二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜
- 日時: 2017/04/12 23:06
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
こんにちは!ひのりです!
今日からはキラキラ☆プリキュアアラモードの夢小説を書きたいと思います!
主に私得な内容になるかと思いますが、よろしくお願いします!
Page:1
- Re: キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/13 16:51
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
『キュアラモード!デコレーション!チョコレート!』
画面に映される姿に、僕の目は釘づけになる。
混ぜられたクリームが彼女の体に纏われ、やがて、真っ赤な衣装に変わる。
チョコレートのシルクハット。赤くてフサフサな尻尾。ウインクとともに、シルクハットを指で弾く。
『キュアショコラ!できあがり』
画面の向こう側で、彼女はそう言ってほほ笑んだ。
今自宅のテレビで見ているのは、最近始まった新しいプリキュアシリーズ、『キラキラ☆プリキュアアラモード』だ。
去年、中学受験のストレスからの現実逃避で見始めた昨年の魔法つかいプリキュア。
それからどっぷりと二次元沼にハマってしまい、気づいたらどこに出しても恥ずかしいオタクと化してしまった。
しかし、親は平均並の成績さえ維持していれば何も言わないし、友人はそれを許容してくれる人しか作らないため、今のところこのプリキュア視聴をやめるつもりはない。
……否、やめることが、できない。
僕は、中学生の頃、イジメを受けていた。
陰口を言われ、信じていた友人にも裏切られ、今では、『この人は自分を裏切らない』という確証があるものしか信じることはできない。
周りの人間の大半は人形にしか見えなくなり、友人ですら、自分にとって都合の良い人としか見えなくなっていた。
そんな僕にとって、プリキュアというアニメは、いわば僕にとって一種のオアシスであった。
フィクションの世界に存在する人間は、皆正直だ。
信じる信じないを他所に、そもそも、自分を裏切る心配がない。
たとえアニメに出ている性格が偽物だったとしても、それで僕が裏切られ、絶望する可能性が皆無なのだ。
『プリプリプリプリキュア♪』
そんなことを考えると、気づいたら、エンディングテーマが流れていた。
CGによってダンスを踊るプリキュアメンバー5人を眺めながら、僕はゆっくりと伸びをした。
「んんっ……なんか、小腹が空いたな……」
第6話の録画動画を停止し、僕は立ち上がる。
まだ夕食までは時間がある。近所のスーパーまでは歩いて一分もかからない。
僕は財布から500円玉を取り出し、家を出た。
自動ドアをくぐって中に入ると、人の賑わう声が聴こえてきた。
しかし、残念ながら僕にはどれも人形にしか見えないので、特に何も感情を抱かず、その場を後にした。
目指すのは子供のお菓子売り場。
プリキュアアラモードの中でも、特に、僕はキュアショコラが気に入っている。
気遣いができ、心優しく、人を尊重できる優しい心を持った高校二年生の彼女は、同い年であるにもかかわらず、僕に無いものを全て持っている人間だ。
おまけに、彼女は男装麗人と言われ、傍から見たら男にしか見えないような姿をしている。
男であるのに、僕なんかより断然男らしい。
そして、普通なら嫉妬の感情の一つでも抱くのだろうが……僕は、彼女に対して憧憬しか抱くことができなかった。
そんな彼女は、チョコレートがモチーフのプリキュアだ。
だから、僕は最近チョコレートにハマっている。
「うわーん!チョコレートが欲しいよぉ〜!」
チョコレートのコーナーに行くと、床に寝そべった子供が、腕をジタバタと動かしていた。
駄々っ子というものだろうか。
呆れた僕は、その横にいる母親に目を向けた。
「だから、今日はダメって言っているでしょう!?止めないと置いていくよ!」
「やだやだやだ〜!チョコレート食べたい〜!」
母親の注意も無視して、少年はひたすらチョコレートを欲する。
その様子に、僕はため息をついた。
それから、チョコレートのコーナーに目を向ける。
少し考えてから、アーモンドチョコと、某夢の国キャラクターを模したチョコレートを手に取り、レジに持っていく。
レジを済ませた僕は、おつりをポケットにしまって、少年の元に歩いていき、キャラクターチョコレートを置いてから歩き出した。
……僕にも、あんな時代があったんだよなぁ……。
しみじみと、感傷に浸る。
今ではこんなに暗い性格になってしまって……親が泣いてるな。
「さて、家に帰って次は第10話でも……」
呟きながら店を出た僕は、一度足を止める。
包丁を持ち、明らかに狂気を孕んだ目をした男がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
殺人鬼……?いや、通り魔とかか……?
