二次創作小説(新・総合)

雪王国に響く、繋がりの交響曲 ( No.210 )
日時: 2019/06/03 22:18
名前: 黒猫δ (ID: ZFY/hkRe)



それは、とある冬の日の事だった。
炬燵に足を突っ込み、ミカンを食べつつ暖を取っていた黒猫δの元に、コンコンと、軽いノックの音が響いた。


ナナ「失礼します、黒猫さん。」

黒猫δ「なんでしょうか?貴方が来るとは珍しいですね」

ナナ「まぁ、確かに。珍しいかもしれませんね」



白い服に身を包んだ、オッドアイの青年、ナナ・クリスティは、そう言うとクスクスと笑う。
そして、その彼の手には、一枚の手紙。


ナナ「アール王からの招待状です。ぜひ、貴女方に、王国で開かれる冬の祭典に出席してほしいと言われまして…………」

黒猫δ「冬の祭典?」

ナナ「ええ。僕の元居た世界は、深く氷に覆われていました。そのため、雪が多いので…………冬の祭典が華やかに行われるのです」

黒猫δ「それは知りませんでした…………」



その手紙は、ナナが元居た世界にある王国、スノーキングダムからの冬の祭典への招待状だった。
スノーキングダムは、五年前までは厚い氷の壁に阻まれ、太陽も見えない雪の降りしきる王国であった。しかし、事象のカオスディーラーであるナナや、その仲間達が結託し、その王国に日の光をもたらしたことにより、王国は一度崩壊、そして再生し、発展をとげたのだ。

だが、やはり寒い世界という特性があるのだろう。冬になると、5年前ほどではないがたくさんの雪が降る。
その雪を利用して、国民達は冬の祭典を開くようになったのだとか。



黒猫δ「でも、面白そうですね。ぜひ、そちらの世界に行きたいと思います」

ナナ「わかりました。祭典は一週間後、それまでに他の方々も誘ってきてくださいね」

黒猫δ「ありがとうございます」



ナナは用件を伝えると、深々と礼をして、部屋を出ていった。



黒猫δ「…………そこまで、畏まらなくていいと思うのですが、ねぇ…」



…………実をいうと、ナナはこの王国の国王であるはずの人物だ。そのためか、すこし態度が硬く、どんなひとにでも他人行儀なところがある。
だが、それは仕方がないのだろう。それは彼の右目が物語っていた。



白猫ナイト「ふふ、そうですね。きっと彼も色々あるのでしょう。」

黒猫δ「…………何処に隠れていたのですか?白猫」

白猫ナイト「さっき窓から入ってきたばかりですよ」



ほら、と白猫ナイトが指差す方向には開け放たれた窓と、イルミネーションのようにキラキラと輝く町並みが見えた。
それは、どこかで見たような輝きだった。
あれは___そうだ。



黒猫δ「ナナと初めてあったときも、こんなイルミネーションを見た気がします」

白猫ナイト「そうなんですか。」

黒猫δ「ええ。あの世界は、すこし乾燥していて、夜は光が綺麗に見えるのです」

白猫ナイト「冬の花火は綺麗って言いますからね。まぁ、火の取り扱いは夏以上に気を付けなくてはなりませんが」



白猫ナイトは剣呑に笑う。そして、またフラりと何処かへ消えて、いなくなった。
その頃には、かごにいれてあったミカンも、ほとんどなくなっていた。



黒猫δ「…………ミカン、追加してきますかね…」



よっこらしょ、っと、年に見会わない掛け声をかけつつ、黒猫δは炬燵から出る。
今年の冬も、たくさん思い出ができそうだ…………と、そんなことを思いつつ。


Re: 黒猫δと愉快な仲間たちの日常 ( No.211 )
日時: 2019/06/03 22:20
名前: 黒猫δ (ID: ZFY/hkRe)

