二次創作小説(新・総合)
- Re: Fate/Grand Order ~幻想風化大陸~(募集中) ( No.6 )
- 日時: 2019/10/18 01:13
- 名前: 餅兎ユーニアス ◆o0puN7ltGM (ID: DSoXLpvQ)
アバンタイトル 【プロローグ】
カルデアのマスター、『藤丸立夏』。
突然引き起こされたカルデアでの爆発をきっかけに、人類最後のマスターとなった青年。彼は数多の運命、数多の仲間、数多の希望と共に世界の誤りへと挑んだ。
助け合い、支え合い、彼は人理の為に戦い、そして人理修復を成し遂げた。
人理は修復された。しかし、全ては終わっていない。
人理焼却により出来た歪みは、収まる事無く新たな特異点を作り出したのだ。
それは悪のはびこる閉鎖された都市であり、
それは地底に広がる世界であり、
それは紅き月が昇る剣豪の地であり。
……そして、禁忌なる魔女の庭が現れる……筈だった。
「……どうして私は、こんな世界にいるのだろう。そう何度思った事か」
声が聞こえる。暗い空間に、何かを嘆くように放たれる言葉。追体験のような感覚のあやふやさに、立夏はこれが夢の中なのだと理解する。夢を通じた干渉である事に。
「親が嫌いだった。皆嫌いだった。世界が嫌いだった。私が嫌いだった。いっそ死んでしまいたい。消えてしまいたい。みんな消したい。全て消えれば良いのに。
……この世界は穢れている。私がいる意味なんて無い。それがとても悲しかった」
暗闇が薄れ、景色が見えてくる。
そこはどこにでもありそうな緑溢れる広場だった。噴水を囲むように広がるタイルに、静かに揺られる木々。その広場の中心に、制服を着た一人の少女が俯いて立っていた。
「だから、禁忌を犯した。この世ならざる禁忌をね。
ただの人間がそんな事をするのが、どれだけ悪い事か。『貴方』には分かるはず」
少女が顔を上げる。黒髪に隠れかけた目は赤く、その表情は冷たかった。
「特異点は人理の敵。ならば貴方は正すでしょう?カルデアのマスターよ」
「!?」
少女が立夏を見て言う。夢を通じた干渉では本来、立夏の姿は誰にも見えない。なのに少女は立夏に向かって話した。『貴方』が己自身である事を理解した後、立夏は口を開いた。
「……俺が、見えてるの?」
「勿論。貴方は私の目の前に確かにいる。正確には、私の精神の中に」
少女が目を瞑って言う。すると少女の後ろにあった噴水が轟音を立てて、空高く水の柱を作り上げる。その柱の頂点で、神々しい光が放たれる。
その輝きの中心にはは黄金の杯の形があり、中は噴水の水で満ちている。立夏には分かった。あれが、『聖杯』である事に。
「止めたければ止めればいい。だけど私は自分の行いを止めないから。
貴方が特異点を修復するのを、私は全力で止める。止めてみせる」
その言葉の直後、少女は笑顔で涙をこぼした。
立夏に向けて、最後の言葉を放って。
さぁ、修復しに来なよ。私の特異点を」