どちらにせよ……この状況は危ない気がする。
僕がそう判断して後ずさるのと、男が近くにいた老女を包丁で突き刺したのは、ほとんど同時だった。
「クッソ……!」
どういう可能性だ!?
気まぐれでチョコレートを買いに来たら、そこで通り魔に襲われるって!
大体、通り魔に襲われる可能性って、何万分の1だよ!?
「キャアアアアアアアアアアッ!」
女の悲鳴が響き渡る。
人々は逃げまどい、近くにいる関係ない人間を、男は刺していく。
このままジッとしていたら……殺されるのは、確実に僕だな……。
すぐに逃げようと踵を返そうとしたとき、先ほどの少年が逃げようとして転ぶのが視界の隅に入った。
「なんっ……!?」
僕は急停止して、そちらに目を向けた。
少年に迫る男。それに、咄嗟に間に立ちはだかる母親。
置いておけば良いのに。自分だけ助かれば良いのに。
気づいたら、僕は走り出していた。
運動神経には自信がない。けど、距離があまりなかったのもあって、間に合うことができた。
「早く逃げ……ッ!」
叫ぼうとした瞬間、左肩に鋭い痛みと、激熱が走った。
熱い……。熱い。熱い。熱い!
それだけじゃなく、腹部、そして首筋にも刃物が突き立てられる。
「いっ……ッ!」
そんな中で、僕は、なんとか男の体に体当たりをすることに成功した。
バランスを崩した男は、ちょうど駐車場に入ってきた救急車に、轢かれていった。
……ははっ!ざまぁみろ!
そう思うのと同時に、僕は膝をついた。
意識が遠のく。誰かが、僕を呼ぶ声がする。
動かない体。あぁ、結局、僕の人生ってなんだったんだろうなぁ……。
こんな死に方、まるでフィクションだ。
もし、これが誰かの作った物語の世界なら……せめて、別のアニメの世界が良かったよ……。
そう思いながら、僕の意識は闇に溶けていった。
- Re: キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/15 10:48
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
フワフワとした不思議な浮遊感の中、僕はゆっくりと意識を取り戻した。
ここは……どこだ?
何か、不思議な感じの世界。目の前には、何もない、真っ白な世界が広がっていた。
そういえば、僕の体はどこだろう。まるで体の動かし方を忘れてしまったような、体そのものが消えてしまったような……そんな感覚がする。
「やっと目を覚ましたみたいだね!」
喜々とした声が聴こえた。
視線を向けると、そこには、白色の妖精のような生物がフヨフヨと浮いていた。
プリキュアの妖精の中にいそうなデザインだが、こんな妖精いたかな?
「初めまして!プリルンの名前はプリルン。全ての人間の夢を司る精霊プリ」
プリルン……ポルンみたいな感じか。
初代プリキュアの頃から進化してここにきたのか?
そういえば、小さい頃はポルンのぬいぐるみ持ってたな。
「違うプリ!プリルンはプリルンプリ!」
はぁ……分かったよ。
それで?その、人の夢とやらを司る精霊様が、こんな凡人の僕なんかに何の用ですか?
「むー……君は、人の為に自分を犠牲にする、とても勇気のある人間だと思ったプリ。だから、君の夢や願いを、何か一つ、プリルンが叶えてあげるプリ!」
恐らく、今、僕はポカンと口を開けていることだろう。
願いを……叶える?
別に、特別なことをした覚えはない。ただ、体が勝手に動いていただけだ。
それで願いを叶えるなんて……。
例えば、生き返らせるとかも可能なのか?
