二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 仮面ライダー 鎧武&オーズfeat.ライダーズ 〜暁の鎧〜
- 日時: 2017/04/29 23:15
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: YohzdPX5)
これは交差する物語。
これから語られるのは二つの世界の物語であり、一つの世界観の物語である。
かつて語られた、二つの物語の延長線上に位置しているこの物語は、想像の世界の続きでもある。
一年間の物語と大戦の物語、そして終幕の先の更なる先の物語。
可能性の物語であり、狭間の物語。
欲望の種は大きな混沌の中で果実を実らせる。
物語の時計の針を動かすのは観察者であり、物語を導くのは通りすがりの者達。
鍵と金貨の物語は交互に語られ、いずれ一つのうねりを見せるだろう。
その未来は、今はまだ先のこと……。
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- プロローグ 武神の世界 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/19 01:07
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: .uCwXdh9)
渇ききった大地の上を爆音が轟く。
砂煙を巻き上げながら、3台のマシンが目的地を目指して真っ直ぐと走り続けていた。
凹凸の激しい道無き道を物ともせずに駆るのは、どれも常識を超越したスーパーマシン。
1台は黒とマゼンタのボディカラーのビッグスクーター——マシンディケイダー。
もう1台は黒い馬の形を模したオフロード型バイク——マシンゴーストライカー。
そして最後の1台は特殊なタイヤを装備した赤いスーパーカー——トライドロン。
これらは全て、この世界を守護する戦士——武神ライダー達の愛馬であり、今こうしてマシンを操っているのも紛うことなき3人の武神ライダーである。
マシンディケイダーを操る武神ディケイドは、この面子の中では1番先輩であり、戦闘経験も豊富だ。
生真面目にシートベルトをしっかりと締めてトライドロンを運転する武神ドライブとマシンゴーストライカーに跨る武神ゴースト、この2人は最近武神ライダーの仲間入りを果たした新米戦士である。
この世界は本来の歴史とは異なる時間が流れる孤立した異世界。
“ある人物”は「可能性と可能性が交差する世界」「幻みたいなもの」と例えた。
かつてこの世界は、争いの渦中にあった。
天下統一を目指す全国の武将達が、それぞれの軍を率いて土地を広げるための陣取り合戦を繰り広げていた。
常に毎日、何処かの領土と何処かの領土、軍と軍がぶつかり合い、戦が絶える日は無かった。
世はまさには戦国時代であり、その戦の中心にいたのが、各武将に仕える守護者——武神ライダーだった。
戦の結末は武神ライダー同士の戦いに委ねられていたと言っても過言ではなく、それほどまでに武神ライダーの力は強力だった。
しかしある時、武将に仕えようとしない1人の異端者が現れた。
配下である大勢の怪人共を引き連れて戦場に混乱を巻き起こした武神ライダー——武神鎧武である。
戦乱に一石を投じた武神鎧武は、天下を我が物にするために他の武神ライダー達の力を奪い、国を守護する神木の力さえも手に入れた。
強大なパワーを得た武神鎧武を前に、多く命が失われることとなった。
国の民は絶望し、戦士達も己の無力さに唇を噛み締めた。
そんな中、空間に生まれた裂け目を通じて別世界の武神ライダーがこの異世界に迷い込んだ。
