二次創作小説(新・総合)

ドラマ1・『夢』と剣士 ( No.51 )
日時: 2020/04/30 14:17
名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)

160:00


五分の休憩の後に、逃走者達が一斉に転送される。
彼らは場所をランダムに転送されると、自分達の周囲を見た。


アレン「森ですかね……なんか赤い花がたくさん咲いてる…」

霊歌「ここは街?すごい綺麗!」

巧「……おい、目の前に神殿っぽいのがあるんだが」

リクオ「すみません、お城の中庭ってどういうこと!?」


各々がリアクションする中。


『逃走中再開まで、あと五秒』


通信機からアナウンスが入る。
それを聞いて口を閉ざし、隠れたり逃走経路を探したりなどする。


『四』

『三』

『二』

『一』

『逃走中、再開します』


そのアナウンスが流れると同時に。


159:59


タイマーも動き出した。

エリア移動した先は「夢の国」エリア。
そこは一つの街を中心にして城、森、社がある。
中心には青系統が多いものの、色鮮やかで美しい青きダイヤの街。
それに沿うような形で少し離れた場所には、西側から南東側までは赤系統の花が多く咲くことで有名な赤きスペードの森がある。
北側には白い外壁に緑の屋根がある、緑のクラブの城が建っている。
街の東側にはファンタジー系世界の祭壇と日本の神社を足して割ったような見た目をした、黄色を主体とした神社の黄のハートの社。

こちらのエリアはそれぞれの広さが街が東京ドーム三個分、森が三個分、城が二個、神社が一個分と合計して九個分となっていて、ハンターは四体いる。

自主に関しては「夢の国」だと城に行き、そこの女王の親族に願い出て了承されることで自主は成立する。

ドラマ1・『夢』と剣士 2 ( No.52 )
日時: 2020/04/30 14:18
名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)

逃走中が再開してから月音は険しい表情でモニターを眺める。
映っているのは「現実界の街」エリアだ。
歩いて逃走者を探していたハンター達は少しずつ動きが鈍り…。


『エラーが発生しました』

『機能を停止します』


ゲームマスタールームに、その機械音声が響く。
と、「現実界の街」エリアのハンター達がその場で立ち止まり、俯いた。
機能停止したのだ。


月音「保護系の魔法をかけた機械にも影響を与える、か。念のために移動しなかったら強制失格者が出るタイプのミッションをやって良かったよ」


安心したように彼女は呟きながらも、表情は変わらない。


月音「通信機を介して逃走者達に保護系の魔法をかけてても、不安はあるからね」


そして「現実界の街」エリアを映すモニターから、「夢の国」エリアを映すモニター群へと視線を移動させる。
こちらは広さの関係上かかなり数が多い。
そのうちの一つを睨みつける。
人型をした、小さな黒いものが映ったそれを。

ドラマ1・『夢』と剣士 3 ( No.53 )
日時: 2020/04/30 14:19
名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)

【ドラマパート】


あるところに、小さな夢がありました。
だれが見たのかわからない、それは本当に小さな夢でした。
小さな夢は思いました。
このまま消えていくのはいやだ。
どうすれば、人に僕を見てもらえるだろう。
小さな夢は考えて考えて、そしてついに思いつきました。
人間を自分の中に迷い込ませて、世界を作らせればいいと。

そして小さな夢は、自分の中に迷い込んだ人間に作らせることが出来ました。
真っ赤な道がある森、色んな音に溢れた狂った世界、惑わされた人々によるおかしな国を。
小さな夢は思いました。
まだまだ足りない。
でもどうすればいいんだろう。
小さな夢は考えて考えて、考え続けました。

ある時、誰かが小さな夢と出会いました。
小さな夢は、その誰かも自分の中に迷い込ませようとしましたができません。
けれど誰かは教えてくれました。
小さな夢は教えてくれた誰かにありがとうと言いました。
教えてくれたのは、たくさんの人間を自分の中に迷い込ませる方法。
五人のアリスに人間を導かせ、自分の中に迷い込ませればいいのだと。

ドラマ1・『夢』と剣士 4 ( No.54 )
日時: 2020/04/30 14:20
名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)

【ドラマパート】


ここはどこだろう?

赤いエプロンドレスを着た、肩につかない程度の長さをした茶髪の女性はぼんやりと辺りを見回す。
足元には赤い花達が咲き誇り、まるでカーペットのようだ。
ふらふらと、何かに導かれるように足を進める。

私は何でここにいるのかしら…?

そんな疑問が浮かぶがすぐに消えてしまう。
まるで思考に霞がかかったように。
何も思い出せない彼女は、ただ歩くしかない。


「あら…?」


と、彼女の前に兎が現れる。
人懐こいのか兎は彼女を見ても逃げず、それどころか近づく。
つぶらな瞳が見上げてきた。

――――邪魔だ…。

自分のもののようで、自分のものではない声が頭の中に響く。
見れば片手には剣を握っていた。
見るまで気づかなかったが、不思議と剣は手に馴染む。
そして兎に視線を移し………その剣で、首を斬った。
残された兎の体は血を流して地に倒れた。


「……ふ、ふふ…」


彼女の唇が歪み、弧を描く。
艶かしく、美しく。


「あはははははは…!!」


狂気の笑みを、浮かべる。
笑みを浮かべたまま彼女は歩む。
時々現れる、“邪魔なもの”を斬り捨てて、花ではなく血で真っ赤な道を敷いていきながら…。

斬り捨てられたものが、斬られた部分がくっついていく。
元の姿に戻るとどこかに消えていった。
まるで、彼女の“邪魔”をして斬られて血を流すという『役目』を果たしたように。

それを見ていた月音はゲームマスタールームにてボタンを押す。
すると赤きスペードの森の奥にある、牢屋の中に三体のハンターが出現した。

ドラマ1・『夢』と剣士 5&後書き ( No.55 )
日時: 2020/04/30 14:22
名前: 月詠 (ID: G1aoRKsm)

154:10


逃走者達へと。



ppppp…



メールが受信された。


克己「メールか…」

竜二「「ミッション2」……またミッションか」


げんなりとしたように竜二が呟く。


ファイブティファイブ「「残り時間140分になると三体のハンターが放出される」…」

X「「それを阻止するには赤きスペードの森にいる女性が投獄されるのを防ぐしかない」……え、投獄!?」

映司「…「しかし、女性は“邪魔”されるのを嫌う上に攻撃してくる」」

ティキ「「そのため、このミッション中はスキルの使用を許可する」、か。やったね」


メールを読んだ何人かはスキルが使えることに安堵した。



ミッション2、ハンター放出を阻止せよ!

残り時間が140分になると、赤きスペードの森の奥にある牢屋から三体のハンターが放出されてしまう。
ハンター放出を阻止するには女性の投獄を防ぐしかない。
しかし、判断力がつかず狂気に染まった彼女は、その手に持つ剣で“邪魔”だと判断したものを斬り捨てようとする。
危険性が高いため、このミッションが行われている間はスキルの使用が許可される。
なお、スキルでハンターやスタッフなどに許可なく攻撃を行えば強制失格になるのは変わりないので、注意が必要だ。


――――――


後書き





「はい、最初のドラマパートでした!不穏な気配が漂うのは……まぁ、色々です」


「これの執筆中に久々に、この逃走中の元ネタ動画と元ネタ音楽を聴きました」


「次回はミッション2をお送りします」