二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- いつかの8月に。
- 日時: 2019/07/22 16:22
- 名前: しおり (ID: pQfTCYhF)
「ただいまぁー」
いつものだらしない私…涼宮琴音は玄関に鞄を捨てて部屋に入る。で、少ししたらお母さんに怒られる。また、鞄を捨てて部屋に入ろうと思ったら、リビングのドアが開いた。
「琴音、お帰り。って、鞄は持って部屋に入りなさいって何度言えば分かるの。全く、一人っ子だからのびのび育てすぎたかしら。」
虫歯ポーズをしながらハテナマークが出ているように見える。そんな説教いらないのに。
「あの…部屋帰って勉強していいかな。」
「あ、そうだ、琴音。今朝ポストにあなた宛に手紙が入っていたわよ。部屋で読みなさい。あー、ご飯部屋に持っていくわ。受験、頑張ってね。」
そうか、今年は受験だった。大学の。まぁ、知ったこっちゃないけど。
「ありがと。」
一言そう言って手紙を受け取った。その時、心臓が嫌な音を立てた。住所の横に書いてあるあの人の字。
「うっそ…」
それを言うことがやっとだった。そのまま無我夢中にかけて部屋にこもった。下から「カバンー!!」と言う叫び声が聞こえたけど気にしなかった。
「零斗の…??」
零斗…藤原零斗は私の片想いの相手。席が隣の時に仲良くなってそこから連絡先交換したっけ。でも、去年の夏。持病でこの世を去った。
「零斗が、、生きてる…!??」
封筒を開けて中身を見ると、紙切れが一枚あった。
「琴音へ そろそろ元気は出たかな。もうすぐで一周忌です。琴音ん家と俺ん家のちょうど間くらいに小さいお寺があります。そこで一周忌を父さん母さんが考えているそうです。琴音には俺より素敵な彼氏を作って、結婚してね。いつまでも幸せを願っている。あと、最後に今週の土曜日にちょっと遠いけど星の宮遊園地に来て欲しいんだ。あ、でも用事があったら来なくても大丈夫だからね。体に気をつけて。 零斗。」
その汚く曲がった字を見るのは懐かしい。
「星の宮遊園地…恋人たちの聖地として有名だ…」
変な感情と嬉しさに泣いてしまう。ドアにもたれて座ってしまった。そこから、目を真っ赤に腫らすくらい泣いた。
そしてついに土曜日。星の宮遊園地の入り口に一応立っておく。
「来なくてもいいから…」
右手にある零斗の紙。ぐしゃっと音が聞こえてハッとするとぐちゃぐちゃになっていた。
「はぁ…」
8月なのに息が白い。その白さの向こう側に人影が。
「あーっ!琴音!!」
不意に呼ばれた名前にハテナが浮かぶ。
「零斗…!」
青色の髪が太陽に当たって綺麗。ぱっちり一重の目。にっこり笑うと現れる、白い歯。この人は間違いなく零斗だ。思わず涙が溢れる。
「琴音…全く変わってないな。」
「零トだって…。」
「よし、今日はここで遊ぶか。」
言葉は出ないけど笑って頷いてみた。
「まずはここだな。星の宮ジェットコースター!」
「ズピーーー!」
鼻をすする音が私の反応になるだろう。 しばらくすると私たちは案内された。…1番前じゃん。
「ねぇ…零斗。死んだんじゃ、なかったの。」
「え、俺?死んだよ、持病で。」
「じゃあ、なんでここにいるのよ。それに他の人から見えてんの?」
「さぁーね、それより、楽しもーぜぇ!」
いつもの無邪気さは変わってないね。やがててっぺんに着いた。
「もう、最悪じゃん。死ぬじゃんこれ。」
「ひゃーほー!」
私は絶望だった。のに対して零斗ははしゃいでる。1番後ろがてっぺんに着いた途端勢いよく落ちていった。
「ぎゃーーーーーーーーーーーー、まじの90度ぉぉぉぉぉぉ!?」
「いえーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」
星の宮ジェットコースターは90度、60mの高さから落下。真下に落ちていく感覚。とその時、
「がしゃああん!」
変な音が聞こえた。何…?90度から落下しているが一生懸命前を向くと、バイキングの勢いで飛んで行くのが見える。そしてそれは、シュプラッシュジェットコースターにぶつかる。その勢いで水が滝のようにこちらに流れてくる。
「園内にいらっしゃる皆様、今すぐ避難してください。乗り物に乗っている方は十分注意して乗車するのを心がけてくださいください。そして今から救急車が到着するのでお車の方は駐車場にてお待ちください。」
館内放送が流れた時、がたん、とジェットコースターが傾いた。
「ね、零斗…!やばい。どうしよ。」
「琴音、動くな。目、つぶって!」
その時、シートベルトが外れた。ええええええええ!?
