二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- スプラ2 『あったかい』って、何?
- 日時: 2018/04/22 18:45
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
コウ 14歳・♀
使用ブキ リッター4K
アタマ イカパッチン
フク さくらエビポロ
クツ キャンパスホワイト
身長 143cm
体重 32kg
・小さい体に似合わず、重量級のブキが好き(扱えるとは言っていない)。
・気弱で、初対面の人やボーイには内向的。心を開くとそうでもなくなる。
・過去のトラウマから『あたたかさ』を忘れ、探し求めている。
ケン 18歳・♂
使用ブキ ヒーローローラーレプリカ(拾ったらしい?)
アタマ ペインターマスク
フク FCジャージー
クツ ロッキンブラック
身長 186cm
体重 81kg(ほぼ筋肉)
・元ヤン。よくキレるが礼儀正しい。
・背が高く筋肉質なので、殆どのガールには怖がられる。
・コウをからかうのが好きだが、根は優しく仲間思い。
ミズヤ 17歳・♂
使用ブキ わかばシューター
アタマ エイズリーマスク
フク ホタパーカーグレー
クツ マッドラバー
身長 168cm
体重 64kg
・天然で純粋な癒しキャラ。
・時折無自覚で毒を吐く。
・ネガティブだが、実は努力家。
サキ 22歳・♂
使用ブキ バレルスピナー
アタマ ヤコバイザー
フク エゾッココーチ モエギ
クツ ジョーズモカシン
身長 183cm
体重 66kg
・優しく気配り上手な人気者。
・チームの最年長。だが苦労人。
・怒ると誰よりも怖いとか。
- Re: スプラ2 『あったかい』って、何? ( No.17 )
- 日時: 2018/06/02 22:40
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
天気が良く、少し暑い昼下がり。ケンとミズヤが、ロブサンドを食べながら語り合っていた。
「・・・って事があってよ。」
「アハ。コウちゃん、可愛い〜。」
他愛も無いやり取りの筈だった。
「アレのドコが可愛いんだよ。アホでうるさくて・・・。」
「うああああっ!!」
2人の元に吹っ飛んできたのは、今の今まで噂をしていたコウ。テーブルにぶつかりかけたのを、ミズヤが慌てて受け止める。
「危ねーだろ、チビ!ぶっ飛ぶな!」
怒ったケンが、コウの頭を殴った。しかし、反撃が来ない。
「チビ?どうした・・・。っ!?」
驚いて、ケンは目を見開いた。コウの瞳から、大粒の涙が流れていたのだ。
あまりに衝撃的で、ケンが言葉を失っていると。
「コウちゃん、おいで。」
ミズヤが、自分の胸板にコウの顔をくっつけた。その表情は、さっきのような笑顔では無かった。
「もう、大丈夫だよ。」
ミズヤが背中を擦ると、コウは頷き、涙を手の甲で拭った。
「何があったの?ゆっくりで良いよ、ちゃんと話して・・・。」
「まだ、逃げるのか。」
ミズヤの言葉を遮り、低くしわがれた声が響く。
ケンが、声がした方を見る。体格の良い男が、巨大な足で一歩ずつ近付いてくる。
帽子を取ると、ゲソが不気味にうねりながら消え、気付いた頃には真っ黒い毛に変わっていた。
「なっ!」
「・・・!?」
男が、ニヤリと笑みをこぼした。
- Re: スプラ2 『あったかい』って、何? ( No.18 )
- 日時: 2018/06/05 20:48
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
ケンは、突如現れた男の瞬時に変貌した姿に、訳が分からず戸惑っていた。
ミズヤは、幼い頃に行った博物館に飾ってあった、プラスチック製の大きな模型を思い出していた。顔や身長は違えど、絶対にあの模型と同じ類いだ。
「・・・まさか!」
「気付いたか、私の正体に。」
男が、フンと鼻を鳴らしたのと同時に頷くと、ミズヤは小さく深呼吸をしてから口を開いた。
「君は・・・『ニンゲン』だろう?」
「はあ!?」
ケンが、これまでに無い程驚いて声を上げた。その様子を見て、男がククッと笑みを漏らす。
「信じられないのも当たり前だ。遥か昔、海面上昇で絶滅した生き物なのだからな。」
「でも君は、今の今までイカだった筈じゃ?」
「ははっ!遺伝子を知らないのか?」
男が高らかに笑い、ケンは拳を握り締めた。そして、今にも殴りかかろうとするケンを、ミズヤが手で制した。
「君は何者なの?この子に何の用?」
冷淡に尋ねられ、男は小さく笑って言った。
