二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ドラゴンクエストⅧ 聖者の号哭
- 日時: 2016/07/22 20:10
- 名前: 相生 ◆sCQyRUoN8s (ID: a.ADsdli)
七つの宝を追い掛けて、わたしは前へ前へと進む。
◆御挨拶と注意書き
はじめまして!相生(あいおい)と申します。普段は自サイトに引きこもって色々書いているのですが、久々に此処で物書きがしたいなあと思い出戻って参りました。名前を色々と変えているので、交流のあった方でも「あいつだ!」と気付く人は中々居ないと思いますが。
ドラゴンクエストⅧ、好きなんですよね!ドラクエシリーズに初めて触れたのがⅧなので、思い入れがあるというか。プレステ版、リメイク版共に楽しませていただきました。世界観を壊さない程度に好き勝手に物を書けたら……と思いますが、オリジナルストーリーを考えているので、世界観をブチ壊してしまったらすみません><
さて、以下は注意事項です。読後の苦情は一切受け付けませんので、読んであげるよ!という方は自己責任でお願い致します。
・ゲームストーリーに沿いながらもオリジナル要素が大いに含まれています。八割方オリジナルです。が一切の救済はありません!
・キャラの呼称や過去、関係等(ストーリー中で判明していないものに関して)の捏造があります
・軽度の流血、暴力、死亡描写や暴言等が含まれます
・オリジナルキャラクターが総勢10名以上登場します
・ゲーム主人公の名前は「エイト」で固定し、このお話の中ではちゃんと言葉を話して意思の疎通を行います
・友情、恋愛要素を多大に含みます。ドロ沼みたいな関係になるかもしれない
・基本、世界軸を同じとしたオムニバス形式で話が進みます
長々しくなりましたが、御挨拶と注意書きはこの辺で!あ、相生はククールを推しているので若干贔屓にしてたらスミマセン。更新速度は亀以下です。おそいよ〜〜。この夏が終わるまでにククールを仲間にしたいですね!
◇聖者の号哭
【 聖者 】—せいじゃ:信徒に崇拝される殉教者
【 号哭 】—ごうこく:声を上げて泣き叫ぶこと
Ⅰ.かみさまなんていない(トラペッタ)
>>001、>>002、
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- Ⅰ.かみさまなんていない ( No.1 )
- 日時: 2016/07/19 21:14
- 名前: 相生 ◆sCQyRUoN8s (ID: a.ADsdli)
「……大丈夫だよ、シャーリー。おれが、助けてやるから」
五年前から一度も目を覚まさない片割れの小さなてのひらを握り締めて額に宛がい、もはや口癖になりつつあるその言葉を呟いた。
七歳の頃に両親を火事で亡くし、行く宛もなく彷徨っていたシャッキーとシャーリーを見つけて保護してくれたのはトラペッタにある教会の神父と修道女の親子だった。
決して裕福とは言えない暮らしの中で、時間も手間もお金もかかる幼い二人を引き取り、独り立ちができるまで育てると言って救いの手を差し伸べてくれた二人に、シャッキーとシャーリーは多大な恩を抱いている。ゆえにシャッキーもシャーリーも、その恩に報いるべく、修道士になることを決意した。——彼女が倒れたのは、十歳になった二人が船で渡った向こうの大陸の修道院へ行くことが決まった矢先の出来事だった。
突然だった。
ついさっきまで笑顔だった彼女が、突然糸が切れたようにふっと崩れ落ち、二度と目を覚まさなくなった。何度呼んでも、体を揺すっても、泣いても。規則正しい呼吸音と、一定のリズムを刻む鼓動の音が聞こえなければ、シャッキーは彼女が死んだと思い込んだことだろう。本当に、死の呪文を掛けられてあっさりと死んでいく魔物のように、彼女は何の前触れもなく倒れたのだから。
