二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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大切な人(銀魂)
日時: 2019/09/01 12:49
名前: 渚 (ID: 4oMZT1gB)

こんにちは。渚です。今回はちょっと銀魂で暗い話を作ってみました!いくつか注意点があるので、確認してから呼んで頂けると嬉しいです!

(注意)
グロテスクな表現あり・原作の設定との多少のズレ・救われない話

〜沖田目線〜
「おい、起きろ総悟。見回り行くぞ!」

「ん〜、眠たいんで土方さん1人で行ってくだせぇ。」

俺はアイマスクをズラし眠気眼を擦りながら土方さんにそう答えた。

「何で俺が1人で行かなきゃなんねぇんだ。さっさっと行くぞ。」

そう言うと土方さんは俺の腕を掴み引きずりながら屯所を出ようとした。

「ちょ、行きますから、その手離してくだせぇ!」

「本当か?」

そう言うと土方さんは手を離してくれた。

「はいはい、本当でさぁ。その代わり、見回り終わったら団子奢ってくだせぇ。」

「その代わりって、これは仕事なんだぞ?何だその家の手伝いしたらお小遣い、みたいなの。」

俺達はそんないつもと変わらないくだらない会話をしながら見回りをする。いつもと変わらない会話、いつもと変わらない歌舞伎町。変わらない平和が良い。

「・・・・俺は、平和が好きでさぁ。」

「?まぁ、平和が皆好きだろ。そんでその平和を守るのが俺等真選組だ。」

俺が呟いた言葉を土方さんは疑問符を浮かべそう答えた。そうだ、変わらない日常を守るために真選組はあるんだ。自分の日常を守るためにも頑張らなきゃいけない。そんな事を考えていたら土方さんが俺の肩を叩いた。

「何ですかぃ、土方さん。」

「おい、あれ。攘夷志士じゃねぇか?」

土方さんの指差す方向には確かに攘夷志士が居た。

「本当だ。追いかけますかぃ?」

「当たり前だ。何かあれば近藤さんに報告だ。」

「分りました。」

俺達はその攘夷志士に付いて行った。その先には多くの攘夷志士達が集る小屋があった。流石に2人で行くのは無理という事で何をしているのか見る事にした。

「総悟・・・、危ねぇ!」

何かを俺に伝えようとした土方さんが俺の方を向くと青い顔をし俺の腕を引っ張った。

「い、いてぇ。てめぇ土方コノヤロ…え。ひ、土方、さん?な、何してるんですかぃ。そ、そんな地面に、へばって・・・」

俺が土方さんに文句を言おうと振り向いた時、赤色が目に映った。最初は硬直して何が起こったのか分からなかった。だけど、だんだん思考が追いついてきて赤色が、血だって分った。それは土方さんの首元から出ていてその血は留まる事を知らない。ドクドクと出て血はどんどん溜まっていき血溜りになる。俺は土方さんを抱え上げ何度も話し掛けた。だけど土方さんは苦しそうに息をするだけど返事をしない。

「その服は真選組か。んで、コイツは副長様か。鬼の副長とか聞いてたけど大したモンじゃねぇな。部下を庇って自分が切られるなんてダセェ。」

土方さんを切った攘夷志士は血の付いた刀を持ったまま鼻で笑い、見下したように笑えば土方さんの腕を踏みつけた。その姿を見て俺の頭の中で何かがプツンと切れる音がした。

「許さねぇ…極限まで苦しませて殺してやらぁ・・・」

俺は土方さんをそっと寝かせ刀を取り出し攘夷志士の片腕を切り落とした。攘夷志士は落ちた腕を見て絶望したような顔をした。そんな顔を見ながらも俺はもう片方の腕を切る。攘夷志士は痛みに苦しみ地面に座り込んだ。その姿を見ても何も感情が湧かない。ただただ殺意しか無い。そして最後怒りに身を任せ攘夷志士の首を切り落とした。隊服には攘夷志士と土方さんの夥しい量の血が付いている。そんな事気にしず、すぐさま土方さんに駆け寄る。さっきよりも呼吸は弱々しくなっていた。俺は隊服のスカーフをとって土方さんの首元に押し当て、おぶり屯所に運んだ。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「隊長!副長!どうしたんですか?大丈夫ですか!」