「私の名はヤノ。見ての通り、イカとニンゲンの姿を自由自在に変える事が出来る。イカとニンゲンの境目、つまりはハーフと言った所か。」
「イカとニンゲンのハーフ・・・?」
そんな事が、と呟こうとしたミズヤだったが、咄嗟に言葉を飲み込んだ。
すると、ヤノが付け加えた。
「私は、コウの兄だ。」
「はあ!?」
「・・・!?」
突然の告知に、2人は聞き返しそうになった。
「コウは昔、無理矢理・・・。」
「それ以上言わないで!!」
ミズヤの腕から強引に離れ、コウは叫んだ。涙でびしょ濡れになった顔を、手の甲で拭う。
「それ以上言ったら・・・わたしが、わたしじゃなくなる!!」
「必死だな、そんな顔は久々に見た。言って欲しくなければ、条件だ。」
「な・・・何?」
少し沈黙があってから、ヤノが再び口を開いた。
「こっちに帰って来い、今すぐに。」
「なっ・・・。」
コウが躊躇うと、『あの時』が思い出された。ヤノと居た時の記憶は、どれもこれも辛く悲しい事ばかりだった。
記憶の甦りを強制的に遮断し、どうすれば良いのか迷っていると。
「そこまで迷うとはな・・・ならば、言わせてもらおうか。」
「嫌っ、止めて!!でも・・・。」
とにかく迷った。自分の本当の姿を明かされるのは嫌だが、ケン達と離れるのも嫌だ。かと言って、自分の事を知ったケン達に、悲しい思いはさせたくない。
「・・・っ!」
ギリギリまで悩んで、決断した。
こうなってしまったら、潔く。
一歩を踏み出そうとした時。
ガシッ!
コウの細い腕を、後ろから誰かの手が掴んだ。驚いて振り返ると、手の主はケンだった。
「・・・えっ、・・・キミ・・・。」
あまりの出来事に言葉を失っていると、ケンがハッキリと言った。
「こいつは、渡さねーよ。」
- Re: スプラ2 『あったかい』って、何? ( No.19 )
- 日時: 2018/06/06 19:24
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
「こいつは、渡さねーよ。」
驚く程冷静な表情のケンがそう言ったので、コウは焦った。
(何言ってんの、こいつ・・・!?)
性格からして、一番に突き放してきそうなのはケンだと思っていた。
ミズヤの方が必死だと思っていた。
なのに、予想を根底から覆され、理解が追い付かない。
そんなコウを余所に、ヤノはサングラスに隠れた目を細めて言った。
「どういう意味だ?私が求めているのは、コウの意見だ。お前の意見は、これっぽっちも求めていないのだが。」
ケンは、深く溜め息をついたかと思うと、いきなり大声を出した。
「その捨て台詞、そのまま返す!!俺も、俺達も、お前の所にこいつが連れて行かれるのは許せねえ!!」
耳元で叫ばれ、コウの体が思わずビリビリ震えた。
「チッ、小賢しい。」
舌打ちをしたヤノは、コウの肩を掴んで、自分の方に寄せた。
「コウ。こんな奴等とは縁を切れ、永遠に会うな。」
「わわっ・・・!」
今度は、ケンが腕を引っ張った。
「おい、行きたくないんだろ!?」
ピシャリと言われて、コウはハッとした。
ヤノの所には行きたくないし、一瞬でも一緒に過ごしたくはない。ついて行った所で、毎日泣きながら暮らすに決まっている。
なのに何故か、すぐに振り切れない。ヤノの事なんて、大嫌いなのに。
決断できずにいると、太くガッシリした腕が首元に回された。
「わあっ!・・・えっ!?」
顔が熱を出したように熱くなり、真っ赤になったのが自分でも分かる。それもその筈、ケンが抱き寄せてきたのだから。
「やらねーって言ってんだろうが。さっさと諦めろ、往生際の悪い。」
ケンがキッパリと言い放つと、ヤノは再び舌打ちをして腕を組んだ。
「チッ。・・・今回はこの辺にしておくが、覚えておけ。いつか、必ずまた来るからな。」
吐き捨てるように言い、ヤノは後ろを向いて歩いていった。高身長で歩幅が広く、すぐに姿が見えなくなった。
しばらく経ってから、ケンがフッと息をついた。
「ようやく行ったか。」
それと同時に、コウは足の力が抜け、思わずへたりこんでしまった。
「チビ!・・・大丈夫か?」
振り向かずに頷き、コウは今にもこぼれそうな涙をこらえていた。嗚咽が漏れるのがバレないよう、必死で息を止める。
「コウちゃん・・・怖かったね〜。」
それまで黙っていたミズヤが、コウの頭を優しく撫でた。それが拍子となって気持ちが溢れ出し、コウは2人に抱き付いた。
「だっ・・・いじょうぶ、じゃない。こわっ、怖かっ・・・た・・・っ。」
口から飛び出そうな大声を飲み込み、我を忘れて泣きじゃくった。
そんなコウの背中を、2人は何も言わずにさすっていた。
「・・・さて、そろそろ帰るか。」
