二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- アスノヨゾラ哨戒班
- 日時: 2019/07/21 12:54
- 名前: 渚 (ID: 4oMZT1gB)
こんにちは。渚です。今回はOrangestar様が作曲されたアスノヨゾラ哨戒班で小説を作りました。また、独自解釈なので解釈が間違っているかもしれませんがご了承ください。
登場人物(名前だけ)
黒澤湊(くろさわ みなと) 緑川幸子(みどりかわ さちこ) 中村紫(なかむら ゆかり)
ある学校の屋上。そこに少女と少年が居た。そこで少年は少女に話しかける。少年はニコリと微笑み少女はそれを強張った表情をして見ている。
「これは俺が体験した話し。俺はあの日『彼女』に会った事で救われた。作り話だって思ってくれたって良いんだ。だけど俺は君を、助けたいと思ってる。それだけを頭に入れて聞いてくれると嬉しいよ。」
俺はそう目の前の少女に言うとある話を語り始めた。俺が体験した話し。ある女の子に救われた話を。
ーーー俺は昔自分が生きている理由が分らなかった。将来何になるか、とかも良く分ってなくて自分は生きてる意味なんて無いんじゃないかと思っていた。だから死にたいなんていつも思ってた。俺は『明日』という物が嫌いだった。あの時は次の日なんて来て欲しくなかった。毎日作業の様に生活するくらいなら死んでしまう方が楽だって思っていたから。俺の母さん達はそんな俺を呆れたような顔でいつも見てた。その視線が痛くて毎日が辛かった。もう明日なんて来ないでって思ってた。それでね俺、自殺しようと思ったんだ。あんな視線を浴びるくらいなら、毎日が楽しくないのなら、明日が来て欲しくないのならいっそ死んでしまおうと思った。それでそう決めた日俺は学校の屋上から飛び降りようと思った。学校の屋上は星が綺麗に見えるから。最後に死ぬのなら綺麗な景色を見て死のうと思ってね。警備の人が屋上まで見に来ない事は分ってたから俺は放課後屋上に行ってそのまま夜が来るのを待った。そして数時間経って星が見え始めた頃屋上の扉が開いたんだ。俺は突然の事でビックリしつつも扉の方を向いたんだ。そこに居たのは女の子だった。女の子は俺を見るなりニコリと微笑んで俺の隣に座った。
「私、緑川幸子。君は?」
突然の事でビックリしたけど俺は冷静を取り戻し幸子の質問に返事をした。
「俺は黒澤湊。何でこんな所に来たの?」
俺はそう質問した。屋上に来る人なんてそうそう居ないから不思議に思ったから。
「此処は夜空が綺麗だから。あと、家に帰りたく無いからかな。湊君はどうして此処に居るの?」
「・・・俺も、あんたと同じ理由。」
死にたいなんて言ったら絶対に止められるから俺はそう言った。
「そっか。じゃあ星が出てくるまで話そうよ。」
幸子はそう提案して俺の返事を聞かずに話しかけてきた。俺は久々に沢山会話をした。無視をすれば良いのだろうけど話せる事が楽しくて沢山会話した。そうして沢山話してたら幸子が質問して来た。
「なんで、自殺しようとしたの?」
幸子は悲しげな表情をしてそう言った。俺は驚いた。自殺の話しなんてしてなかったから。
「なんで、それを知ってんだ。」
俺は顔を強張らせながらそう言った。
「まぁ、私は、人とは違うから。」
俺はどういう事だと疑問符を頭に浮かべた。そんな事お構いなしに幸子は話し続けた。
「湊君は周りを見ていないだけ。湊君を必要としている人は居る。周りを見て、ちゃんと考えて。湊君を必要とする人は居るから。」
「幸子に何が分るんだよ。何でそんな説教じみた事聞かされなきゃいけねぇんだよ。俺の何が分るんだよ・・・」
俺はすべてを知っている様な事を言う幸子に腹が立ちそうまくしたてた。
