二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 百目鬼の柩
- 日時: 2017/07/29 23:28
- 名前: 「黒」 (ID: y47auljZ)
「黒」という者です。
これから記載していく作品は私が好きな京極夏彦先生の作品である
百鬼夜行シリーズを文才の無い私が愚かにも模したモノです。
原作作品の登場人物も登場致しますが、あくまでもオリジナル要素を含みますので閲覧には注意を・・・また、更新は非常に遅いですので御理解下さい。
因に以前掲載していた作品の再編、再構築した作品となります。
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- 百目鬼の柩 ( No.1 )
- 日時: 2017/07/29 23:36
- 名前: 「黒」 (ID: y47auljZ)
壱
「 視線を感じる」
と言っても具体的に誰かに見られているわけでもなければ、覗かれているわけでもない
ただ何かにつけて視線を感じてしまうのだ。
医者曰く精神的に疲弊しているのだとか、何とかという専門的な病名を口にするのだが、私としては病気を患ってしまったなんていう事は微塵も感じていないのであり
目の前の医者が垂れ流す文言も何処か遠い国の別人について語っているようで
非常にアホらしく思えてしまう。
病気でもなければ私が感じているこの視線は一体何なのだろうか、家に帰ってからもゴロゴロと無駄に時間を過ごしながらも
常に感じる視線に関して無い知恵を振り絞り考えてしまう。
が、いくら考えた所でその様な知恵が最初から頭に無いのであるから一向に良い考えなど浮かんでくる筈もなくただ無駄な時間を過ごすだけである。
以前はこんな事など無かった
数年前まではカストリ雑誌社ではあるが出版業界に勤めており、それなりの生活をしていたのだが
ある頃を境に無気力というか・・・仕事というモノに囚われているのがバカらしくなってしまったのである。
しかし、今こうしてゴロゴロ過ごして何とか生活していけるのは、そのバカらしくなった仕事をしていた頃の貯金であるのだが、その貯金にしたところで、何時までも無限に有るわけではない
そんな事等をふと考えながらも
自らに向けられているであろう視線を探して無駄な事だと分かっていながらも六畳二間の狭い室内をあちらこちらと見回してみる
けれども其処には何もない薄暗い空間が広がるだけで
何もないのである。
「ハァ〜」
溜め息一つ
ついた拍子にある冴えない男の顔が頭に浮かぶ
「確か関口先生だったか・・・。」
- 百目鬼の柩 ( No.2 )
- 日時: 2017/07/31 22:05
- 名前: 「黒」 (ID: vJF2azik)
壱之弐
他社のカストリ誌の編集者であり交流のあった鳥口君がよく話題にしていた作家でもある人物・・・と言っても私が件の人物に会ったのは一度きりであり社交辞令的に挨拶をした程度のであるが・・・。
何故今そんな交流の無い作家の顔が浮かんだのかと云えば
鳥口君曰く関口巽なる作家と彼の周囲の人物は非常に興味深く
彼の仕事でも大層世話になり、その後も交流が続いているという事らしかった
中でも確か・・・京極堂といったか、その古書店の主人は様々な知識を有し、歩く図書館と言っても過言ではないらしいとか。
そんな人物にこの視線について知恵を拝借できればと、ふと件の作家先生の顔が浮かんだのである。
「中野だったな。」
思い立ったが吉日と言っても暦で言えば本日は先勝・・・つまり午前中の行動は吉であるが午後からは凶であるそんな日の午後
そんな粗末な事が頭を過るもそそくさと身支度を整えると
中野へと足を向ける。
「この家は穢れている。」
ヨロヨロと家を出ようとした時であった。
ボロい玄関先で錫杖を手にした長身の男がそう呟くのがふと耳に入ってくる。
穢れ・・・?何を言っているんだ、ああっ・・・宗教か何かだろうか。
私は玄関先に立っている男を無視して素通りしようとする。
「誰かに見られているのではありませんかな?」
男はボソッと通り過ぎようとする私に向かって声をかける。
「四六時中、視線を感じる・・・違いますかな?」
宗教か何か知らないがそこまで分かるものだろうか・・・いや宗教や占いといった類いのモノは私は信用していないのだが、目の前の修験者風の男ははっきりと私の置かれている状況を言い当てたのだ、それが霊能というモノであれ、占いであれ話を聞くくらいは問題は無いのかもしれない等と頭で考えながら
「わかりますか。」
と問う
「ええっ、わかります。」
と男は頷く
外で立ち話もなんだと出会ったばかりの男を家の中に招き入れる。
「やはり、この家は穢れております。ちょっと宜しいですかな。」
そういったかと思うと男は何やら唱え始めてしまう。
「天清浄(てんしょうじょう) 地清浄(ちしょうじょう) 内外清浄(ないげしょうじょう) 六根清浄(ろっこんしょうじょう) 心性清浄(しんしょうしょうじょう)にして諸の汚穢(けが)れ不浄なし 我身は六根清浄なるが故に天地の神と同體(どうたい)なり 諸の法(ほう)は影(かげ)の像(かたち)に随(したが)うが如く為(な)す処行(ところおこな)う処 清く浄(きよ)ければ 所願成就(しょがんじょうじゅ)福壽窮(ふくじゅきわま)りなし 最尊無上(さいそんむじょう)の霊宝 吾(われ)今 具足(ぐそく)して意清浄(こころしょうじょう)なり」
手にしている錫杖をジャラジャラと鳴らしながら力強く
何らかの呪文のようなモノを唱える男をただぼっーと見つめているうちに私は男の『目』に魅入られてしまっていたのである。
- 百目鬼の柩 ( No.3 )
- 日時: 2017/08/02 21:19
- 名前: 「黒」 (ID: aOp/uujw)
壱之参
「こいつはひでえな。」
現場を目にするなりその四角と云っても過言ではない箱の様な輪郭の体つきの頑丈そうな男はそう呟いた。
「修さん、これで三人目だよ、以前にも似たような現場を見たことがあるけど、やっぱり慣れるもんじゃないね。」
老刑事はそう言うと懐から取り出した手拭いを広げると、その目は最後に何を見ていたのであろうか
眼球が摘出されぽっかりと空いた空洞を有するまだ年端もいかぬであろう若い娘の顔へと被せ、南無阿弥陀仏と合掌し題目を唱えるのであった。
「しかし、今週に入って既に二人も同じようにってのは、何か意味があるのか?そもそも人間の目玉なんてものを抜き取る意味がわからねぇ。」
「まったく、恐ろしい奴がいるもんだねぇ。」
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