“仮面ライダー”と呼ばれる6人の別世界の武神ライダー達。
彼らの活躍により武神鎧武は滅び、同時に長い間枯渇していた国にも雨が戻り、これを機に領土を奪い合っていた武将達の戦も終焉を迎えた。
争いを止めた全国の武将達は互いに手を取り合うことを決めた。
全ての領土に平等な平和をもたらす為の同盟が結ばれたのだ。
こうしてある意味最高の形で天下統一が成された。
平和を手に入れた全国の武将達が次に行ったことは現状維持だった。
武神鎧武亡き後も、残党である怪人達が各地でのさばっている。
全国の武将達はそいつらを殲滅するために、武神ライダー達を中心に実働部隊を組織した。
全国各地を守護していた14人の武神ライダーに、武神鎧武亡き後、新たに出現した2人の若き守護者——武神ドライブと武神ゴーストを加え、さらには全国のそれぞれの軍から引き抜かれた指折りの戦士達で脇を固めた強力な戦闘集団。
武将達の指揮の下、手早く不穏分子を排除する事を使命とする彼らの手により、武神鎧武軍の残党が引き起こす各地の騒動は瞬く間に鎮圧されていった。
そんなある日、武神鎧武が生前に根城にしていた洞窟の位置が特定された。
武将達の会議によりすぐさま制圧することが決定したが、各領土の防衛を疎かにする訳にはいかないと踏んだ武将達の判断により、選抜された少数精鋭で敵地に乗り込むことになった。
武神ライダーからは武神ディケイドを筆頭に、守護者としてはまだ日が浅い武神ドライブと武神ゴーストが選ばれ、人間の戦士からは二人の男女が選ばれた。
「まだ見えてこない。だいぶ近づいてるはずなんだけど……」
武神ドライブが運転するトライドロンの助手席で一人の女戦士が呟いた。
戦闘用にアレンジされた紫の和服に身を包んだ女性——ランマルである。
ランマルは武神オーズ軍の今は亡き武将——ノブナガに仕えていた女戦士だった。
武神鎧武との戦いの中で主を失ったランマルは、その後、持ち前の決断力と行動力を買われて武神オーズ軍の2代目武将の座に着いた。
しかし、元々戦士として育てられていた彼女にとって、武将という立場は何処か窮屈だったようで、今も尚、軍を引っ張る身でありながらも一人の戦士として誰よりも前線に赴き続けている。
「……本当にこっちの方角なんでしょうか?」
マシンディケイダーの後部シートに跨りながら、横に顔をヒョコッと出して前方を見つめるのは、小柄な体格の少年——シグレだった。
シグレは中性的な顔つきが特徴の少年で、年齢も16歳と若い。
身寄りも無く、孤独だったところをランマルに拾われ、以降は彼女を姉のように慕っている。
ランマルから戦闘技術を教えられたシグレはメキメキと腕を上げていき、瞬く間に戦いの才能を開花させていった。
戦士になってからまだ半年しか経っていないものの、今では立派な戦力要員として、武神ライダーや他の先輩戦士と肩を並べている。
今回の根城の制圧作戦の参加も、ランマルにその腕を見込まれての推薦だった。
3台のマシンはひたすら走り続けた。
荒野を抜け、海岸線へと入り、暫くは海との並走が続く。
コンクリート状の大きめの橋に差し掛かった時、事態は急変した。
突如出現した5体の怪人達が、3台のマシンの行く手に立ち塞がったのだ。
「ちっ!」
武神ディケイドは舌打ちしながらマシンディケイダーを急停止させた。
ほぼ同じタイミングでトライドロンとマシンゴーストライカーも停まる。
3台のマシンが停止したのは、ほとんど橋のど真ん中だった。
横幅もそれほど広くはないので、Uターンするにも手間が掛かるが。
「どうやら俺達を通すつもりは無いようだぜ、あいつらは……」
3人の武神ライダーと2人の戦士は、マシンからゆっくりと降りると5体の怪人と相対した。
道を塞ぐように佇む5体の怪人達は、その姿も種族も皆バラバラだった。