ロブサンドで一番好きな『アゲホイップダブルクロス』を平らげ、すっかりご機嫌になったコウは、駅に向かうケンとミズヤの後をついて行った。
2人の大きな背中を見て、1人思うのだった。
今日は、本当にありがとう。
あの日に皆と出会えて、良かった。
いつまでも、ずっと一緒が良いな。
・・・大好き。
- Re: スプラ2 『あったかい』って、何? ( No.20 )
- 日時: 2018/06/11 22:53
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
ピピピピッ、ピピピピッ。
コウの脇に挟んだ体温計が、アナログの数字で『38.6°C』と表記した。
「・・・相当、高熱だな。」
サキが、驚いて目を見開いた。
少し前の件もあってか、コウは体調を崩して寝込んでしまったのだ。
「わ〜、コウちゃん死なないで〜。」
ミズヤも、心配そうに声を掛ける。
「だ、大丈夫・・・ごほごほっ、死なない・・・ごほんっ、平気。」
咳き込みながら、どうにかコウは答えた。
「何も気にしないで良いから、治るまでゆっくり休むんだよ。」
「・・・う、うん。ごほっごほっ。」
その後、サキがミズヤを部屋の外へ出した。伝染ってはいけないから、という意味だろう。
「げほっ・・・。」
何度か咳き込んだが、次第に意識が薄れ、何とか眠りについた。
気が付くと、コウは靄の中に立っていた。眠る前のような苦しさが無く、ごく普通に歩いたり座ったり出来る。
(あれ・・・?)
ふと、視界の端を何かが横切った。見ると、それはミズヤだった。
「コウちゃん、おいで〜。」
「あ・・・。」
急いで駆け寄ろうとしたが、何故か進めない。懸命に腕を振っているのに、足を前に出しているのに、全く近付けない。
「えっ、何これ・・・?」
戸惑っていると、急にミズヤが悲しそうな顔をした。そして、何も言わずに振り返り、歩き始めてしまった。
「あ・・・ま、待って!」
慌てて呼んだが、無視された。
ミズヤはどんどん進んでいき、終いには見えなくなってしまった。
「どうした、コウ?ホラ、こっち!」
声がした方を向くと、いつの間にかサキが立っていた。
今度こそ、と走り出したが、結果は同じだった。
「え、え、どうして・・・?」
サキは、少し寂しそうに苦笑うと、背を向けて行ってしまった。
「ね、ねえ!待って!」
さっきよりも大声で呼んだが、やはり無視された。
「・・・っ、何で・・・?」
「チビ。」
ハッとして振り向くと、ケンが居た。いつもと何ら変わらない表情で、コウを見下ろしている。
(せめて、この人だけでも・・・!)
精一杯の力を振り絞って走った筈なのに、進む事は出来なかった。
ケンは小さく舌打ちをしてから、くるりと後ろを向いて、さっさと歩いていった。
「やだ、やだ!待ってよ、ねえ!」
恐怖心に襲われ、背筋が凍り付く。
とうとう、涙が溢れ出した。
「いっ、行かないでよお・・・!!」
「チビ!」
部屋に入ったケンの声で、意識が戻った。
「・・・・・・。」
コウの瞳は、涙で濡れていた。息も荒く、苦しかった。
「大丈夫か?」
コウは、のそのそと起き上がった。
「・・・あ、キミ・・・。」
「ずいぶん辛そうだな。」
「あ・・・えと、別に平気・・・。」
「そうか。」
背を向けられた瞬間、夢の中のケンが思い浮かんだ。
「あ・・・待って!」
コウは、咄嗟にケンの服の裾に手を伸ばした。勢い余って、ベッドから転落しそうになる。
「・・・どうしたよ。」
「やっぱり・・・大丈夫じゃない。」
瞳から、再び涙がこぼれた。
「一緒が良い・・・!」
それが今の、心からの願いだった。
あんな後ろ姿は、もう見たくない。
ケンは、怪訝そうな顔をしたが、すぐに絨毯に座り込んだ。
「わーった、しばらくの間だけな。」
ケンが、コウの頭をポンと叩いた。
ようやく少し嬉しくなり、微笑んだ。
「うん・・・ありがとう。」
「良いから、さっさと寝な。」
「分かった・・・。」
コウは、ベッドに寝転がった。今度は安心して眠る事が出来た。
その後、様子を見に来たミズヤが、寄り添って眠るケンとコウを見つけるのは、もう少し先の話。
- Re: スプラ2 『あったかい』って、何? ( No.21 )
- 日時: 2018/06/27 20:11
- 名前: REN-REN (ID: yhkbI.2W)
「ん〜っ・・・・・・ふうっ。」
バトルで疲れた体をグッと伸ばし、コウは息をついた。ウデマエを上げたいが為に、ずっとガチマッチに参加していたのだが、流石に25回はやり過ぎだったな、と一人思った。
(疲れたし・・・もう帰ろう。)
夕陽に照らされたコンクリートを歩き始めた、その時。
微かに、鈍い音が聞こえた。コウの耳が、ピクッと反応する。
(・・・気のせい?)
