二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【銀魂】白を、黒を。【短編】
日時: 2017/06/10 21:18
名前: nemu (ID: ZD9/Y1q1)

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 目を閉じれば、ソイツの美しい銀色が見える。
 耳を塞げば、ソイツの叫び声が聞こえる。
 生を終わろうとすれば、それはまた大きくなる。


 ***


 (......チッ)



 苛立ちに任せて煙管に歯を立てれば、嫌な金属音が響いた。

 ゆらりと不安定に揺れる屋形船はソイツの様であり、...俺の様で。
 俺は、思い切り紫煙を吐き出す。
 ___嗚呼、こうして何もかも吐き出せればどんなに楽か。


 空中で燻らせた紫煙は、虚しくも消えて行き。

 また俺は、行き場のない苛立ちを世界にぶつける。



 ***



 初めまして、nemuと申します。

 初投稿作品、銀魂二次創作です。
 色々と至らない点がありますが、ご了承ください。


 【注意】

 ◎此方は銀魂の『平行世界』と割り切って見ていただかないとこんがらがります。(※平行世界が分からない方はググってください)
 ◎高杉と銀さんは敵対してはいます。
 ◎なんか高杉がほのぼのしてます。誰だお前。

 無理な方は無言で逃げてください。

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Re: 【銀魂】白を、黒を。【短編】 ( No.1 )
日時: 2017/06/10 18:24
名前: nemu (ID: ZD9/Y1q1)

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 (ちっと飲みすぎたか...?)



 うぅ、と覚束ない足取りで家路を辿る。
 酔いが大分回っているのだろうか。ぼうっとしてあまりしっかりしていない頭を必死に働かせながら万事屋へ歩く。

 首に巻いたマフラーといつもの着流しが肌寒い風に揺らされ、気紛れにあっちへこっちへ。

 時折吐き気を催してしまい、これは新八に叱られるな___なんて。



 「うぉっ......」



 不意に、俺の前になにやら虫のようなものが現れ、通りすぎた。
 俺は少々驚き、足を縺れさせ尻餅をつく。

 ......歳か?なんて不吉なことが頭に浮かぶ。



 「な、ないないない。銀さんまだ現役だもんね。ないない」



 ははは、と乾いた笑いが暗い路地に響く。
 同時、無意識に俺は目の前を通ったそれを見た。

 ひらりひらりと優雅に舞うそれ。



 (......蝶、ね)



 昼の太陽の下で見れば美しいそれも、今は暗い中の光に寄っていくからか、蛾と大差なく見えてしまう。
 昼の蝶も、蛾とどこが違うのかなんて分からないに等しいけれど。

 尻餅をついたまま俺はぼうっと蝶を見る。
 ......光しか見えてねーのかな、蝶ってのは。



 ("光しか見えない"のと、"光が見えない"のと......)



 どっちが不幸なんだか、なんてふと考えて俺は頭を掻く。
 ......どーだって良いわな。



 「...はァ」



 俺は溜め息を吐くと、立ち上がって着物を叩く。
 そして再度マフラーに顔を埋めると、歩き出す。

 ......風が吹いていなかったからだろうか。
 着流しもマフラーも揺れなかった。

Re: 【銀魂】白を、黒を。【短編】 ( No.2 )
日時: 2017/06/10 21:08
名前: nemu (ID: ZD9/Y1q1)

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 夜は妖しさが街を支配する。
 照らすのは街灯か月の光、星の光ばかりで。
 先の見えない暗闇は、俺の心をぞくぞくとさせる。

 ___というのに。



 (...昼ってのァ、どうしてこうも)



 平和に満ち溢れてやがる。

 俺は無意識に舌打ちを溢す。
 鳥が飛び、子供が遊び、光が溢れ。
 ......平和ボケしてやがる、昼ってのは。


 ならどうして俺が昼にこんな街をふらふらしているかって?
 ...まァ、そうだな......人探し、か?



 「___バカァァァ!!」

 「っ、」



 ふらりふらりと街を歩いていれば、聞こえたガキの声。
 少し驚きそちらへ顔を向ければ、すごい勢いで突進してくる何か。

 受け止める体勢にも、避ける体勢にもなっていなかった俺はモロにぶつかってしまった。



 「うわ、」

 「...いてェ」



 ギロリ、睨め下げれば相手はビクリと肩を揺らす。

 ___ふと、その華奢な体を包むチャイナ服と容姿に見覚えがあることに気づいた。
 ......こいつは、銀時の連れ?



 「ご、ゴメンアル。しっかり前を見てなかったネ」

 「............」

 「ぅ、............お、お前も悪いアルヨ!!避けない、から...」



 なんつー理不尽なガキ、とは思ったが語尾に行くに連れて小さくなる声に、素直に『面白ェ』と思ったのは事実であった。
 ならもう少し弁解でも聞いてやろうと、俺は無言を貫く。



 「〜〜〜ッ!こ、今回は私の方が非が多いのは認めてやるネ!......ほ、ほら」



 「やるヨ」と差し出されたそれは、......何だ?
 黒いペラペラの、何か。



 「...お前、酢昆布知らないアルか?」

 「あァ」

 「はぁ!?人生半分損してるネ!」

 「くだらねェ」



 受け取らず、押し返しもせずにただ黙って酢昆布とやらを見つめる。
 すると食べない俺に苛立ったのか、無理矢理口に入れてきた。

 う、と眉を潜める。



 「てめェ...」

 「ギャハハハハ!何アルかその顔!!」



 ___なんなんだ、このガキは。

 俺は訳が分からなくなった。

Re: 【銀魂】白を、黒を。【短編】 ( No.3 )
日時: 2017/06/10 23:17
名前: nemu (ID: ZD9/Y1q1)

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 事件が起きたのは、とある朝であった。

 いつものように新八が来て、俺と神楽を起こして、朝飯の準備して、着替えて、歯ァ磨いて、座って。
 ___が、そこからが問題であった。



 「銀ちゃん、私のアイスは?」

 「え?...なに?」

 「私のアイスヨ。どこやったネ」

 「あぁ。アイツなら出ていったぞ......っぐふ」

 「どこにだァァァアア!!」



 朝飯を食い終わりすぐ、神楽の蹴りが飛んできて俺は胃の中の物をぶちまけそうになる。危ない。もったいない。

 うぐ、と腹を抱えて踞る。
 神楽は「銀ちゃんのバカァァァ!!」と叫ぶと全速力で万事屋を出ていった。



 「...ちょっと銀さん」

 「......わーってるよぱっつぁん。どうせすぐそこでうずくまってんだろーよ」

 「ちゃんと新しいアイス、買ってあげてくださいよ」



 新八の言葉を背中で聞き、俺は万事屋の戸を開けてすぐ左の階段を見る。
 ......居ない?
 ............まぁ喧嘩したらちょっと遠くにくらい逃げるか。


 神楽〜、と名前を呼びながらかぶき町を歩く。

 ...いつもの公園、いつもの道、お妙の家。
 どこにも神楽は居ない。



 (嘘だろオイ...)



 どこ行った?

 冷や汗が頬を伝った。


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