二次創作小説(新・総合)
- 天空の花嫁 第二章 サンタロ-ズの村 ( No.2 )
- 日時: 2019/11/12 16:34
- 名前: ティアラローズ・レンドレット (ID: LN5K1jog)
サンタローズの村
ミーティアたちは長い船旅を終え、二年ぶりに故郷に帰って来たのだった。
「やや!エルトリオさんではっ?二年も村を出たまま一体何処に・・・。」
村の入り口にいた守衛は嬉しそうに言った。
「ともかく、お帰りなさい!おっと、こうしちゃいられない。皆に知らせなくっちゃ!そう言って守衛は何処かへ駆けて行った。
「おーい!エルトリオさんが帰って来たぞーっっ!」
さっきの守衛が叫んでいるのが聞こえた。宿屋の前を通ると、宿屋の主人が出て来て言った。
「エルトリオさん!あんた生きてたんだね!」
ミーティアの方へ向き直ると言った。
「おや、その子があの時の?大きくなったね。」
「お久しぶりです。」と、ミーティアは言った。
「エルトリオさん、夜にでもうちの酒場によっておくれよ。皆あんたの旅の話を聞きたがるはずだ!」
武器屋の前を通ると、武器屋の主人が店を飛び出して来た。
「よう!エルトリオ!やっと帰って来たな!あんたとは喧嘩ばかりしたけどよう、いなくなると寂しくて・・・。落ち着いたら積もる話を聞かせてくれよな。」
今度は火に当たっている青年が話しかけてきた。
「やぁ、本当にエルトリオさんだ!どうもお帰りなさい!エルトリオさんがいない間、皆エルトリオさんの噂ばかりしてたんですよ。」
若いシスターが教会から出て来てエルトリオに話しかけた。
「これはエルトリオ殿。よくぞ無事で戻られました。きっと神様が貴方方親子をお守りしてくれたのでしょう。と、堅苦しいことはやめにしましょう・・・。」
シスターは一旦間を置いて、大きな声で叫んだ。
「わ~い!エルトリオさんが帰って来た!嬉しい~!わ~いわ~い!」
エルトリオは恰幅の良い男性がたっている家へと歩いて行く。
「我が家だ。」と、エルトリオが言った。
ミーティアはぎこちなく足を踏み出した。自分の心臓が何処にあるのかわかる。
(二年ぶりの我が家・・・。本当に、長い船旅だったわ。)
エルトリオの姿を見るなり、家の前に立っていた男性が言った。
「だっ、旦那様!お帰りなさいませ!このサンチョ、旦那様のお戻りをどれほど待ち侘びたことか・・・。」
サンチョは溢れ出した涙を拭った。
「さぁ、ともかく中へ!」
ミーティアたちが中へ入ると、二階から男の子が下りて来た。
「おじさん、お帰りなさい。」と、その男の子が言った。
「???この男の子は?」と、エルトリオが首を傾げる。
「あたしの息子だよ、エルトリオ!」と、二階から声がした。
「やぁ!隣り町に住むダンカンの女将さんじゃないか!」と、エルトリオは嬉しそうに言った。
「この村に主人の薬を取りに来たって言うんで、寄ってもらったんですよ。」
「女将さんはよしてよ、あたしの名前はマダグレーナだよ。」
「長いからそう呼んでんだよ。」と、エルトリオが笑って言った。
「ねぇ、大人の話って長くなるから上に行かない?」
「えぇ、そうしましょう。」
ミーティアは男の子に連れられて二階へ上がった。
二階へ上がると、ミーティアは男の子を頭の上からつま先まで見た。紫色のターバンをつけ、黄緑色のローブを着ていて、腰の所をベルトで留めている。皮の編み上げブーツを履いていて、両手首に銀の腕輪を付けている。焦げ茶色の長い髪を首の後ろで結んでいる。
「えぇっと・・・。」
ミーティアが口ごもっていると、男の子が言った。
「僕はリュカ。僕のこと覚えてる?」
「ごめんなさい、覚えてないわ。」
ミーティアが言うと、リュカはにっこり笑って言った。
「そうだよね。仕方ないさ。僕は八歳だから、君より二つ年上なんだ。」
「そうなの。貴方は何処に住んでるの?」
「アルカパの街だよ。サンタローズの隣さ。西にちょっと行った所だよ。」
「それは大変だったでしょう?この辺りは魔物が良く出現するって聞いたから。」
「大丈夫だったよ。僕は剣術に関しては、街一番なんだ!魔物が出て来たってへっちゃらさ!街の子もよく相手してくれって行ってくるけど、最期には参った!ってね。」
「うふふっ。私もいつかお手合わせしてもらいたいわ。」
「リュカ!そろそろ宿に戻りますよ!」と、階下からリュカが呼ばれる。
「はーい、母さん!」
リュカは返事をして、ミーティアに向き直ると言った。リュカは微笑んで階段を下りて行った。