突然倒れたシャーリーに戸惑い狼狽え、目に見えて塞ぎ込み始めたシャッキーを、神父と修道女は「神が助けてくれる」と慰めた。
シャッキーは知っている。人間が神に縋るのは、なにか大きな困難に、到底超えられそうにない壁にぶつかったときだと。己の無力さを思い知ったときだと。彼らは、シャーリーを助ける術を、知らないのだ。
「きみを助けるのはおれだよ……かみさまなんかじゃない。おれが、ぜったい……」
額に押し当てていた掌を口許に寄せて、口付けを送る。愛おしげに細めた双眸でシャーリーを見詰めて、シャッキーはその手を横たわる体の横へ戻してやる。
世界樹の葉とアモールの水、各種薬草を配合させた薬を打ち、必要最低限の栄養だけ摂取して生きている体は倒れた当時から殆ど成長していないように見える。それがどうしようもなく悲しかった。
教会の奥の小さな部屋に寝かされた彼女に、惜しみながらも別れを告げて部屋を出る。惜しむと言っても同じ建物内に自分の部屋があるシャッキーが自室へ戻ろうとしたとき、不意に教会の扉が開く音がした。
昼間は神父が、夜は修道女が神父の代わりに教会に来る人々を待っている。夜間に人が来ることは殆どないのに、と珍しく思って、好奇心から協会へつながるドアをほんの少しだけ開けて、覗き込んだ。
「良い夜だね、シスターさん」
「ええ、とても。……迷える子羊さん、というわけではなさそうですね」
「いや、迷える子羊だよ。きっと貴女が今まで見てきた誰よりも、自分のことが分からない迷える子羊だ」
そこに居たのは、きれいなブロンドの女だった。
ステンドグラスから差し込んだ月明りに艶やかな髪が反射してきらめいている。薄暗い教会の中には真っ赤に燃えた焔のような赤の瞳が浮かび上がり、愉快そうに細められていた。その視線は修道女を通り過ぎて、シャッキーに向いている。心臓が大きく脈打った。
女の声は、性別のわりに低く、落ち着いていた。自分自身が分からないと嘘か本当か分からないことを言いながら、その表情はどこまでも楽しげだ。怪しい。怪しくて、怖くて——でも、何故だか目が離せない。シャッキーは食い入るように女を見詰めていた。
修道女の目の前の椅子に脚を組んで座って、女は溜息を吐いた。その瞳はもう、シャッキーを見てはいなかった。
「シスターさん。なにか大事なものを忘れているような気がしたとき、貴女ならどうする?」
「大事なもの……例えば?」
「うーん……家族、友人、恋人……ゴールドの隠し場所でもいいし、お祈りの時間だっていい」
ははは、とおかしそうに笑いながら、女は指折り数えていく。
とにかく貴女が大事だと思うものなんでも、と結論付けて、女は修道女の答えを待つ姿勢を見せた。
突拍子もない質問に修道女はしばらく間を空けて考え込んでいた。難しく考えることはない、とシャッキーは思う。手当たり次第に探すのだ。自分の大事なものは何だっただろうと。手がかり一つ見つけられたら、後は簡単なのだから。何もしない時間がもったいない、
修道女は、たっぷり間を空けてから答えた。
「神にお祈りします。神はすべてを教えてくれますから」
「さすが、シスターさんだね。神さまに頼るなんて考え、わたしには思いつかなかったよ。……でもそうか、神さまは全てを生み出した存在だものね。人間の大事なもののひとつやふたつ、教えてくれるか」
シャッキーはなんとも言えない気持ちになった。
神様に頼る——神父と修道女は、いつも神に対し敬意を払い、神の恩恵を授かるべく日々の祈りを欠かさない。職業柄それが当たり前だとは理解していたし、自分もそうなるのだろうと思って色々とやってきたが、シャッキーはもう神と言う存在に疑問を抱いていた。
