に染み付いている様な気がしてならないので一刻も早くお風呂に入りたいと思いトボトボと帰路に着いたのであった。

第三章「悪臭騒動!?元凶を探れ」 ( No.55 )
日時: 2017/08/14 00:38
名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: j5axgBAW)


「———はっ!」

ふとベッドの上で目覚めたリンは無意識に部屋の時計を見つめる。時刻は2時、既に家族も寝静まり時計の秒針の音だけがカチ、カチ…と鳴り響いている。
帰宅して軽くご飯を食べ、お風呂に入り部屋に戻って…そのままベッドの上で力尽きたらしい。髪も濡れたまま、バスタオルを巻いただけ。人には見せられない格好で寝てしまっていたようだ。
こんな格好でしかもそのまま寝てしまっていたとなれば体が冷える。急いでパジャマに着替えればそのまま布団に潜り込んだ。
変な時間に目が覚めてしまったのもあり、直ぐには寝つけずデジヴァイスを手に取るとケラモンの様子を伺う。液晶の光が彼女の顔を照らした。
ケラモンはというと、すっかり夢の中の様だ。それもその筈、自分よりも遥かに疲れている上にダメージも負っているのだ。今はゆっくり眠らせてあげたい。
レアモンとの対決に勝ったとはいえ、ケラモンを危険な目に合わせてしまったのは事実。あの光景を思い出すだけで胸が締め付けられるかのように苦しかった。それに自分は何も出来なかった、あれだってケラモンが自分の力で何とか抜け出して助かっただけだ。
自分はというと涙を浮かべて呆然としていただけ…己の無力差に怒りすら覚える。只の女子高生と片付けてしまうのは簡単だ、しかし自分からケラモンの力になると決めたのだ。非力で無力で臆病なままの女子高生ではまたケラモンを危険な目に合わせてしまう。

「……もう、あんな目には合わせないよ。私も強くなる。一緒に頑張ろうね、ケラモン……おやすみ」

強くなる、その決意と共にデジヴァイスを閉じる。この先も強い敵との戦いが待っている、自分も成長しなければ…そんな事を思いながら彼女も床に就くのであった。




下層エリア クーロンLv2

『うわああ!なんだよアイツ…歯が立たねぇー!』

帽子を深く被った少年が怯えた表情のまま脇には自分のデジモンを抱えてその場から逃走する、よく見れば抱えられたデジモンは傷だらけだ。

『な、なぁ…悪かった、だからもう許してくれ!頼む!』

もう一人の少年は後ずさりしながらまるで命乞いをするかのように両手を前に差し出し、何者かを説得していた。少年の前にはこれまた傷ついたデジモンが倒れこんでいた。

「ああ、駄目だ。全然駄目だ。この僕に喧嘩を売るならもっと強くて、もっと美しくないといけない!君たちの様な底辺な人間が僕と同じ舞台に立っていること自体があり得ない…あってはならないんだ!」

銀色の髪の青年はそう告げた。額に右手を当て、やれやれとばかりに首を横に振っている。まるで自分以外の人間全てを見下しているかの様な物言いだ。
その青年の隣には大きなデジモンが立っていた。深紅の巨大な身体、発達した強靭な爪、そして顎。その狂暴な外見とは裏腹に深紅の身体は美しく輝いていた。

「さぁ!僕の美しいグラウモン。彼に教えてあげるんだ!これが本当の強さ、そして美しさと言うことを……やれ」

『やめて、やめてくれ!…やめろおおおぉぉぉ!うわあああぁぁ!』

深夜のクーロンに、断末魔が響き渡る。


—————第四章へ続く

第四章「清く 正しく 、そして美しく」 ( No.56 )
日時: 2017/08/14 01:45
名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: j5axgBAW)


第四章「清く 正しく 、そして美しく」

喫茶店、それは学生にとっての憩いの場。安いメニューで少ないお小遣いでも程々美味しい物が食べられるうえ、時間を気にせずゆっくりと寛げる。
それに女子高生にとっては正にマシンガンの如くトークが弾む場所といっても過言ではない。

日曜日の昼下がり、場所は中野ブロードウェイ。賑わった館内のとある喫茶店、窓際の席には二人の女子高生が座っていた。

「む…むむむ…」

デーブルの上に大きく広げられたメニュー、リンはそれを難しい顔で眺めていた。
イチゴたっぷりのパフェ、お店自慢の手作りティラミス、白玉だらけのあんみつ…どれもこれも美味しそうだ。
どうせならいくつも頼んでみたい…でも全部食べられるのか?それならいっそ一番大きなフルーツパフェを…とブツブツと呟きながら何を頼もうか悩んでいる様子であった。
そんな彼女を向かいの席で呆れた様子で見ているのはメイ。目を細めながら頬に腕をつき、アイスティーのストローを咥えている。