きっとそうだ、と進んでいくと。
また、音がした。しかも、今度はさっきよりハッキリと。
何の音なのか、少し考えてみる。何かが落ちた音ではないし、ぶつかった音でもない。何となくだが、何かを叩いたような・・・。
(・・・叩いた?)
何故か、嫌な予感がした。胸の辺りが静かにざわつく。
止まない音を頼りに辿り着いたのは、あの時の路地裏だった。
(また、あの変な人達が・・・?)
気配を消して、そっと近付いていく。
「オラア!!」
いきなり聞こえてきた野太い大声に、コウの体がビクッと震えた。いつもなら一目散に逃げるのだが、思い切って様子を覗いた。
「!!」
驚き、思わず足の力が抜けそうになったので、慌てて踏ん張った。その光景は、自分の目を疑うしかなかった。
背の高い筋肉質なボーイが、見た事のない真っ赤なゲソのボーイを殴っていた。赤いゲソのボーイは抵抗できないらしく、鼻血を出したまま意識を朦朧とさせている。
そして__その筋肉質なボーイは、紛れもなくケンだ。ケンが、見ず知らずのボーイを、無差別に殴っている。
コウは、勇気を振り絞ってケンに飛び付いた。
「チ・・・チビ!?テメー、いつからココに!?」
予想外の展開に体がついていかなかったのか、ケンは振り上げた拳を空中で止めた。
「ダメ、苛めないで!」
コウの一言で、ケンはようやく落ち着いたようだった。
ケンに胸ぐらを掴まれていたボーイは、意識を戻しながら目を白黒させていた。
「・・・この人が、何かしたの?」
駅のホームに移動した3人は、座席に並んで座った。
コウがケンに尋ねると、ケンは罰が悪そうにそっぽを向いた。
「・・・別に何も。」
「じゃあ、何で苛めたの?」
言葉に詰まり、ケンは黙り込んだ。しばらくして、謎のボーイに向き合って頭を下げた。
「さっきは悪かった、俺もおかしくなってた。理不尽に殴ってすまない。」
ボーイは、感情を殆ど表に出さないまま頷いた。
「苛めるのは絶対ダメだよ。」
「・・・わーってらあ。」
ケンは、特に反抗もせずに言った。余程反省したのだろう。
「それでよ、お前が探してるっつーのは、どんな奴だっけ?」
ケンが話題を変え、ボーイに尋ねる。
「え?探してる?」
「おう。コイツは、ある奴を探してるらしいんだ。んで、あちこち回ってたんだが、見当たらないらしくてよ。」
へえ、とコウは頷いた。探し人の為にココまで来たのに、ケンに殴られていたのだとしたら、ただただ気の毒だ。
「わ、わたしも探すよ。どんな人?」
コウにも尋ねられると、ボーイは一瞬うつ向いてから、また顔を上げた。
「別に良イ、もう見つかったかラ。」
「そ、そっか。良かった・・・。」
コウが、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間だった。突然、ボーイが腕を掴んできたのだ。
「え・・・え?何?」
状況が把握できず、焦っていると。
「・・・ようやく、見つけタ。」
ふと、ボーイの顔を見る。ボーイの表情は、たった今までの真顔とは全く違う、綻ぶような笑顔だった。そして、ゆっくりと言った。
「やっと見つけたヨ、『姉さん』。」
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