「そうプリ。あ、生まれる世界も選ぶことができるプリよ!」
その言葉に、僕はしばし考える。
あの世界に未練はない。だったら、いっそのこと異世界に転生して、チートしてみるというのも……。
そこまで考えた時、何かが閃いた。
それは……アニメとか、二次元の世界に行くことも……可能か?
「行けるプリよー」
その言葉に、僕は、今まで黒い靄がかかっていた視界が明るくなるのを感じた。
アニメの世界に転生。
何度夢に見て、諦めたことだろうか。
もしそれが叶うのならば……!
「でも、そこで君は今以上に生き続けることになるプリ。だから、後悔しない道を選ぶプリ」
その言葉に、僕はグッと唇を噛みしめる。
とはいえ、すでに、行きたい世界は決まっていた。
僕は一度深呼吸してから、口にする。
「……キラキラ☆プリキュアアラモードの世界に……」
「分かったプリ!」
その言葉と同時に、ドリリンとやらの体は光りだす。
僕はそれに目を細めた。
やがて、視界が真っ白になり……。
−−−
「おぉ!目を覚ましたぞ!」
僕の顔を見た瞬間、喜びの声を上げる男。
それに、僕を抱いている女が、目を輝かせて僕の顔を覗き込んでくる。
何が、どうなっているんだ?
数回瞬きをして、僕は、ゆっくりと両手を目の前に上げた。
それは、自分のものとは思えないくらい小さな手だった。
「うぇッ!?」
変な声が漏れ、僕は首を動かして自分の体の全容を見た。
そこには、赤ん坊のように小さな体があった。
……どうやら、僕は、本当に転生したようだ……。
- Re: キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜 ( No.3 )
- 日時: 2017/04/15 10:47
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
どうやら、僕は本当にキラキラ☆プリキュアアラモードの世界に転生してしまったらしい。
赤ん坊の体に生まれてから、しばらくは歩いたりもできないので、ベビーベッドの上で両親の話などに聞き耳を立てていた。
すると、いちご山とか、宇佐美とか、聞き覚えのある単語が行き交っていた。
宇佐美はともかく、いちご山って……絶対にキラキラ☆プリキュアアラモードにしかないような地名だよな。
あと、どうやらこの家は宇佐美家のすぐ向かい側に位置するらしく、少なくとも母親同士の仲は良好なようだ。
噂では、まだいちかは生まれていないらしい。
中学生組と同い年よりかは、あきらさんとかと同い年が良いなぁ……。
「安心するプリ!ちゃんと、その辺りはプリルンが調整しているプリ!」
……それから、なぜか目の前にはプリルンがいる。
どうやらこの精霊様(笑)の存在は、僕以外には見えていないらしく、コイツが偉そうに何かを語っていても、母親は何も気にせずに僕のオムツを替えていった。
できれば、僕にも見えないように設定してほしかった。
「それは駄目プリよ。プリルンは、しばらくタクミと行動するって決めたプリ!大体、アニメの世界に転生することを選んだ人間は、タクミが初めてプリ。だから、しばらく観察したいプリ」
その言葉に、僕は嘆息した。
ちなみに、この世界での僕の名前は瀧ヶ平 匠(たきがひら たくみ)だ。
見事にイニシャルはT・Tである。
それにしても……僕がアニメの世界に初めて転生した人間?
ていうか、そもそもプリルン。お前、今までどれくらいの人間の夢を叶えてきた?
「プリルンは、優しい心を持った人間や、人の為に自己犠牲をしてきた人の願いを叶えてきたプリ。でも、人の為に自分の命を犠牲にした人間はタクミが初めてプリ」
なんか、僕が誰よりも優しい人間みたいな言い方だな。やめろ。
「優しいって言われるのは嫌いプリか?」
そうだよ。だって、僕はその辺の人間が無機質な人形にしか見えない糞野郎だぞ?
あの時は、あの男の子が昔の自分に重なって、無意識に体が動いただけだ。
僕の意志じゃない。
「タクミは悪ぶってるけど不良になりきれない優等生みたいなタイププリね」
その評価やめろ!普通に恥ずかしい!