そして、一週間後


招待状のとおり、白銀の世界にある城門の前に黒猫δの姿があった。
黒猫δの他にも、どうやら他のメンバーが来ているようで…………


黒猫δ「という訳でやって来ました。ノースキングダム。ええ、スッゴク寒いですはい。」

ミズキ「ここが、ナナの住んでた世界か。…………雪が多いっていってたけど、本当に多いんだね」

中島「うわぁ!辺り一面真っ白ですよ!」

アレン「そうですね、城壁までもが白くて、すべて雪で出来ているのではないかと思いましたよ!」

レオナルド「…………世界って、広いんだなぁ」(カシャカシャ

中原「なンで俺がこいつらの保護者なんかに……面倒事を増やすなよ、アイツ…………」

日向「あー…………どうも、前日に毒キノコを食べて、『虹色のゾウリムシだぁ!』とか叫んでたらしいぞ」

中原「またやったのかよ!?」

左右田「あぁ。それ俺も見たぜ」

マリオ「俺も見たな」

ルイージ「僕も見たね」

ワリオ「裸族を広めるために…………」

クッパJr.「あれをこうして…………」


ナナ「…………思ったより、たくさんの人が来てくれたようで良かった」


ナナは、安心したように微笑む。若干名なんかちがう思惑だと思われるが、それはスルーで。


ナナ「ここは、ノースプリズンウォール世界、スノーキングダム、…………僕の故郷です」


中原「アンタの故郷?」

ナナ「ええ、そうです」

黒猫δ「一応言っておくと彼、国王にもなれる存在ですよ」

中原「ほぉー…そりゃすげーな…………」

ナナ「でも、なる気はないです。…………僕は、僕しか出来ないことをしたいから」

中原「そりゃ御立派なことで」

ナナ「ふふ、ありがとうね」



回りが騒いでいるなか、三人はそれを見て苦笑する。
…………それもそうだろう。何故なら雪合戦が始まっているからである。



中原「おいコラ!ちょっとは待つってことを覚えろ!」

マリオ「大人げないぞ、中原」

中原「アンタが言うな!最年長だろ!」

レオナルド「いや、こんなにたくさんの雪を見る機会なんて、HL(ヘルサレムロット)なら無いですからね!」

中原「収集着かねェし!」


Re: 黒猫δと愉快な仲間たちの日常 ( No.212 )
日時: 2019/06/03 22:24
名前: 黒猫δ (ID: ZFY/hkRe)




………国の中に入るまえに何してるんだこの人たち、みたいな雰囲気で雪合戦をしている一行の横を、商人やキャラバンの人達が通り抜けていく。
が、例外もあり、六人ほどのグループがいつの間にか雪合戦に混ざっていた。なお、ヤジを飛ばしてる人もいたが、だんまりを決め込んでいる人もいた。



??1「そらっ!」

レオナルド「うわ速!?なにその豪速球!?ベースボールでもやってたのこの人!?」

??2「はは、驚いたか?隙ありだぜ!」

日向「うわビックリした!真っ白だから気がつかなかった!」

??3「そこだー!鶴さーん!」

??4「兄弟!その調子!」

??5「なにやってるんだ、町にはいるんじゃなかったのか!?」

??6「…………」



…………はっきり言おう

カオスである。

そもそも、このときの気温は-15度であり、とてもではないが寒い。ナナは暑い方ですよ、と涼しい顔で言っていたが、前はどれ程寒かったのだろう。
それにも関わらず、とても白熱した雪合戦が目の前で繰り広げられているのだ。
その結果、言うまでもなく…………



中原「手前テメェら、少しはこうなることぐらい察せよな?」

??5「彼に同意だ。全く…………」



黒猫、ナナ以外が中原と謎の人物に怒られるという謎の構図が出来上がっていた。
ちなみに、中原の異能によって重力が掛けられているだけなのだが。


中原「テメェ達もだからな、裸族ども」

クッパJr.、ワリオ「「ウイッス」」


なお、こちらは全身タイツである。







* * *






謎の陽気な団体と別れ、王国の城門をくぐると、そこには白銀に輝く王国がそびえていた。
今は、冬の祭典が行われているため、町の至るところに色とりどりの旗やオーナメントが飾られ、まるでスノードームのなかに入り込んだような感覚だ。

チカチカと光るライトを横目に、黒猫δは話し出す。



黒猫δ「王国のなかに入りましたが、皆様、どうしますか?」


そう。冬の祭典の招待客として招かれた黒猫δとナナだが、特に王様と会う以外は予定が決まっていないのだ。
そもそも、ここに来たメンバーは暇そうな人たちが集まったというだけであり、皆は思いきりこの祭典を楽しむつもりであるということを明記しておく。



ナナ「そうですね…………何人かのグループに別れて、自由行動とかどうでしょう。私も行きたいところがあるので…………」

中島「いいんですか!」

アレン「美味しいもの食べましょうよ!」

レオナルド「俺は写真でも取って回りますかね」

日向「そうだな」


ミズキ「…………僕は、黒猫についてく」

黒猫δ「そうです?貴方もどこかいってもいいのですよ?」

ミズキ「何かあったら、嫌だから」

黒猫δ「…………あぁ、そうでしたね。貴方は雪が苦手でしたね」


こうして、いくつかのグループに別れて行動することにした。

グループは

アレン、中島、中原
日向、左右田
マリオ、ルイージ
ワリオ、クッパJr.
ナナ、レオナルド
黒猫δ、ミズキ

となった。


Re: 黒猫δと愉快な仲間たちの日常 ( No.213 )
日時: 2019/06/03 22:29
名前: 黒猫δ (ID: ZFY/hkRe)