グロンギ——メ・ガリマ・バ。
オルフェノク——トードスツールオルフェノク。
人造アンデッド——改造実験体トライアルD。
魔化魍の親——乱れ童子。
イマジン——ホエールイマジン。
どの怪人も殺気立った視線を向けてくる。
しかし、3人の武神ライダーも2人の戦士も、その殺気に臆することなど決して無い。
来た道を引き返すつもりなど、彼らは端から考えてはいない。
障害として襲い掛かってくる敵がいるならば、ただひたすら迎え撃ち、斬り斃すのみ。
戦う準備はとっくにできている。
ランマルは腰のホルスターから2丁の拳銃を引き抜き、シグレもまた腰に備えられた刀に手を掛ける。
開戦の時は来た。
3人の武神ライダーと2人の戦士は一斉に駆け出した。
敵は5体。武神鎧武軍の残党達だ。
- プロローグ 武神の世界 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/28 01:37
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: b92MFW9H)
戦いの火蓋は切られた。
3人の武神ライダーと2人の戦士が走り出すのとほぼ同時に、5体の怪人達も一斉に前進を開始した。
両手に2丁の拳銃を構えたランマルは、銃口を敵に向けながら走る。
「バババゴンバザ! ゾンバボゾギグデ、キリゴオギデグレス!」
鋭い切れ味を持つ大鎌を手にした女怪人——メ・ガリマ・バが地面を蹴って跳躍し、ランマル目掛けて斬りかかった。
その一撃をすかさず回避したランマルは、敵に接近されすぎないように拳銃を発砲しながら一定の距離を保ち続けた。
迂闊に近づけば、一瞬にしてあの大鎌の餌食になってしまう。
ランマルは引き金を引きながら、敵の攻略法を探る。
「はあっ!」
クジラの特徴を持った怪人——ホエールイマジンに向けて、シグレは刀を振り下ろした。
動きの鈍いホエールイマジンは、防御する間もなくその一刀をまともに喰らう。
「い〜た〜い〜な〜」
しかし、口調までもが鈍いホエールイマジンのリアクションを見ていると、攻撃が効いているのかどうかも判断が難しい。
2撃目を仕掛けてやろうかと考えていると、突然ホエールイマジンが手に持った槍を突き立ててきた。
その攻撃の一瞬に見せた動きは、先ほどのゆっくりとしたモーションからは想像できないほどに速く、シグレは慌てて攻撃を刀で弾いた。
ランマルとシグレ、2人のサポートに向かおうと駆け出す武神ドライブと武神ゴーストだが、今度はトードスツールオルフェノクと乱れ童子が攻撃を仕掛けてきた。
武神ドライブと武神ゴーストはすぐさま足を止めて2体の攻撃を受け止める。
トードスツールオルフェノクの棍棒による一撃を、武神ドライブは掌で払いのけ、乱れ童子の空中からの奇襲を、武神ゴーストは自らも空中浮遊して妨害する。
橋の上に着地した武神ゴーストと乱れ童子は、今度は剣によるチャンバラを繰り広げる。
トードスツールオルフェノクの攻撃を回避しながら、武神ドライブは左腕のブレスレット——シフトブレスにシフトカーと呼ばれるミニカー型のサポートメカを装填した。
『タイヤコウカァーン!! マッシィーブモンスタァー!!』
マッシブモンスターのシフトカーを発動させた武神ドライブの胸部に、トライドロンから形成され飛んできた紫色の顔のついたタイヤが装着される。
同時に両手には怪物の頭部を模した緑色の牙型の武器——モンスターが装備された。
武神ドライブは特殊な能力を持った“タイヤ”をその身体に装着、使い分けることで様々な力を発揮することができる。
「いくぜ!」
モンスターを豪快に振り回した連続攻撃により、トードスツールオルフェノクは徐々に追い込まれていく。
