二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 白猫SSプロジェクト
- 日時: 2016/08/13 23:15
- 名前: キャトリス (ID: tEEjMVj9)
白猫プロジェクトのSSを書いていきます。
白猫が好きな皆さん、少しでも興味を持った方は是非ご覧ください。
よろしくお願いします!
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- Re: 白猫SSプロジェクト ( No.1 )
- 日時: 2016/08/13 23:19
- 名前: キャトリス (ID: tEEjMVj9)
『レイニーキャンバス』(前編)
雨—
世界が誕生した時から存在しているものである。ある時は自然に潤いをもたらし、人々の生活を支えている。またある時は自然を脅かし、人々に恐れられている。それは芸術の世界にも浸透しており雨をテーマにした楽曲、小説などが古くから作られている。
この物語を読んでいる君は雨をどう思っているだろうか。今から紡ぐのは、雨が画家の少女と出会う物語。
「けーろけろりーん! 今日も雨だよ!」
雨の少女、ツユハ。雨そのものである彼女は今日もとある町に雨を降らせていた。木の葉は雨粒に打たれ、池の周囲ではカエルの合唱が響いている。空を飛んでいる彼女はカエルの合唱の中からチッという舌打ちを聞いた。
「今日も雨かよ。」
「この1ヶ月ずっと雨、洗濯物が溜まるわ。」
「早く晴れないかな、雨なんか嫌いだ。」
雨なんか嫌いだ。この言葉を聞くのは何度目だろう。町の人々は長引く雨にうんざりしている様子だ。少女の表情は今の空のように曇っていった。
「やっぱり、みんな雨なんか嫌いだよね……」
自分自身の存在を否定された少女の心は沈み、より強い雨を降らせる。暗い表情の人々を眺めながら空を滑るように移動する少女、その中で家の窓から微笑む少女を見つけた。
「あの子、笑ってる……」
地面に降り立ったツユハは微笑む少女がいる窓の前に立った。ツユハの存在に気付いた少女は口を開く。
「おや、あなたは誰?」
「私はツユハ、雨だよ!」
自分は雨と紹介された少女は疑問を抱く。
「雨? あなたは雨なの?」
「うん、私は雨!」
「じゃあ、今降っているこれもあなたなの?」
「うん、そうだよ!」
「へぇ、面白いね。私はパステル、風景画家だよ。」
そう言うと、彼女は先程まで筆を走らせていたキャンバスをツユハに見せた。キャンバスには、灰色をベースに木々の鮮やかな緑、道を行く人々の傘、水溜りの波紋などが細やかに描かれていた。自分の姿を描かれたように感じたツユハは感嘆の声を漏らす。
「うわぁ、凄い! こんなに綺麗な絵、初めて見た!」
「ありがとう、私の絵を褒めてくれて。」
パステルは家のドアを開き、ツユハを部屋の中へと通す。そこには数えきれない程のキャンバスが置かれていた。おしゃれな街並み、オーロラが輝く国、オリオンブルーを背景にした空飛ぶ島、そこにいるだけで世界旅行をしているかのように感じる。
「この絵、パステルちゃんが全部描いたの?」
「そうだよ、世界中を旅して描いたんだ。最近は雨続きだから、家の中でしか描けないけどね……」
その言葉でツユハは一抹の不安を感じた。恐る恐るパステルに質問を投げかける。
「パステルちゃんは雨って嫌い?」
「雨は好きだよ、雨の日にしか表現できない絵もあるからね。」
パステルの返事に今の天気とは正反対な表情になったツユハ、彼女はカエルのように飛び跳ねる。
「私、雨が好きな人に会えて嬉しい!」
「私も雨のツユハちゃんに会えて嬉しいよ。そうだ、ツユハちゃんも絵を描いてみる?」
そう言ってパステルは絵筆をツユハに差し出した。絵筆を受け取ったツユハはキャンバスへと歩み出る。何から描けばいいのだろうか、真っ白なキャンバスを前に立ち尽くしてしまった。
「自分の思うように描けばいいんだよ、まずは自信を持ってみて。」
後ろからの声に背中を押され、絵筆を走らせる。空はグリーン・ヘイズとオーキッド・ホワイトという色で染める。どちらの色も灰色に見えるが色の濃淡が違い、複雑な曇り空を鮮明に再現してくれる。まるで自画像を描いているようで、ツユハは少しくすぐったい気分になった。