第一グループ (中島)敦、アレン、中原
※中島と中原の中の文字が被って見辛くなったので名前に変更しました。



アレン「うわぁ、あれもこれも見たことのない食べ物です!!」

敦「ずるいですよアレン!僕も食べたいです!!」

中原「おい待て、どれだけ食べる気なんだテメェら!!」


王国のメインストリートには、たくさんの飲食店が立ち並ぶ。これだけの寒さということもあり、暖かいものを提供する店が多く、どこもかしこも、ホコホコと暖かそうな湯気をたてているのが見てとれた。

そしてその一角、豆とトマトの煮込みを肉まんのように包んだ料理を両手に持ち、物珍しい料理に目を輝かせる白髪二人を追い掛ける背の低い青年という謎の構図が繰り広げられていた。


中原「背が低いとか言うな」


すんません。


中原「まっっったく…………太宰のやつ、こういう時に限ってなぜ俺を呼び出したんだ…………ったく」

アレン「これスッゴク美味しいですね!!トマトの味がしっかりとお豆に染み込んでて、何個でも食べられそうです!」

敦「ええ、とても美味しいです!!」

アレン「あ、あんなところに鮭鱒クリームパイって書いてありますよ!行ってみましょう!」

敦「勿論です!いきましょう!」

中原「おいコラ、二人とも待ちやがれ。はえぇよ…………ったくどこだ」



食べ物の吸引力、オソロシヤ。中原は一人引き離されてしまったようだ。
それも無理もない。なんせ回りには浮かれに浮かれた人々が、飲めや騒げやどんちゃん騒ぎになっているのだから。


中原「寒いところの人は酒に強いとは良く言ったものだな」

??1「本当にな」







中原「…………は?」

??1「?どうした。俺のかおに何かついているか?」








中原「さっきの高速雪投げのやつか!!!」

??1「あぁ、あのときの帽子頭か。思い出したぞ」



お ま え か


突然の大声にも関わらず、周りは大騒ぎを続けている。そして、そういえばそうだったといった顔をしている、鉢巻きを巻いた顔の整った金髪青年がそこにはいた。


なお、口の横にはクリームソースが付いている。


中原「確かに顔にソースついてるわ!気が付かなかったのかよ!?」

??1「付いていたか?すまない」(ゴシゴシ

中原「コラコラ、服で拭くな。汚れるぞ」

??1「あんたは本歌の様なことを言うんだな。」

中原「本歌?なんだそりゃ」

??1「あぁ、俺の本歌だ。本作長義天正十八年庚寅五月…………「待て待て待て、長い、寿限無か何かかよ!?」いや、正式名称なのだが」

中原「いや、それでも長ぇよ!?というかテメェはいったい誰なんだよ」

??1「あ、名乗るのを忘れていたか。俺は山姥切国広だ。」

中原「山姥切…………すげぇ名字だな」

国広「名前じゃないぞ。号だ」

中原「号ねぇ…………ってそれ、刀じゃねーか!?」

国広「そうだが?」

中原「えっ?」



えっ、刀?…………無理もないが、どうやら本当らしい。彼は刀剣男士という刀が擬人化(?)した姿なのだそうだ。本丸(どうやらここでさにわという人と暮らしている)から出陣のために転移したところ、座標がずれて、ここに出てしまったそうだ。

原因は調査中とのことだが…………



中原「だったら待っていた方がよかったんじゃねぇか?」

国広「まぁ、原因がわかるまでは特にすることもなし、敵もいないなら観光してたとしても、別に悪いことではない。歌仙なら喜んだだろうか。」

中原「いや、どんだけいるんだよ刀剣男士。」

国広「ざっと80近くいるな」

中原「80!?どんだけいるんだよ!?」



二人が喧騒の端で話していると、ふと声をかけられる。それは見知った声であった。


敦「どこにいるかと思いましたよーー!」

アレン「姿が見えなくなったので、ティムにも探してもらいました。見つかってよかったです」

中原「テメェら、勝手にどこか行くなっていっただろうが」

敦「美味しそうなものがあったので、つい…………」

アレン「スミマセン…………美味しそうだったので…………」

中原「ったく…………これだから見張りは…………」

国広「何を買ってきたんだ?」

敦「あ、さっきの豪速球雪玉投げの人ですね!鮭鱒クリームパイ買ってきました!」

国広「どこにあったんだ?」

アレン「あちらです!」

国広「俺も食いたい」

中原「…………これ、もしかして俺が見張る人が増えたか?」

国広「まぁいいじゃないか。行くぞ」

中原「だーかーらー!待てっていってるだろーが!聞けよ!」



その日、喧騒のなかで中原はとても振り回されたという。この三人の相手はさすがに無理だと口を漏らしていたのだった。



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