信仰することが幸せに通じるのなら、シャーリーは倒れたりしない。シャッキーの隣で笑っている、ありふれた幸せがすぐ傍にあるはずだ。大事なもののひとつやふたつを守ってくれるはずだ。
再びこちらを捉えた、すべて見透かしたような赤の瞳に、シャッキーは縮こまる。
「おかしな質問をして悪かったね」
「いえ。少しでも貴女の悩みを解決する手立てになったのでしたら幸いですよ」
「ふふ、ありがとう」
女は緩慢に立ち上がった。その瞳は依然としてシャッキーを見詰めている。
「……大事なものを取り返す手立てを、わたしは知っているんだ。神さまに頼らなくても、必ず取り返せる方法を」
修道女はあらそうでしたかと呑気に返すが、その言葉が彼女ではなく、自分に向けられたものだとシャッキーは理解する。
おいで、と唇の動きだけで伝えた女が背を向けて教会を後にする。その背中を追い掛けようと飛び出すよりも先に、再び教会のドアが勢いよく開けられた。飛び込んできたのは、毎日熱心に教会を訪れる若い男だった。
「大変だ! ま、街に……怪物が出たぞ!」
- Ⅰ.かみさまなんていない ( No.2 )
- 日時: 2016/07/22 20:05
- 名前: 相生 ◆sCQyRUoN8s (ID: a.ADsdli)
街に怪物が出た——その悲鳴を聞いて、シャッキーは教会を飛び出した。修道女の制止の声を振り払い、広場へ通ずる階段を駆け下りていく。
息を切らせて到着した街の中央の広場には、なるほど、毛が抜け落ちて皮膚が緑である、到底人間とは思えない外見の生き物が馬車に乗っていた。シャッキーも初めて見る〝魔物〟の姿に息を呑む。
怪物、魔物、化け物、散々に罵って石を投げる住民たちからその生き物を守るように前へ出る白毛の馬。なにか違和感を感じてよく見てみれば、その馬車の荷台に隠れるように、教会を訪れたあのブロンドの女が立っていた。
「っ!」
目が、合った。
にこりと細められた双眸に、シャッキーはひゅっ、と変な呼吸音を漏らす。
「何をしてるんだ!」
ふらふらと、人だかりの中心にいる馬車に近付こうとしたシャッキーを止めたのは若い青年の声。後ろの方から人ごみをかき分けてやってきたバンダナの男が、怒気をはらんだ声で言いながら馬車へ近付いていく。
行こう、とだけ言って、こちらを警戒するように見ながら青年は魔物と馬を促して街を出ていく。しばらくその姿を呆然と見つめていた人々だったが、すぐに、口々に何だったんだ、とか、怖かった、とか言いながら散り散りになっていった。
その中で、彼らを追うようにそろりと街を抜け出して行った後姿を見つける。かつてはトラペッタ一番の占い師と呼ばれた男、ルイネロの娘のユリマだ。
彼女も、あの一行に用事があるのだろうか——考えながらシャッキー歩き出そうとすると、不意にその背中に声が掛けられた。
「やあ、少年」
「……あなたは……」
振り向くと、あのブロンドの女が居た。
愉快そうに細められた紅玉の中に、戸惑ったような、それこそ神父や修道女の言う〝迷える子羊〟のようなシャッキーの姿が映り込んでいる。
「わたしはゼロと言うんだ。あの、怪物に付き従うお供のひとりさ」
「ゼロ、さん。……あの、おれに何かあったんですか?」
「うん。きみに、いや……きみの大事なものに、ちょっとね」
ゼロ、と名乗った女は、挨拶のつもりか片手を差し出してきた。シャッキーはそれに応じる。握り締めたてのひらは、まだ政党途中の自分よりも小さく、白く、冷たく、頼りなかった。
大事なもの、というワードに、シャッキーは肩を揺らして動揺する。自分の大事なものが何なのか、ゼロは知っているというのか。怪訝そうな顔に、ゼロは笑った。くすくす、という笑い方をする女を、シャッキーは生まれて初めて見た。
ゼロは続ける。