俺が屯所の入り口で息を切らしていると山崎がそう声を掛けて来た。酷く驚いたような声で震えてもいた。

「ザ、ザキ。土方さんは重症だ。早く土方さんの手当てを・・・」

「は、はい!」

そう言うと山崎は土方さんをおぶって屯所に入って行った。俺は立ち上がり局長室に向かった。

「近藤さん、土方さんが、攘夷志士に切られました…虫の息で助かるかどうか・・・」

「トシが?トシはそんな、攘夷志士の奴に殺られる程弱くは無いだろ?・・・何か、理由があったのか?」

近藤さんは少し驚いた。だがすぐ冷静になりその時の状況を聞いてきた。こういう時、近藤さんはとても頼りになる。こういう時こそ冷静で、状況を素早く分析する事が出来る。

「お、俺のせいなんでさぁ・・・俺達が見回りで攘夷志士を見つけてその攘夷志士に付いていったんでさぁ。俺達は何をしているのかよく分からなくて攘夷志士の集る小屋を一生懸命に見てた。土方さんが何かを伝えようと俺の方を向いたら俺の腕を思いっきり引っ張った。その後、後ろを向いたら土方さんが倒れていたんでさぁ。俺が土方さんを切った攘夷志士を殺しました。俺が、攘夷志士に気が付かなかったばかりに、土方さんが、土方さんが・・・」

俺は話し終えると頬に冷たい何かが伝うのを感じた。一筋の涙が伝い、ポタリと畳に涙が落ちた。それからどんどん涙は出て来て止まらない。そんな俺を見て近藤さんは俺の肩に手を置いてくれた。

「理由は分った。トシは、きっと大丈夫だから。安心しろ。」

近藤さんは泣きじゃくる俺をなだめる為に優しい声音でそう言った。

「隊長、局長!ふ、副長が・・・!」

山崎は思い切り襖を開ける。山崎は涙を必死に堪えている。俺は最悪な道が見えた。俺達は急いで救護室へと向かった。

「ひじ、かた・・・さん?」

救護室のベッドで横たわっていたのは目を閉じた土方さんだった。首元には俺のスカーフや、山崎が必死に手当てした跡があった。ベッドには赤い染みがビッシリと付いている。

「トシ…」

近藤さんは土方さんの手を握る。だけど土方さんはピクリとも動かない。近藤さんは眉を下げ、涙を流した。

「う・・すみま、せんでした。ぼ、僕が無力なばかりに・・・」

山崎はポタポタと涙を流した。違う、山崎のせいじゃない。全部、全部、全部俺のせいだ。

「俺、が殺した…俺が土方さんを、殺した…」

俺は酷い後悔と罪悪感を感じた。泣きながら土方さんの方へと歩み寄り土方さんの寝ているベッドに伏せた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

俺は謝罪の言葉を繰り返し嗚咽を漏らした。
土方さんが亡くなった事はすぐに真選組内に知れ渡った。救護室に来る者全員が泣いていた。俺はずっとベッドに伏せて謝罪の言葉を呟く様に繰り返した。
その内声が聞こえなくなり始めた頃俺は顔をあげた。もう真っ暗になっていた。土方さんは目を瞑ったまま。少し期待した。全部夢なんじゃないのかと。だけど土方さんの亡骸を見てそんな事ないと現実に無理矢理引きもどされて苦しかった。・・・けど、もう涙は出ない。悲しいはずなのに、苦しいはずなのに。俺は動かない土方さんに話し掛けた。