大体、僕が優しいなら、プリキュアの皆はどうなるんだって話だよ。
とはいえ、それを突っ込むのもなんだか億劫で、僕は天井を仰いだ。
あー。チョコ食いてぇ。
「諦めるプリ。その体じゃそもそもチョコレートを噛み砕くことすらできないプリ」
その言い方なんかうざいな。
大体、こういうのって転移とかトリップとか、他にも方法はあっただろ。なんで転生なんだよ。
「一度死んだ命を記憶を持ったままで蘇すだけでも大変なのに、転移なんて無理プリよ。プリルンにもできることとできないことがあるプリ」
まぁ、なんか複雑そうな話だから、これ以上は聞かねぇよ。
僕はため息をついて、自分の体を見つめた。
ったく……不便。
- Re: キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜 ( No.4 )
- 日時: 2017/04/15 18:16
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
この世界に転生してから数ヶ月ほど経ち、なんとか歩けるようになった。
と言っても、まだヨチヨチと家の中を歩き回ることで精一杯だ。
流石に外はまだ怖い。そもそも、僕は生粋の引きこもり人間だからな。
「タクミ可愛いプリ〜」
壁を伝いながら歩いていると、プリルンがそんなことを言い始めた。
うるさいな……。あと、男に可愛いってのは褒め言葉じゃないぞ。
「タクミはまだ赤ちゃんプリ。だから性別も何もないプリ」
やっぱ転生ってめんどくせぇよ……。
僕はため息をつき、しばらく歩き続ける。
「ところでタクミは……これからどうするプリか?」
その言葉に、僕は動きを止める。
プリルンは続ける。
「この世界に生きることを選んだのはタクミプリ。でも、この世界に生きてどうするプリか?」
……。
「他の人間とかを見ていると、自分の好きなキャラクターと恋愛したいとか、そんな意識を感じるプリ。実際、タクミはあきらとやらのことを気に入っているプリ。でも、恋人関係になりたいとか、そんな欲望は感じないプリ」
……僕は、誰かを信じることはできない。
この世界に来たいと考えたのは、ただ、前の世界に比べれば楽しいだろうと思ったからだ。
別に、何かしたいという明確な理由があったわけじゃない。
なんとなく、この世界は楽しそうだから。そんな、漠然とした理由しかない。
「……」
何か言いたげな表情で見つめてくるプリルンを置いて、僕は、ただ廊下を歩く。
こうやって歩く練習をして、一体、これから僕はどうしたいのだろう?
明確な目的がないまま、僕は、ただのうのうと生き続けるだけ。
そういえば、プリルンはあきらさんとカップルになる欲望を持たないのか、的なことを言ってきたな。
確かに、僕はあきらさんに憧憬は抱いている。
カッコよくて、誰かを助けるために後先考えずに動ける優しさを持っている。
男である僕ですら、そのイケメン度には目を見張るものがある。
しかし、それが恋情なのかと問われれば、返答に迷う。
恋愛……では、ない気がする。
僕自身、恋愛というものをしたことがないので、正確には分からないが。
「タクミは面倒な性格プリ〜」
そう言ってスローペースで歩く僕に並走するように隣をフヨフヨと浮かぶプリルン。
あぁそうさ。僕はこんな面倒な屑野郎さ。
分かったらもうどっか行けよ。
「嫌プリ」
……いずれはコイツを焼却処分する方法も考えないとな。
「怖いプリ!」
まぁ、冗談はさて置き。
これからどうするのかは、せめて、もう少し成長してから考えたい。
それまでは、グダグダと過ごすことにしよう。
- Re: キラキラ☆プリキュアアラモード〜憧れと恋は紙一重〜 ( No.5 )
- 日時: 2017/04/16 21:50
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
完全に歩けるようになった時、僕は1歳になっていた。
それくらいになると、大分できることも増えてくる。
家の中なら歩き回ることも可能だし、舌足らずな部分はあるが、話すことも可能だ。
ちなみに、今まで意味のない言語は話さないようにしていたおかげで、両親とまともに会話をしたのがつい最近だったりする。
流石に実の息子が最初に話す言葉は可愛げのあるものにしてやろうと、オムツを替えてもらう時に「ママ」と呼んでやったら、大層喜んでいた。
とりあえず、喜んでもらえて何よりです。
「タクミが可愛げなんて狙っても、プリルンから見たら可愛くないプリ」
頬を膨らませながら言うプリルンに、僕は無言で中指を立てた。
さて、ひとまずこれからどうしたものか。
流石に一歳児を一人で外に出すような真似はさせてもらえないだろうし、そもそも危なすぎるだろう。
まだ外には出れない。キラキラ☆プリキュアアラモードに出てくるCACAO CACAOというチョコレート店に行ってみたいが、まだ我慢だ。
「チョコレートならタクミが作れば良いプリ〜」
ほほう?この一歳児の体でか?