「ハァ…優柔不断ねぇ。どうせ食べきれないんだからそんな大きいのを注文するのはやめときなさいよ」

またかと言った感じに溜息をつく。それもその筈、リンとは小学生からの付き合いである彼女は幾度となくこんな姿は見ているのだ。
いつも欲張って食べきれないくせに沢山注文してしまい、残ったそれをやむなく自分が食べる。こんなことが続けているうちにいつだったか体重計に乗った時は思わず叫んでしまった。
しかしながら体重は増えるのに身長は一向に伸びない、何故だ?何故なのだろうか?そのくせリンは昔に比べると大きくなっており今では約160cm程の身長になっている。特に胸なんか自分の倍はあるんじゃないかと疑うほど成長していた。
ジッと睨みつけるかのように彼女の胸部を見つめるメイ。

「ちょ、ちょっとメイ、なんでそんなに睨んでるワケ?」

彼女の視線に気づいたのか苦笑いしながらも反射的にサッと胸を隠す動作をしてしまう。恥ずかしいと言うよりも何というか恐ろしいといった感情の方が強かった。

「あんたがアタシの分の栄養をぜーんぶ持っていってんじゃないかと思ったのよ、まったく…少し分けてほしいくらいだわ」

「えー?そうかな?でも私中学生くらいで身長は止まっちゃったし…それにメイは今のままが一番可愛いよ、うんうん」

よしよしとばかりに向かいに座るメイの頭を撫でるリン、頭を撫でられたメイはぷくっと頬を膨らませた。

「あ、あアタシは身長の事を言ってんじゃないの!ってゆーか頭撫でるなぁ!」

顔を真っ赤にして怒りながらリンの手を振り払う、そんな彼女の姿をみてケラケラと笑うリン。いわゆる毎度恒例のやり取りの様であった。

そんな平和な日曜日の午後。リンはすっかり忘れていたのだ、ここ中野に来たのは探偵事務所の杏子さんに悪臭騒動の依頼の報告に来たということを。
恐らくそれを思い出すのは、デザートを食べて満足したあとであろう…

第四章「清く 正しく 、そして美しく」 ( No.57 )
日時: 2017/08/14 21:27
名前: ポカラ ◆V6LJ8P/cKo (ID: idHahGWU)

リンとメイ、2人が喫茶店を出たのはあれから1時間後の事であった。お互い食べたいものを食べ、満足した様子だ。
日曜日ということもあって中野ブロードウェイ館内は未だ沢山の人で賑わっていた。
ふとメイが思い出したかのように口を開いた。

「そういえば、今日って他の用事があるって言ってなかった?」

そう、先も言ったようにこの中野ブロードウェイに来たなは探偵事務所に依頼の報告をする為。それを親友の口から聞き、リンはハッとした表情をすれば苦笑いを浮かべる。

「あっ!あはは…忘れてた…そう、実はここにある探偵事務所に用事があるんだよね。少しだから付き合ってくれる?」

リンのその意外な言葉にメイは驚きを隠せなかった。探偵事務所…そのような所普通の人は立ち寄るはずがない。ましてや極々普通の女子高生が一体何の用事があると言うのか。

「探偵って、あんたまた面倒なことに巻き込まれてるんじゃないでしょうね?それってもしかしてあのデジモンとやらが関係してるとか?」

ご名答。流石は長く苦楽を共にした親友である。
正にその通りだよとばかりにリンはゆっくりと頷いた。

「ちょっと色々あってね、でもそれも解決して今日はその報告をするだけだから。えっと確か探偵事務所は…こっち」

メイを誘導しながら人気のない通路へと入っていく。他の場所の賑わいが嘘のように、探偵事務の周辺は静寂に包まれていた。
そしてあいも変わらず近くには相談屋なるものがあり、そこには一匹の白い猫がちょこんと座っていた。

「あっ!あの猫ちゃんまたいる。ほら、よーしよし」

リンは白猫に駆け寄るとその小さい頭を優しく撫でてあげる、すると白猫は気持ち良さそうに目を細めると喉を鳴らした。どうやら人には慣れている様子、まぁこんな所に大人しく座っているのだ、色んな人には触れられているのかもしれない。それなら慣れているのにも納得できる。

「ほら、メイも触ってみなよー」
「あたしは良いわよ……猫、苦手だし」

首を横に降るメイを見てリンはふと思い出す、確かに小さい頃はメイが猫を苦手としているのは知っていたが今も触れないとは思わなかった。

「あぁ、そっか…今もダメなんだね」
「そゆこと。ほら探偵事務所行くんでしょ?」

それもそうだ、名残惜しいが白猫の頭から手を離す。その場から立ち上がろうとした瞬間、ふと背後から女性が語りかけてきた。

「あら?お客さんかしら?」

そこには眼鏡をかけた何処か不可思議な印象の少女が立っていた。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



この掲示板は過去ログ化されています。