「ひゅ!」
風邪を切る音が耳元でする。怖いけどうっすら目を開けた。…飛んでる…!?
「零斗!?なに!?これ!?」
「飛んでんだよ。めぇ、つぶっとけよこえーから。」
零斗に抱かれて空を飛んだいた。怖いことってなに!?
ガシャン!薄目を開けているとよく分かる。建物が壊れ落ちてくる。そして、火事。こんなのなに!?
「って…!琴音、怪我ないか…??」
「うん…零斗は?」
「俺は大丈夫だ…っ!お嬢様、もう少しで出口で…す…」
零斗が倒れた。そして急降下して行った。
「零斗、零斗、目を覚ましてよ!?」
生憎下はトランポリン会場だった。
「うううううううううー!」
サイレンの音が鳴り響く。ここから逃げなきゃ。出口まで1kmほどかな。
零斗を一応おんぶした。って、重!?何キロあるんだろ。
「はぁ…はぁ…零斗…零…」
「バキバキばき」
その時真上から変な音が。観覧車の棒が折れた。ヤバイ、死ぬっ!目をつぶった。覚悟を決めた。零斗と一緒にあの世へ逝こう。お父さん、お母さんごめんね………!
「琴音っ!?」
「零斗……」
なんだ、生きてるのか。寝る自分と目の前で横になっている零斗がいた。その後ろには火が続く。
「琴音…!ごめん、琴音。」
「な…にが…。」
「隠してた、今日。手紙あげた時は琴音がこんな風にあうことを知っていた。君は、手紙を貰った翌日友達に誘われただろう。だから、俺が守ろうとやってきた。けどやっぱり死んだ体に戻ると体力はあのままだった。守ろうと必死だったけど無理だった。」
「いい…んだよ…」
「琴音、これあげる。」
「なにこれ…。」
小さなサファイアダイアモンドのついた指輪と、ネックレス。
「お前、夏誕生日だっただろ。ほんとは去年渡したかったんだけど、俺、死んじゃって…」
「あり…がとう…零斗…!!」
「あ、あとさ。ずっと言えなかったんだけど、俺 お前がずっと好きだった。」
「私も!」
泣いた顔がどんななのか分かんないけど笑った。そしたら唇に君の唇が触れた。あったかい。まだ、生きてるんだね。最初で最後のキス。
「ここからは、琴音1人で出口に向かえ。俺はもうダメだ。」
「嫌だよ…ずっと一緒にいてよ!!」
「ごめん、それは無理だ。」
「ねぇ、連れてってよ!一生のお願い…!」
「琴音、お前は笑っていろ。その方がいい。」
「やだよぉ。行かないで、救急車呼ぶから!ねぇ、近くにいてよ、消えないでよ。」
君も私と同じくらい思っててくれたんだね。
「手紙に書いたでしょ、琴音の幸せを願うって」
「嫌だ、嫌!側にいてくれなきゃ意味がない…!」
すると君の暖かい手が頭に乗った。そしてクシャッとした。
「生きて?」
「やだ、あなたがそう言うならこの火で自殺する!」
「ダメだよ。生きて。俺の分まで生きて。」
「いやぁぁぁ。」
「わがまま言わないで…」
無理無理と首を横に降る。頭に乗った手が離れ、零斗が一歩下がる。
「琴音、ごめんね。こんな俺でごめんね。琴音が眠ったらいつでもあいにいくよ。」
「側に…いて…!」
その時蛍色に零斗の体が光っていた。
「待ってるからね。」
「いやぁ、まって、私もいく。」
「ありがとう。大好きだよ。世界で1番大好きな琴音!」
すぅーと消えていく。
「や!消えないで!」
「じゃあね!またね、琴音。元気でね。」
「零斗…。」
「約束…」
消えかかった指で約束をした。これが最後の君の体温を感じた瞬間だった。
ここは遊園地じゃなくて幽園地だと思った。
「私は生きるよ」
不意にそう言うと
「ありがとう。」
と返ってきた気がした。また、私が眠るその日まで待っていてね!
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- Re: いつかの8月に。 ( No.1 )
- 日時: 2019/07/22 16:26
- 名前: トモ (ID: pQfTCYhF)
すごい、泣きました!
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