火傷したらどうするんだ。
「むぐー。タクミはわがままプリ」
何とでも言え。
とにかく、一人で外に出たりするのは確実に無理。
まだ家の中でしばらくは暇をつぶし続けるしかないか……?
でも、どうやって……?
「暇なら、スイーツについて調べれば良いプリ」
プリルンの言葉に、僕は顔を上げた。
スイーツについて、調べる?
「そうプリ!知識があれば、作れるようになった時にスイーツを作り放題プリ!」
いや、でも作るのは興味ないしなぁ……。
「でも、キラキラ☆プリキュアアラモードはスイーツを作るプリキュアプリ。今から勉強していれば、プリキュアのアニメ放送時の時間軸になった時に、きっと役に立つプリ!」
なるほど。でもなぁ、仮にそれでプリキュアに関わったとするよ?協力者的な立場になったとするよ?
プリキュアの男性協力者って、実は人気低いんだよ。
ハピネスチャージの誠司ってやつは、もう一人の協力者が屑すぎたのもあって人気だったけど、基本有能な部分がないと、かなり白い目で見られる。
それに、人気があっても扱いが不憫だったりすることもある。
分かりやすいのが、やはり誠司だ。彼は、プリキュア男性枠の中では人気はあったが、最終回の近くで悪堕ちさせられるという展開がある。
その時に着ていた衣装なんて、黒歴史のような扱いをされている。
「文句言いすぎプリ。それに、近所にプリキュアになる子がいて、その子とタクミの親が仲良いプリ。つまり、必然的にタクミはプリキュアに協力することになるプリ!」
なん……だと!?
それじゃあ、悪堕ちくらいは覚悟しておいた方が良いだろうか?
もしくは、ブルーとかジョー岡田並の不人気か……むしろこっちの方がありえそう。
僕の性格ゴミだし。
まぁ、でも、そうなるなら、スイーツは作れた方が良いか。
「そうプリ!今は作れないから、本を読んで知識を蓄えておくプリ!そうすれば、きっとあきらの役にも立てるプリよ!」
憧れのあきらさんの役に……!?
やる!やります!
「単純プリなぁ」
張り倒すぞ。
しかし、そうか。
どうせ目的も無かったし、良いかもしれないな。スイーツの勉強。
分かった。やってみるよ。
「やったぁプリ!流石タクミプリ!」
流石の意味は分からないけどな。
でも、褒められて嫌な気分には……———
『……君すごい!』
———……ッ。
『こんなこと、……君にしかできないよ!』
『やっぱり、……君には敵わないなぁ』
『気持ち悪いんだよ!近づくな!』
「……タクミ?」
心配した様子で顔を覗き込んでくるプリルンに、僕はハッとした。
「い、いや!なんでもないよ!」
そう言いながら微笑んで見せると、プリルンは不思議そうに首を傾げた。
「……タクミの言葉は、口にしなくても、プリルンには分かるプリよ?だから、今までタクミは口なんて滅多に開かなかったプリ」
その言葉に、僕は笑みを引きつらせた。
プリルンは続ける。
「何か、隠してるプリか?」
……なんでもないよ。
僕は、強張った頬を強引に緩め、微笑んで見せた。
その笑顔に、プリルンは、何か言いたげな表情をしつつ、視線を逸らした。
これで良い。
あの過去は……人に言いたくないから。
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