「きみの、魂を分けた片割れに会わせてほしい」
「……シャーリーに、ですか」
「そう。シャーリーに。ずっと眠ったまんまなんだろう? わたしなら、目覚めさせることができる」
「……あなたが、あの子を? 無理ですよ。あの子はきっと、もう二度と目を覚まさない」
魂を分けた片割れ——言わずもがな、シャッキーの双子の姉のシャーリーのことだ。
ゼロが只ならぬ存在であることには薄々感づいていたが、まさかもう五年も目を覚まさない彼女を目覚めさせるなんてことはできないだろう。そんなシャッキーの思いが表情に表れていたらしく、ゼロは困った顔をしたが、すぐにその唇は笑みを刻む。
握手をしたまま、ずっと握り締められていた手に、わずかに力がこもったのをシャッキーは感じた。
「できるよ。わたしなら、できる」
確信めいた口調で、はっきりと言い切ったゼロに、シャッキーはドキリとした。何故だかこの女の言葉は真実であるような気もした。
ゆっくりと手を離される。ゼロは小首をかしげてシャッキーを見詰めていた。
よく見れば、端正な顔立ちだがどこか幼さが残っていて可愛らしい、と、その場の状況に全く合っていないことを考えていた。シャッキーは、今まで彼女の手と繋がれていた手をきゅっと握る。
「……明日の朝、来てくれますか。教会で、待ってます」
「ああ。必ず行くよ。……そうだ、ひとつだけ訊いてもいいかな」
いいかな、と言う割に、ゼロは有無を言わせぬ口調だった。シャッキーは無言でうなずく。
「その子は、シャーリーはぼろぼろのロザリオを持っているね?」
「……はい」
「なら、きっと大丈夫。きみの大事なものは、すぐに返ってくるよ」
肯定したシャッキーに、ゼロは満足気に微笑んだ。
ゼロの言う通り、シャーリーは、シャッキーの記憶にある限り物心がついたくらいの年の頃からずっとぼろぼろのロザリオを身に着けていた。元々は綺麗だったのが、火事で家が焼けた際に所々焦げて、ぼろぼろになってしまったのだ。演技が悪そうなものだが、シャーリーは頑なにそれを外そうとはしなかった。
あの子はいつも言っていた。
——かみさまが私たちを助けてくれた。家事から生き延びたのも、神父さまに巡り合えたのも、すべてかみさまのお陰なのよ。だから、これは捨てちゃいけないのよ。
シャッキーは思わず俯いた。そうだ、あの子は信仰深いところがあった。かみさまなんていない、と否定してばかりの自分とは違った。
「……あの。おれ、明日、待ってますから」
俯いたまま、小さな声でぼそぼそと言うシャッキーに、ゼロは無言でその頭をぽんと撫でた。それから、また明日、と軽く言うと、ゼロはそのまま街の外へ通じる門へと歩き始めた。
彼女の背中が随分小さくなった頃にようやくその顔を上げて、シャッキーはきゅっと眉を寄せ、困ったような表情を作った。
「おまえを助けるのは、おれじゃないかもしれないんだな。……かみさま、いるのかなあ……」
- Re: ドラゴンクエストⅧ 聖者の号哭 ( No.3 )
- 日時: 2016/08/28 22:14
- 名前: ダモクレイトス ◆MGHRd/ALSk (ID: g8eYpaXV)
おそらく初めまして、風死を名乗っていましたダモクレトスと申します。
ドラクエⅧ良いですよね。どうもドラクエ8以降のナンバリングシリーズが少しつまらない気がします。
だからこそかな、11には期待したいですね( ;∀;)
二次にしては文章も多く、世界観をよく説明できているように感じますが、〜た。で終わる文章が多く感じます。
ただキャラクタを丁寧に書いている感じなどは好感もてます!
適度に頑張ってくださいね。応援しています。
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