「これで、どうかな……」
完成した絵をパステルに見せてみる。パステルはじっくりとツユハの絵を隅から隅まで見渡した。
「うん、とっても良く描けてる。雨自身だからこそ描ける絵だね!」
初めて描いた絵を賞賛してくれたこと、初めて心から自分を肯定してくれる人に出会えたことにツユハは言葉に出来ない想いを抱く。
「私、もっと絵を描きたい。パステルちゃんと一緒に居たい!」
パステルは微笑みながら頷き、ツユハを迎え入れた。それから二人は絵を描く毎日を送る。ある時はお互いの絵を見せ合う鑑賞会を開き、またある時は大きなキャンバスに二人掛かりで絵を描いたりもした。いつの間にか、部屋は灰色のキャンバスで溢れ返っていた。
- Re: 白猫SSプロジェクト ( No.2 )
- 日時: 2016/08/13 23:22
- 名前: キャトリス (ID: tEEjMVj9)
『レイニーキャンバス』(後編)
ある日のことであった。町の情報を伝える手紙を読んでいたパステルは不安そうな表情を浮かべていた。
「どうしたの、パステルちゃん?」
「近くの川が氾濫して、向こうの町が孤立しているんだって。私の友達が住んでいるんだけど……」
「えっ、パステルちゃんのお友達が?」
「その子も同じ芸術家でね。壁にスプレーで斬新な絵を描いているんだけど……」
「きっと、私のせいだ。私がずっとこの町にいたから……」
パステルと居たいが為に同じ場所に留まった結果、彼女や無関係な人達を困らせてしまった。雨として生まれてきた自分が憎く悲しかった。周囲にある曇天の風景画が自分を責めているかのように感じる。そんな彼女の心に呼応するかのように雨は激しく降り、川の流れをさらに強くした。
「ツユハちゃん、落ち着いて。あなたのせいじゃないから……」
「ありがとう、パステルちゃん。でも、そろそろ行かなきゃ」
「ツユハちゃん……」
「私はパステルちゃんが好き。好きだから困らせたくない。」
涙を瞳に浮かべたツユハはドアノブに手を掛ける。その時、「待って」というパステルの声が彼女を引き留めた。
「この絵、ツユハちゃんにあげようと思っていたの。人物画は苦手なんだけど……」
パステルが手にしていたもの。それは雨の風景画ではなく、ツユハが懸命にキャンバスに向かう姿が描かれていた。お世辞にも上手いとは言えないが、彼女にとってはこれまで見てきた絵画の何よりも心に響くものであった。
「あっ、うっ……」
声は嗚咽へと変わり、瞳からは雨ではなく温度のある涙が零れていく。そんなツユハをパステルは優しく抱きしめる。
「ツユハちゃんと出会えて本当に良かった。あなたの人を想う優しさ、忘れないよ。」
「私もパステルちゃんと会えて良かった。離れたくないけど、離れたくないけど……」
しばらくの抱擁の後、ツユハは自らパステルから離れ、再びドアノブに手を掛けた。片方の手にはパステルから貰った絵がしっかりと握られている。
「今までありがとう、ツユハちゃん」
「また、会いに来てもいいかな?」
「もちろんだよ、今度はもう一人の友達と一緒に絵を描こうね。」
外へ飛び出したツユハは空へと舞い上がる。パステルの方へ一切振り返らずに、次の町を目指し飛んで行った。
雨が上がった。空には久々に日差しが差し込み、人々は喜びの声を上げた。
「やっと晴れた、これで外に出られるぞ!」
「ようやく洗濯物が干せるわ!」
「やっぱり、晴れが一番だよな!」
そんな声を聞いてパステルは少し気分が落ち込んだ。確かに晴れている方が気持ち良いのだろう。しかし、ツユハと出会った自分にとっては彼女が傷つけられているようで、あまり耳を傾けたくなかった。そんな彼女の目に人々が一斉に空を指さす光景が映り込んだ。
空に目をやると、そこには今まで見てきた風景の何よりも雄大で、何よりも美しい虹が架かっている。それはツユハがこの町にいた証。雨があるから晴れるのが嬉しい、雨があるから作物が育つ、雨があるから綺麗な虹が見られる。人々から嫌われても、その人々の為に懸命に生きる。そんなツユハと友達になれたことにパステルは誇りを感じるのであった。
「この虹を描いて、いつかツユハちゃんに見せてあげよう。」
そう決意したパステルは絵筆を手に取り、真っ白なキャンバスの前に立つのであった。
- Re: 白猫SSプロジェクト ( No.3 )