武神ライダーになってからまだ日が浅い武神ドライブと武神ゴースト、そしてランマルとシグレの様子を気にしながら、武神ディケイドは人造アンデッド・改造実験体トライアルDの相手をしていた。
トライアルDが腕から伸ばす触手のようなコードを、武神ディケイドは専用剣ライドブッカー・ソードモードで見事なまでに蹴散らしていく。
全ての攻撃を防がれ、怯むトライアルD。
その隙に武神ディケイドはライドブッカーからカードを1枚取り出し、腰に装着されたベルト——ディケイドライバーのバックルに装填した。
『カメンライド・リュウキ!!』
電子音声が鳴り、同時に武神ディケイドの姿が赤き龍戦士へと変わる。
武神ディケイドは他の武神ライダーの姿を借りることができる特別な戦士であり、今変身したのは龍の力を駆使して戦う武神龍騎の姿である。
武神ディケイド(龍騎)は柳葉刀ドラグセイバーを手に、トライアルDを一気に攻めていく。
「シャァアー!」
獣のように襲い掛かってくる乱れ童子の猛攻に、武神ゴーストは自らの得物——ガンガンセイバーを弾き飛ばされてしまう。
「しまったっ!」
装備を失い、丸腰になってしまった武神ゴースト。
チャンスだと言わんばかりに、乱れ童子が両手に持った二振りの刀を振り下ろす。
しかし、刃が標的を傷つけることは無かった。
乱れ童子が刀を下ろしきった時、そこに武神ゴーストの姿は無かった。
刃が当たる直前、武神ゴーストの姿がスッとその場から消え失せたのだ。
「ウゥ…ウァ……?」
何が起こったのか理解できず、乱れ童子が辺りを見回していると、何者かの手がそっと乱れ童子の肩に触れた。
突然背後に気配を感じた乱れ童子は、振り向きながら刀を振り上げる。
が、そこには誰もおらず、刃は虚空を切っただけだった。
首を傾げながら視線を正面に戻す乱れ童子。
ところが戻した瞬間、視界一杯に広がったのは武神ゴーストのオレンジ色のマスクだった。
いつの間にか目と鼻の先まで接近していた武神ゴーストに、乱れ童子は思わず驚愕する。
「はっ!」
その隙に、武神ゴーストは乱れ童子の腹に拳を叩き込み、さらに大きく蹴り上げて乱れ童子を吹っ飛ばした。
「やるな、武神ゴースト! “亡霊”の名は伊達じゃないってことか!」
“ゴースト”の名に恥じぬ戦いっぷりを見せる武神ゴーストの姿に、武神ディケイド(龍騎)は感心を覚えた。
「言い事を教えてやる! そいつには“音の力”が良く響くぜ!」
「音の力?」
武神ディケイド(龍騎)の咄嗟のアドバイスに一瞬戸惑う武神ゴーストだったが、すぐにその意味を理解した。
「そういう事か! ベートーベン!」
武神ゴーストは眼球型のアイテムを取り出した。
それは“眼魂”と呼ばれる英雄の魂が込められた物体で、使用することで英雄の能力を借りる事ができる。
武神ゴーストはベートーベンの眼魂をゴーストドライバーに装填し、右側面のレバーを押し込んだ。
『カイガン! ベートーベン! 曲名! 運命! ジャジャジャジャーン!』
出現したベートーベンの魂——パーカーゴーストを身に纏い、武神ゴーストはベートーベン魂へと姿を変えた。
音楽の力を自由自在に操ることができる武神ゴースト・ベートーベン魂は、指揮者の様にリズミカルに手を動かし、パーカーについたピアノの鍵盤から発せられる音を音符エネルギーに変換し、乱れ童子へとぶつける。
「ウギャアァァ……!」
音撃に弱い魔化魍と同じ特性を持つ乱れ童子にとって、ベートーベン魂の音符エネルギーは効果的だった。
攻撃を受けた乱れ童子は悶え苦しみながら地面に倒れ伏す。
「今だ!」
武神ゴーストは一気に方を付けるべく、もう一度ゴーストドライバーのレバーを押し込んだ。
『ダイカイガン! ベートーベン! オメガドライブ!』
