二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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Re:ゼロから始める異世界生活
日時: 2018/10/05 19:02
名前: ゆゆこ (ID: mdybEL6F)


オリジナル 第一話:ラムのを食べたのは

「スバル君、スバル君、起きてください」
 ロズワール邸に、少女の声が響き渡る。
 眠っている少年の枕元には、青髪のメイドの少女と、ピンク髪のメイドの少女が座っている。
 青髪の少女がレム、ピンク髪の少女がラム。二人は双子で、ラムが姉、レムが妹である。
 そして、二人の前で眠っている少年こそ、ロズワール邸使用人(見習い)、ナツキ・スバルだ。
「姉様、姉様。スバル君、起きないようです」
「レム、レム。バルスは、睡魔に抹殺されかけているようだわ」
 二人は手を取り合い、こそこそと会話しあう。
 チラチラとスバルを見るも、一向に起きる気配はない。
 ラムははあっとため息をつき、レムにささやいた。
「レム、ラムは最強兵器を持ってくるから、バルスと待っていなさい」
「分かりました、姉様」
 レムは、その最強兵器は何だろうと首をかしげながら、そっとスバルの手を握った。細い指が、レムの間にからまる。レムはかすかに顔を赤くした。
 と、ラムが右手にフライパン、左手にフライ返しを持って、部屋に戻ってきた。
 レムは茫然として、自分の姉を見つめた。
「姉様、最強兵器とはそれのことですか?」
「ええ、そうよ。うしても聞きたいことがあるのよ」

 ガンガン‼

 ラムがフライパンを頭上に掲げ、盛大に打ち鳴らす。
 そのひどい音に、スバルは八と顔を上げた。部屋に、銀髪のハーフエルフ、エミリアまでもやってきた。
「ちょっと、何の騒ぎ?」
 エミリアが顔をしかめる。
「すみませんエミリア様。これは乱暴な手を使った姉様の責任です」
「すみませんエミリア様。これはバルスを起こそうとしないレムの責任です」
 双子が、他方に責任を押し付けあうのを見て、スバルは慌てて声を張り上げた。
「おいおい、何の騒ぎだよ」
「その双子のピンク髪が、お前に聞きたいことがあると、行動に出た結果なのよ」
 扉の近くに、金髪を縦ロールにした幼女—ベアトリスが立って、きょろきょろあたりを見回すスバルをにらんでいる。
「おいラム。だからって、それは…あんまりだろ」
 ラムの手に握られた最強兵器を見て、スバルは小さくつぶやいた。エミリアも、ラムをたしなめる。
「ラム、どうしても聞きたいことがあるなら、口で言えばよかったんじゃない?」
「いいえエミリア様。ラムはバルスを起こしてから問う責任の下、行動に出ましたから」
 レムが、片方の眉をひそめて言った。
「それで姉様。どうしても聞きたいこととは、何なのでしょうか」
 ラムは、きっとスバルをにらみ、大声で言い放った。
「バルス。ラムのプリンを食べたことについて、この場で謝罪しなさい」
 スバルは首を傾げた。ラムのプリンなど、食べた記憶がない。昨日は疲れ果てて眠っただけだ。
そう言うと、エミリアも大きくうなずいた。
「昨日スバルは、熱心に仕事をしていたわ。あまりに仕事が多いから、食べる暇もないでしょう?」
「じゃあ犯人は、暇な人であるというわけですね。ベアトリス様」
 レムがベアトリスに視線をよこした。ベアトリスは一瞬びくっと身構えたが、すぐにいつもの調子に戻り、いつもの口調で言った。
「べティ—がお前のプリンを食べたなんて、人聞き悪いかしら。べティ—は、誰のものも食べないのよ」
 スバルは考えた。自分と同様、レムとラムはメイドの仕事が一日中あるし、エミリアも勉強で忙しい。となれば、怪しいのは、ベアトリス。エミリアの契約精霊のパック。そして、この屋敷の当主であるロズワールだ。
「ロズっちは、怪しいよな。いつも食事以外はめったに顔合わせないし」
 ラムの話によると、プリンはラムの部屋に置いていて、ななったと知ったのは、ちょうど入浴時間だったという。
 昨日一番最初に入浴したのはスバルだが、スバル自身が否定しているので、スバルの可能性は低いだろう。
 また、ベアトリスも自分を否定しているが、彼女は嘘を言っているようには見受けられない。
 となれば、怪しいのはパックと、ロズワールだ。


 続く
             












 

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Re: Re:ゼロから始める異世界生活 ( No.1 )
日時: 2018/10/14 08:28
名前: ゆゆこ (ID: mdybEL6F)


 ロズワール邸では、ラムのプリンを食べた犯人捜しが今、始まっていた。
「ええ…。僕じゃないなぁ。その時刻はちょっと無理かもだねぇ」
 顔を前足でなでながら、エミリアの契約精霊、パックが言う。
 そして、パックとなるとこの人も黙ってはいない。
「にーちゃ! おはようなのよ!」
 いつもつんつんしているベアトリスだが、パック相手になるとべったりとなる。パックはベアトリスに抱きしめられるのは嬉しいようだ。
「ではでは、精霊様は姉様のプリンを食べられてはいないわけですね」
 口元に手を当てながら、レムが誰に言うともなしにつぶやく。
 その言葉を聞いて、スバルはジャージを上着のファスナーをしめながら、肩眉をひそめた。
「おい、やっぱい自分で食べて、忘れたんじゃねえのか、ラム」
「いいえ。ラムはそんな馬鹿な真似はしないわ」
 ラムは凍てつくような視線でスバルを凝視した。その視線の痛さに、スバルは目をそらせた。
 ここで情報を整理してみよう。
 被害者、ラム。
 消失物は、ラムのプリン。
 そして、あとの人はみんな、(ロズワールを除いて)自分ではないと言っている。
「…スバル。そんな曖昧なものは駄目よ。きちんとアリバイがある人だけ、候補から抜けるの。そんな、『○○がそういうなら』っていう、私的な考えはいけないわ」
 エミリアが指摘し、ベアトリスもうなずく(パックを撫でながら)。
「お前、そろそろ謝罪したらどうなのかしら。ベティーはお前が一番怪しいと思うのよ」
 スバルはここぞとばかりに反論した。
「おいおい、その根拠はどこにある」
「根拠も何も、日ごろのお前の行いを見れば当然なのよ」
 ベアトリスの言葉に、スバルは唇をかんだ。

 続く。


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