- 日時: 2016/08/14 13:41
- 名前: キャトリス (ID: tEEjMVj9)
『カティア様のイグニでもわかる料理教室』
「おっほォーーーーー!! 天才科学者のカティア様よぉ! 今日はイグニでもわかる料理教室を開くわぁ!」
「アシスタントのヨシュアと……」
「ミレイユです! 二人がいれば料理もきっと大丈夫!」
「それでカティア様、なぜ急に料理教室を?」
「愚問ね、料理と科学は密接な関係なの。科学がロクに出来ない奴は料理もできない。だから天才科学者である私が、料理を通して科学の素晴らしさを教える為よぉ〜!」
「では、本日の料理は何でしょう?」
「おっほォーーーーー!! 和の国に伝わる家庭の味、『肉じゃが』よぉ〜!」
「私は肉じゃが、大好きです!」
「はい、材料はこちらですね。」
材料:牛肉、じゃがいも、玉ねぎ、人参、しらたき
「まずは材料を洗って切りなさぁ〜い!」
「はい、喜んで!(カティア様は指示だけか……)」
「材料を支える手は猫の手ですよ。にゃん!」
「ミレイユ、あざといマネしてないでさっさとおやり!」
「ん、この牛肉…… いつもと違うものですね」
「あぁ、それはミノタウロスの肉よぉ!」
「えぇ!? 食べられるんですか!?」
「死角から斧ブーメラン投げてくる奴は、食肉にされて当然よぉ!」
「す、凄い理論ですね……」
3分後……
「はい、切り終わりましたー」
「それじゃあ、材料を炒めていくわよ。まずは玉ねぎと人参から炒めなさい」
「カティア様、なぜこの2つからなんですか?」
「この2つは火が通りにくいから早めに炒めておくの、そうすれば全ての材料に均等に火が通るわ」
「なるほど…… 次にミノ肉、じゃがいも、しらたきですね。」
「お兄ちゃん、ミノ肉って言い方やめて……」
「ミノ肉が白くなってきたら調味料を入れるわ。さて、この中で最初に入れる調味料は何でしょう?」
調味料:塩、砂糖、みりん、醤油、料理酒、ラーウェイ特製七味唐辛子
「はい、ラーウェイ特製七味唐辛子です!」
「おバカ! こんなの入れるのはあんたぐらいよ、ミレイユ!」
「ってか、なんで選択肢にそれが入ってるんですか……」
「正解は砂糖よ、塩分を含むものを先に入れると甘味が材料に入らなくなるのよ」
「なるほど、甘味は一番先に染み込ませるんですね」
「これはどんな料理にも言えるわ、覚え方としては『さしすせそ』ね」
砂糖→塩→酢→醤油(せうゆ)→味噌
「この順番で入れるといいわ、使わないものは飛ばしなさいね。」
「『そ』の部分ってソースだと思ってました。」
「あっ、それ私も思ってた!」
「はぁ〜、このおバカ双子には呆れるわ……」
「それでは気を取り直して料理の方を続けましょう」
「ヨシュア、あんたが言うセリフじゃない!」
「次はお酒、塩、醤油、みりんを入れるんですね!」
「そういえば、このお酒やみりんって何のために入れるのでしょうか?」
「良い質問ね。この2つは材料の臭みを消したり、コクや旨味を出す効果があるの」
「確かに、ミノ肉は臭みが強いですからね」
「このお酒、瓢箪に入ってて珍しいですね」
「それはなんか酔っぱらってた二人組に貰った物よ、高そうだし大事に使いなさい」
数分後……
「さて、火は通ったかしら。この竹串でじゃがいもを刺してみなさい」
「うおおおおおおお!!」
「竹串で刺すぐらいで暑苦しいことするんじゃな〜い!」
「あっ、すっと通りました」
「おほっ! さあ、これで『カティア様直伝肉じゃが』の完成よぉ〜!」
試食タイム
「さあ、毒見の時間よぉ〜!」
「毒見ではなく試食って言ってください!」
「う〜ん、初めてにしては良く出来てるじゃない! 及第点よぉ〜!」
「うん、ミノ肉も意外と美味しい!」
「確かにこの辛さが堪りませんね!」
「ミレイユ、なんでお前のだけ赤く煮えたぎてっるんだ?」
「あんた、結局アレを入れたのね!」
「えへへっ、でも入れてない肉じゃがも美味しかったですよ」
「カティア様、次回についてですが……」
「おっほォーーーーー!! 今度はガルーダの唐揚げを作るわよぉ〜〜〜!!」
「多分、作りませーん」
「みんなで作れば大丈夫! また次回!(あるのかな?)」
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