地面を蹴って大きくジャンプした武神ゴーストは、右足を前に突き出し急降下する。
「はぁあああー!!」
音符エネルギーを足先に纏った必殺の飛び蹴りが、よろめきながらも立ち上がろうとする乱れ童子のボディに直撃する。
足先が命中した瞬間、乱れ童子の体内に大量の音符エネルギーが流れ込む。
途端に乱れ童子の肉体は崩壊を起こし、爆発四散し木屑となって消滅した。
他の武神ライダー達も、武神ゴーストが乱れ童子を撃破したこの流れに乗り、次々と怪人達を葬り去っていく。
『タイヤコウカァーン!! マックスフレア!!』
『ヒッサァーツ!! フルスロットル!! フレア!!』
燃え盛る炎のタイヤを装着し、炎の属性を身につけた武神ドライブが、トードスツールオルフェノク目掛けて空中から必殺キックを叩き込む。
真っ赤な炎を纏った武神ドライブの足が、トードスツールオルフェノクの胸を貫いた。
「ぐわぁああああー……!」
刹那、トードスツールオルフェノクの身体は灰となって崩れ落ちる。
『アタックライド・ストライクベント!!』
武神ディケイド(龍騎)は右手に龍の頭部を模した武器——ドラグクローを装着。
「はぁあああ……はあっ!」
腰を低くして構え、次の瞬間、勢い良くドラグクローを前面に突き出した。
同時に龍の口から高温の炎が放射され、トライアルDの不気味な身体を焼き尽くしていく。
「ワ、ワタシハ……ウァアアアアア……」
トライアルDは機械的な断末魔を上げながら、炎の中で消滅した。
3体の怪人が倒れ、残る敵はガリマとホエールイマジンの2体。
ランマルもシグレも戦い慣れているとはいえ、相手が超人的な力を持った怪人達ではやはり分が悪く、手こずるのもやむを得ない状況だった。
しかしそこへ、トライアルDを撃破した武神ディケイド(龍騎)が加勢に入る。
- プロローグ 武神の世界 ( No.3 )
- 日時: 2017/05/03 01:38
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: JbG8aaI6)
敵の背後に回りこんだ武神ディケイド(龍騎)は、すかさずガリマとホエールイマジンの懐に拳を打ち込み、続けて回し蹴りで2体との距離を大きく離した。
「あいつらの相手は俺がする。武神ドライブ、武神ゴースト、お前達は2人を連れて先に進め!」
武神ディケイド(龍騎)は遅れて駆け寄ってきた武神ドライブと武神ゴーストに向かって言い放つ。
「武神ディケイド、しかしあんた1人を残して先に行く訳には……」
「心配するな。あいつら程度なら俺1人で十分だ。それに……1人の方が断然動きやすいからな」
「……わかった。ここは任せる。しかし無茶だけはするなよ」
少し考えた挙句、武神ドライブは武神ディケイド(龍騎)の提案を承諾した。
「いいのか?」
不安そうに武神ゴーストが尋ねる。
「大丈夫。武神ディケイドは強い。それより彼の言うとおり、俺達は急いで先へ進もう。ランマルとシグレもそれで良いだろ?」
「うん」
「勿論だ! 我々はいつまでもこんな所で足止めを喰らっている訳にはいかない。モタモタしていれば、さらに敵が増えるかもしれない。そうなる前に、一刻も早く敵の根城を制圧しなければ!」
「よし! じゃあ急いで向かおう! 武神ディケイド、後は頼むぞ!」
こうして武神ドライブと武神ゴースト、そしてランマルとシグレはこの場を武神ディケイドに託し、急いで敵の本拠地へ向かうことにした。
ランマルは武神ドライブのトライドロン、シグレは武神ゴーストのマシンゴーストライカーの後部座席に乗り込んだ。
2台のマシンは急発進して橋の続きを進んでいく。
「ザレヒオリビガギザギバギ!」