「私は、知ってるから。すべてを知っているから。後悔も何もかも。だから、考え直して。・・・もう時間だから、さようなら。」
幸子は苦しそうな顔をすると足早に屋上を去って行った。その直後、扉が開いた。
「まだ、何か言いたい事があるのか、・・・何でお前が此処に居んの・・・?」
俺は幸子が何か話そうとしたのかと思って扉に目を向けた。でもそこに居たのは幸子じゃなくて幼馴染の紫だった。
「湊何してるの!おばさん達が心配してたよ?湊が帰ってこないって。」
母さんがそんな事思うはず無いって思った俺は紫が勝手なこと言ってると思って反論した。
「母さんが、そんな事言うはず無いだろ。勝手な事言うなよ。」
俺がそう言うと紫は俺に抱き付いた。俺は驚いたそんな事お構いなしに紫は泣き始めた。
「湊が死んで無くて良かったぁ。」
俺は硬直したままどうすれば良いのか分らなかった。硬直している俺を見て紫はハッと何かに気付いた様子でスマホを取り出し電話をし始めた。電話から母さんの泣き声らしきものが聞こえた。何で母さんが泣いてるんだよ。何で紫が泣いてるんだよ。
「湊、もう帰るよ。どうしてこんな所に居たのかは後でキッチリ聞かせてもらうから。」
そう言うと紫は手を引っ張って歩き始めた。
「何で俺が死ぬと思ったんだよ。」
俺は疑問に思ったことを質問した。
「おばさんが言ってたの。最近湊の様子がおかしかったって。私達も湊に厳しくしあたってたからもしかしたら自殺なんかを考えてるんじゃないかって。湊、あんたの周りにはあんたを必要としている人が居るの。だからさ、生きるって事を諦めないで。」
俺は紫にそう言われて必要とされてるって分って、安心して泣いたんだ。あんなに泣いたのって本当に久々だった。それで泣きながら家に帰ったら母さん達が謝ってくるんだ。大切にされてるんだって気付けて本当に良かったって思った。もし幸子が居なかったら紫が来る前に俺は自殺してたかもしれない。俺は幸子の事を母さんに話したんだ。母さんは真剣に聞いて最後に俺に話してくれたんだ。高校の時、友達が自殺したって事。その友達の名前が緑川幸子だって事を。そして、一緒にお墓に行こうと言った。数日後、俺は母さんと一緒に幸子の墓へ行った。俺は幸子にお礼を言いたかった。あそこで救ってくれた幸子に。それで手を合わせたら、幸子の声が聞こえたんだ。「良かった」って。俺の気のせいかもしれないけど、でも、嬉しかった。救ってくれて、俺に生きる意味を教えてくれて。それからは毎日、人の顔を見るようにした。今まで見ていなかった世界を見ようとした。最初は勿論怖かった。けど頑張った。そうしたらどんどん生活が楽しくなった。これもすべて幸子のおかげだって思った。俺は自殺なんてしなくて良かったって心の底からそう思えた。ーーー
「自殺なんてしないで。生きる事を諦めないで。きっと君には必要としてくれる人が居るから。」
俺は少女に向けそう言った。そう言うと屋上の扉が開いた。
「湊?こんな所で何してるの。ほら、遊びに行くんでしょ?早く行くよ。」
そこに居たのは紫だった。あぁ、そっか。今日は紫と遊びに行く予定だったんだ。
「おう。今行く。ってか、制服のままで行くのか?」
「着替えるのめんどくさい」
そんな会話をしつつ俺は扉に向かって行く。そして少女の方へ振り向きじゃあね、と言い屋上を出て行った。その直後女の子が凄い勢いで走って来て屋上の扉を開けた。俺はやっぱり居たじゃん。と呟き紫と歩いていった。後ろからは泣き声が聞こえる。俺はその泣き声を聞きもう少女は自殺なんてしないだろうと確信し、安心して学校を後にした。
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