二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【MHXX二次創作】二つ名を狩る人
日時: 2017/05/30 08:46
名前: 回避性能依存症 (ID: Ue57yV0/)

 モンスターの世界には、皆殺しの悪魔がいるという。その角の向く先にある村は、瓦礫一つ残すことなく塵になり、彼が歩いた後にはその足跡しか残らない。
 その角は全てを貫き、その尾は全てを薙ぎ払い、そして周囲一帯を爆ぜさせて、また次の土地へと向かっていく。
 その者の双角は、同種のそれとは異なり、歪に、異形に、大きく発達していた。禍々しいその形相は、モンスターというよりも悪魔と呼ぶに相応しかった。
 その昔、少年と少女がいた。彼らが王都へお使いに出ていた時、その故郷に悪魔は現れた。二人が帰りついた時、残されていたのは血にまみれた荒れ地だけだった。
 そして少年は復讐を誓った。みなごろす悪魔、ディアブロスに。


〆story

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Re: 【MHXX二次創作】二つ名を狩る人 ( No.1 )
日時: 2017/05/30 10:06
名前: 回避性能依存症 (ID: Ue57yV0/)


 硫黄の臭いの立ち込める村に、活気ある声が響いた。雑貨屋の女は今日も、各地から特産品を取り寄せて競りのように珍しい品を売っていた。ココットの地酒を求めて鍛冶屋の親父が、ポッケでとれる魚を求めてアイルーの武具屋が、ベルナ名物の土産品を欲して武器商が、そして村の皆が彼女の店の正面に集まる。今日の目玉は身のたっぷり乗ったドス大食いマグロ、アイルーはうっとりとした目で、その姿を眺めていた。
 村長の女性は、龍歴院と呼ばれる組織と連絡を取りながら、そんな様子を眺めていた。今日も楽しそうだと、微笑ましい気分になるが、いつも見かける顔が一つ無いことを思いだし、気分が曇る。彼は……いや、『彼らは』今ごろどうしているだろうか、どんな気分だろうか。
 そんな陰りを読み取ってか、傍らに立つ龍歴院から遣わされた女性は、問いを投げ掛けた。

「どうなされましたか?」
「いえ、少々困っておりまして……あら、そういえば」

 何かを思い出したように、村長は両手を合わせた。問いに答える前に、彼女はまず派遣されたハンター二人に尋ねてみた。

「お二人は、確か特殊許可個体の討伐にやってこられたハンターさんだとか」
「そうですね」
「なら、話は早いです」

 紅兜、そう呼ばれるモンスターがいるのです。村長の女はそう前置きした。

「存じております。今回の我々の、討伐対象の一つです」
「はい。おそらくあなた方の討伐対象で、現在こちらが被害を受けたのは、まだその紅兜だけなのですが……」

 一人、ハンターが消息不明になってしまっている。紅兜との交戦中に手負いとなったところまでは記録にあるが、その後消息が不明である。それが、つい三日前の話だという。

「記録にある、とは?」
「オトモからの報告です」
「なるほど……」

 自分を連れてだともう逃げ切れない、それを悟ったハンターがせめて情報だけでも伝えるためにオトモだけを先に返したのだ。

「話を聞く限り、かなりの大ケガらしく、おそらくはもう、そのハンターは……」
「なるほど、オトモの方も複雑な心情でしょうね」

 できるだけ感情を圧し殺し、しかしそれでもほんの少し悲しみを滲ませて、もう一人のハンター、気弱な男性の方が答えた。今までずっとおどおどして黙っていたが、根はとても優しいハンターのようだ。




次>>未執筆

更新量少ないんですよね、ごめんなさい ( No.2 )
日時: 2017/05/31 23:47
名前: 回避性能依存症 (ID: hgzyUMgo)


「はい、そのアイルーも、とても忠義に満ちた猫でして……命令にこそ従ったものの、主の傍にいれなかったことをひどく悔やんでいるのです」

 毎日毎日、主君の敵討ちを考えるも、最後に聞いた飼い主の言葉が何度も彼を引き留めた。お前だけは生きろと、いつも通りの優しい顔を無理して作って、そのハンターはオトモの背中を見送った。
 お前だけでも。その言葉は、あの緊迫した状況では何とも思わなかったが、今となってはオトモ本人も分かっていた。それが今生の別れとなることを、飼い主のハンターはいち早く覚悟したのだ。村へと逃げ帰る彼の背中を紅兜が追わなかったのは、きっと主が身を呈して、最後の命を燃やして時間を稼いだからに違いない。
 それを悔やむオトモは、今日もきっと村の入り口で武器を構えて待っている。たった一人の使えるべき者、その人に渡されたナイフのような武器をかかげて。

「その子なら、昨日この村に着いた際に我々も見ました」

 ずっとずっと、届かないほど遠くを見つめる悲しい目。この村に着いた時彼女はその様子に首を傾げていたが、ようやく合点がいった。



一時中断


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