「それじゃ。」
ミーティアはひらり、と手を振って一階に下りた。サンチョが下りてきたミーティアに言った。
「ミーティアお嬢様、だんだんとお母上に似てきましたなぁ。お母上のマーサ様は、それはそれは優しいお方でした・・・。あぁ、お嬢様。今日はお疲れでしょう?もうお休みになられますか?」
「えぇ、そうさせてもらおうかしら。」
「じゃあ、すぐにお食事を持って行きますから、上で着替えていてください。」
「わかったわ、サンチョ。」と言って、ミーティアは二階へ上がった。
ミーティアは鞄の中から青いフランネルの寝間着を取り出してそれに着替えた。ベッドの横においてあったスリッパを履くと、ミーティアは椅子に腰かけた。階段を上がってきたサンチョがテーブルに夕食を置いてくれた。
「とても美味しそうだわ。」
家にあったシンプルな白い皿にバターロールとサラダなどがのっていた。ミーティアは食べ終わると自分で下にあるキッチンへ行き、皿を洗った。
「お嬢様、いけません。私が洗いますから。」
エルトリオと話していたサンチョが慌ててミーティアを止めた。
「でもサンチョ、私は」
「お嬢様はもうお疲れでしょうから、私が洗います。さぁ、早くおやすみになられた方がいいですよ。」
「わかったわ、サンチョ。では、おやすみなさい、お父様、サンチョ。」
「あぁ、しっかり休むんだぞ。お休み、ミーティア。」
「えぇ、おやすみなさいませ、お嬢様。」
ミーティアは二階へ上がると、髪を梳いてベッドに横になった。全然眠くないと持っていたのに、一分もたたないうちにぐっすりと眠ってしまった。
翌朝、チュンチュン、という小鳥の囀りを聞いてミーティアは目を覚ました。ミーティアはベッドに腰かけた。スリッパを履いていつも通り鏡台の前に立った。水差しに入って水で顔を洗い、清潔なタオルで顔を拭いた。髪を梳いて三つ編みにすると水色のリボンで結んだ。水色のローブを着て、その上から青いマントを羽織った。腰の所をベルトで留めると、香ばしいパンの香りのする一階へと下りて行った。
「おはようございます、お父様。」
「おはよう、ミーティア。昨夜はよく眠れたかい?」
「えぇ、お父様。」
ミーティアは手を洗うと席に着いた。
「このレタスは今朝採れたものなんですよ。」
「家庭菜園のか?それにしては畑が寂しすぎるのだが?」
「教会のシスター・アルウィンがおすそ分けってくれたんですよ。」
「そうだったのか。」
ミーティアは食べ終わるとお皿を下げようと立ち上がった。
「お嬢様、私がやりますから。」と言って、サンチョが持っていってしまった。
「さて・・・と。父さんはちょっと出かけるが、いい子にしてるんだよ。」
「はい、お父様。」
ミーティアは不思議に思ったので、こっそりついて行くことにした。急いで上へ上がると、薬草などが入った鞄を肩から下げ、剣を腰に差した。
「ちょっと散歩に行ってくるわ。」と言って、ミーティアは急いで家を出た。
(何処に行ったのかしら?)
ミーティアが辺りを見渡すと、皮の近くに住む老人の所にエルトリオがいた。ミーティアは急いでエルトリオを追いかけたが、ミーティアが追い付く少し前に老人の家に入ってしまった。
(あのお爺さんなら何か知っているかもしれないわ。)
ミーティアは老人の家へ行った。
「こんにちは、お爺さん。」
「おぉ、エルトリオのとこの娘のミーティアか。」と、老人はゆっくりと言った。
「えぇ、お父様は何処に行かれたの?」
「お嬢さんはいい子じゃな?だったら、お父さんの御用の邪魔はせんようにな。」
「わかったわ、お爺さん。」
ミーティアはくるりと向きを変えて家へ帰るふりをした。
しかしミーティアは途中で立ち止まって、エルトリオからもらった不思議な地図を取り出した。
(洞窟へ行く道は・・・。良かったわ。あそこだけじゃないみたい。)
ミーティアは道を確認し、もう一度洞窟へと向かった。
「あ!エルトリオさんとこのミーティアちゃんじゃないか。」
「あら、お久しぶりです。」
声をかけて来たのは、洞窟のすぐ近くに住む農家の主人だった。
「ちょうど今、鶏が卵を落としてね、ほら、少しだけど、持って行くといい。」
ミーティアはお礼を言って再び洞窟へと向かって歩き出した。
「お嬢さん、この先は洞窟だ。迷子になってもおじさんは知らないぞ。」
突然声をかけられ、ミーティアはびっくりして顔を上げた。
「え、えぇ。ちょっと用があるものですから。」
ミーティアは戦士の前をすり抜けて洞窟へ入った。