二次創作小説(映像)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ドゥラえもんレジェンド
日時: 2018/06/18 13:17
名前: matsu (ID: Ryt8vfyf)

神奈川の海側。そそり立つ大きなビルの合間からひょこり顔を出しているあいつは、おそらくドゥラえもんだ。彼は僕が気付いたと悟り、ゆっくりと笑みを浮かべたまま、こちらに近寄って来る。海の風は少しずつ強くなっているようにも感じた。8月の真夏日、いつもより海が活き活きと波打っているのが分かる。漁師になって10年。ドゥラえもんは今日も同じように、夕方、僕を迎えにきた。
「ッス。んじゃ、帰るかねのびおくん」
「ああ。じゃ、タケコプタァを」
「はいよ」
「じゃ、いくか」
タケコプタァを頭に各々付けると、ほぼ同時に空に飛び立った。空中浮遊が50メートルほどの距離になったとき、ドゥラえもんがふいにドラ焼きを一つ、差し出してきた。
「はいよ。のびおくん。腹減ってるっしょ?」
「ああ、ありがとう。これはまた・・・。桜ドラ焼きか。できればあんこがよかったな」
「これも悪くないぜぇ。食べてみな」
ドラ焼きをほおばりながら、空中浮遊を雲間に近い距離で行った。真っすぐ進んでいく。神奈川の街並みはミニチュアサイズになり、誰も僕らを気には留めない。受ける風も、海の潮風に負けないくらい心地よいものだった。
「もうそろそろ10年かァ。早かったなァ。のびおくんが、あの出来損ないののびおくんがサァ、まさか、漁師で一旗揚げるなんてなァ。びっくらこいたよ。びっくりぽんやでほんまに」
「ははは、漁師なんて子供の頃は考えもしなかったけどね。何が起こるかなんて、人生わかんないものだね」
「そうだねぇ。スネアドラムくんは13歳で死んでしまったし、ジョイアンは賭博で大学2年のときにお縄だものなあ。本当に、つくづく人生ってのは、何が起こるか分かったもんじゃないねえ」

Page:1




この掲示板は過去ログ化されています。