二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- キングダムハーツ:「こちら狭間の便利屋です」
- 日時: 2016/11/29 01:38
- 名前: 自由帳(元悪ノメガネ) (ID: AirZuNBn)
————戦いが終わって、しばらく経った。
私達はただ、みんなバラバラのワールドで、自分が本来いたハズのワールドで、過去の自分を演じ続けていた。
慣れない親友。見覚えのない街。わざとらしい程に、順応していく自分。
その全てが嫌になり始めた頃に、一通の手紙が届いた。
差出人も切手も何も無い、白い封筒に入れられた手紙。
「……イタズラ?」
そう思い封を切ると、その中身はどうやらこんなワールドよりかは懐かしみのある人物からの手紙だったようだ。
差出人の名前は「ミッキー」。かつて私達が共闘した、何処かのワールドの王様だ。
内容は、
「この手紙は君たちあの事件を解決したメンバー全員に送っている。簡潔に頼むと、世界の治安を守ってほしい。もしも今いるワールドが気に入っていて、他のワールドに住むのが嫌ならば破棄してくれて構わない。もしもこの話に乗ってくれるのならば、封筒に入れた切符を使ってこちら側に来てくれないかい」
という事だった。
つまるところ、私たちの再招集だ。
今はもう、キーブレードも使えない私たちに何の用があっての事だろうか?
そんなふうに考えてはいるが、答えは既に決まっていた。
「ゴメンね、この世界のみんな」
私は長く伸びた桃色の髪を、あの日のようにポニーテールに結び切符を空に掲げた。
キングダムハーツ3のために連載再始動、元悪ノメガネ、自由帳です。
圧倒的に文章力を付けて帰ってきましたよー!誰も知らないだろうけど!
さて、アテンションです。
この物語は
オリキャラメインで日常7割、ラブコメ2割、残った1割でシリアスなバトルを繰り広げたりする、似非キングダムハーツ二次創作です。
主はキングダムハーツXだけやってないので、もう設定は崩壊させる事にしました。
それじゃあ、気の向くままに始めます。
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- Re: キングダムハーツ:「こちら狭間の便利屋です」 ( No.1 )
- 日時: 2016/11/30 01:39
- 名前: 自由帳 (ID: AirZuNBn)
私の世界にあったもの、それはただひたすらに広がる絶望だった。
あまり重苦しい話がしたい訳じゃないので、詳しい事は割愛しよう。
私はフェイ。これが本名なのか、はたまた苗字なのかも分からない。
ただそう呼ばれ続けていたから、私は自分の事を「フェイ」と名乗った。
今更本当の事を知ったとして、私はフェイという名前を捨てはしないだろう。
何故なら彼にとっての私は最初から「フェイ」であり、他の何者でもないのだ。
つまるところ、私を証明する唯一の存在は私であり、他の何者にもその権利は無い。
私の名前すらも、意味を持たない。
だから私は剣を持ったし、彼の隣に居ることを決めた。
それだけで少なからず、私は私を手に入れたのだ。
「それで?あんたは行くの、フェイ」
無表情な私と対比になるかのように笑う娼婦は、煙草の煙を吐きながら私に聞いた。
ここで注釈しておくが、私は別に娼婦ではない。
ただ娼婦に救われた、木偶の坊だ。
「行くよ、いつまでも迷惑かけてられないから」
「そう……また寂しくなるわ」
「夜はいつも男と一緒でしょ」
冷たく返すと、決まって彼女は髪をかきあげる。
「そりゃ、私はこの生き方が好きだもの」
「……私には真似出来ない」
羨ましい限りだ。
どんなに醜くても、自分の生き方に誇りを持てて、「好きだ」と言えるなんて、羨ましい。
私は彼女の事が好きだったし、一度たりとも彼女の職業を愚かだとは思わなかった。
その理由は、きっと彼女自身が娼婦である自分を好いていたからだろう。
「表情筋の死んでるやつには出来ないわよ、身売りは演技力が大切なのよ」
「そういう意味じゃない、私はあなたとは違う」
「ま、あんたが身体売るって言い出したら、私が許さないけどね。フェイ、あんたにここは狭過ぎるよ」
彼女は私を抱きしめると、
「こんな私を認めてくれたのは、あんたが初めてだったよ……ありがとう。もしもまた会えたら、また……会おうね」
と、私の背中を押した。
私は何も言葉を返さなかったし、振り向きもしない。
ただ少しの荷物と旧友から届いた手紙を持って、切符を空に掲げた。
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