「土方さんは何で俺を助けたんですかぃ。いつも、迷惑ばかり掛けてるのに、いつも暴言を浴びせてたのに。どうして。」

俺は掠れた声でそう言った。

「土方さん、俺は最低な奴でさぁ…助けて貰ったのにもう、涙がでねぇんでさぁ。悲しいのに、涙が、出ないんでさぁ。」

俺は呟く様にそう言い土方さんの腕をギュッと抱き締めた。驚くほど冷たかった。また現実に無理矢理引き戻され酷い吐き気がした。

「…土方さんは、もっと苦しかったですよね。これくらい比にならない程に…」

俺は土方さんの腕を掴んだまま意識をフッと離した。酷い眠気に襲われた俺は土方さんの腕を掴みながら土方さんの眠るベッドで眠りに落ちた。

〜近藤目線〜
トシが死んでから一日が経った。未だに実感が湧かない。あの、鬼の副長が殺されたなんて。

「あぁ、そういえば総悟、トシの側にずっと居たな…大丈夫だったのか?」

呟くようにそう言うと自分の部屋を出て救護室へと向かった。救護室へ入るとそこにはトシの腕を掴み寝息をたてている総悟が居た。

「総悟?そんな所で寝ていると風邪を引くぞ?」

俺は総悟の体を揺らし起こそうとした。だが、総悟は起きない。きっと昨日あんな事があり疲れているのだろうと自己完結し俺は総悟をおぶり、総悟の部屋に寝かした。

「…俺の、せいか…」

俺は総悟の寝顔を見ながらそう呟いた。総悟は俺のせいだと言っていた。違う。悪いのは総悟では無い。そう言ってやりたかった。けど、俺はあの時現実が受け止められなくてそんな言葉を掛けてやる事が出来なかった。

「お前のせいじゃない。安心しろ。」

俺はそう総悟に向けて言うと、部屋を出た。

〜沖田目線〜
「ん、…此処は、何処でぃ。」

俺が目を覚ますとそこには真っ白い世界が広がっていた。

「総悟、何してんだ。早くこっち来い」

聞きなれた声がした。目を擦って見てみるとそこには、土方さんが居た。後ろには、近藤さんや山崎、終兄さんが居た。

「なん、で。何で土方さんが、此処に居るんでぃ…」

俺は意味が分らずそう言った。

「何でって、当たり前だろ。俺は真選組の副長だぞ?」

「で、でも、昨日土方さんは俺を庇って、死んじまったはず・・・・」

俺は意味が分らないと土方さんの目を見てそう言った。

「んなもん夢だろ。だって、今俺は此処に居るんだし。勝手に殺すなよ。」

土方さんは苦笑しながらそう言った。あぁ、あれは全部夢だったんだ。そうか。土方さんが死ぬ訳無い。そうか、夢だったんだ。そう確信し顔をあげると目の前の真っ白い世界が色付いた。見慣れた屯所、見慣れた歌舞伎町。あぁ、変わらない。平和だ。誰も、何も変わらない。平和。

「やっぱり俺は、平和が好きでさぁ。」

俺はそう呟くと土方さん達に駆け寄り屯所の中に入って行った。

〜志村家(銀さん目線)〜
「そういえば最近あのゴリラ見かけなくなったわね。あのストーカーが居なくなって凄く楽になったのよ。」

俺達にそう話し掛けて来たのは新八の姉、妙。

「確かにそうアルネ。姉御と居てもゴリラ見掛けなくなったネ。」

「へぇ、良かったじゃないですか。」

続けて神楽、新八がそう言った。俺はそんな3人の会話を聞き不意に呟いた。

「…アイツも大変だよなぁ。」

俺がそう呟くのを3人は聞き逃す事無く俺の目を見た。何でなの?と聞いてくるので俺は質問に答えた。

「土方が攘夷志士に切られて亡くなったらしい。」

俺がそう言うと驚く様に目を見張った。

「ちょ、銀さんそんな冗談言っちゃダメですよ。」

「銀ちゃん、人を冗談で殺すのはよく無いアル!」

「銀さん、その冗談笑えませんよ?」

3人は冗談と思っている様で俺にそう言って来た。だけどこれは本当の事だ。俺は冗談では無いと首を横に振り話を続けた。

「そりゃ、普通に戦うなら土方君が勝つかもだけどさ…沖田君を庇って切られたらしいんだよ。しかも相当なショックで沖田君は昏睡状態らしい。そりゃあ目の前で親しい人が亡くなったら、そうなるわな…」

俺がそう言うと3人とも黙ったまま複雑な表情をした。にしても、近藤も大変だな…土方君が亡くなったのに続き沖田君が昏睡状態って。真選組も弱っちまってるみたいだし。俺も、悲しい。何回も顔を合わせて、親しかったから。表情には出さないけどすごく、悲しい。せめて、沖田君だけでも戻って来てくれれば良いのに…
                            end・・・「誰も救われない」

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