行かせてはなるものかと言わんばかりに、走り去ろうとする2台のマシンの後姿を、ガリマとホエールイマジンが追いかける。
「逃がすか!」
その様子を見ていた武神ディケイド(龍騎)が、ライドブッカーから1枚のカードを取り出し、ディケイドライバーに投げ入れる。
『アタックライド・アドベント!!』
その瞬間、上空に真っ赤な龍——ドラグレッダーが現れ、トライドロンとマシンゴーストライカーを追跡しようとするガリマとホエールイマジンに強烈な体当たりを仕掛けた。
2体の怪人が宙を舞っている間に、トライドロンとマシンゴーストライカーは橋を渡りきり、やがてその姿も遠ざかって行った。
「お前らの相手はこっちだ!」
武神龍騎の姿が解除され、元の姿に戻った武神ディケイドは、ライドブッカー・ソードモードを手に走り出す。
ドラグレッダーに吹き飛ばされたガリマとホエールイマジンも体勢を立て直すと、それぞれ武器を握り締め、向かって来る武神ディケイドを迎え撃つ。
「お〜ま〜え〜じゃ〜ま〜!」
「ヨベギバボオゾ……。ラズザキガラバラギラズギデジャス!」
トライドロンとマシンゴーストライカーの追跡を妨害されたガリマとホエールイマジンは、憤怒した様子で武神ディケイドに襲い掛かる。
ガリマの大鎌とホエールイマジンの槍、2つの刃が武神ディケイドに迫る。
武神ディケイドはライドブッカー・ソードモードを巧みに操り、大鎌と槍の攻撃を弾いていく。
『アタックライド・ブラスト!!』
咄嗟にカードをディケイドライバーに装填し、ライドブッカーをガンモードに変形させる。
銃形態となったライドブッカーの銃口をホエールイマジンに向け、躊躇無くトリガーを引く。
「あのねぇ!?」
残像の様に分身して増えた銃口から、威力が強化された光弾が連続で発射され、ホエールイマジンを背後に大きく吹き飛ばした。
武神ディケイドとホエールイマジンとの間に距離が生まれる。
しかし今度はガリマの一撃が武神ディケイドの背中を切り裂いた。
「ぐわっ!?」
死角からの攻撃に武神ディケイドはよろめき、思わず膝を付いてしまう。
「いってぇな!」
背後に佇むガリマの姿をキッと睨みつけた武神ディケイドは、姿勢を低くしたまま1枚のカードをドライバーに差し込んだ。
『アタックライド・スラッシュ!!』
ライドブッカーを再びソードモードに切り替えると、振り向き様に刀身を振り上げた。
不意をつかれたガリマは成す術無くその斬撃を浴び、たまらず後退する。
武神ディケイドはその隙に立ち上がると、両手で柄を握り締め、力を込めて上から下に刃を振り下ろした。
慌てて大鎌で防御を試みたガリマだったが、カードの効果で切れ味が増したライドブッカー・ソードモードの一撃により、大鎌は真っ二つに叩き折られた。
「バ、バンザオ……!?」
予想外の展開に動揺するガリマ。
その間に武神ディケイドは止めのカードをドライバーに装填する。
『ファイナルアタックライド・ディディディディケイド!!』
ラップ調の電子音声が鳴るのと同時に、武神ディケイドの眼前に10枚のカード状のエネルギーフィールドが出現。
地面を蹴って跳躍した武神ディケイドは、飛び蹴りの体勢でカード型エネルギーを通過していく。
「はぁああああー!!」
エネルギーが集中した右足を力強く前に突き出した武神ディケイドは、渾身の力を込めてガリマの胸を蹴り飛ばした。
「ギャァアアアアアー……」
背後に大きく吹き飛んだガリマの身体は、地面の上に叩きつけられた瞬間、悲鳴と共に爆発した。
着地した姿勢のまま、爆炎に目を向ける武神ディケイド。
しかし次の瞬間、突然飛魚の様に空中に飛び跳ねたホエールイマジンが、死角から武神ディケイドに体当たりした。
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