二次創作小説(新・総合)

天空の花嫁 第四章 レヌ-ル城 ( No.4 )
日時: 2019/11/10 22:25
名前: ティアラローズ・レンドレット (ID: LN5K1jog)

レヌール城
ミーティアたちはついに、お化けの出るレヌール城に着いたのだった。
「でも、なんだか暗いし不気味な感じね。今にもお化けが出てきそうだわ・・・。でも、あのべビーパンサーのために頑張らないと。」
「そうだね。さぁ、行こう、ミーティア。」
リュカはそう言うと、ミーティアと手を繋ぎ、正面の扉をノックした。
「こ、こんばんは。誰かいらっしゃいませんか?」
いないとわかっていても聞いてしまう自分を恥じながら、リュカはそっと扉を押した。しかし、扉は錆び付いて開かなかった。
「ダメだ。開かないよ。」
「仕方ないわ、他をあたりましょう。」
ミーティアはリュカに言った。
「後ろの方に扉があったりして・・・?」
ミーティアはかしの杖を前に突きつけるようにしながら進んでいった。
「あっ・・・。」
そこには、螺旋らせん階段があった。
「ミーティア、お手柄だよ。」
階段を上がるとまず目に飛び込んできたのは、古めかしい石でできた墓だった。
「お墓だわ。何だか気味が悪いわね。」と言いながら、ミーティアは墓を素通りして、奥に行った。
「見て、リュカ。開いてるわ。だ、誰かいるのかしら?でもここには誰もいないはずよね?」
ミーティアは自分に言い聞かせるように言った。
「入ってみましょう。」
リュカは頷いてミーティアの横に立った。そっと入ると中は真っ暗で何も見えなかったが、死者の魂がいることははっきりわかった。ガシャン!と、後ろで何かが閉まる音がした。
「嘘・・・閉じ込められたの?リュカ・・・気をつけて進むのよ。」
リュカはミーティアの後ろからついて行く。
「ぎゃああぁあ!」と、後ろからリュカの悲鳴が聞こえた。
『まさか!』
後ろを振り向くと、無数の骸骨たちがリュカを取り巻いていた。
「リュカ!」
「ダメだ!ミーティア!こっちへ来るんじゃない!」
「リュカ!」
ミーティアはリュカの所へ駆け寄ろうとした。するとリュカは骸骨と共に消えていってしまった。
「リュカ・・・リュカ!リュカー!」
ミーティアは仕方なく先に進むことにした。
『あぁ、ごめんなさい、リュカ。待ってて、すぐに助けに行くから!』
ミーティアは奥にうっすら見えた階段を手探りで下りた。奥の扉を開けるとそこはさっきミーティアたちが見た墓のある所だった。
「うーん。」
何処からか声が聞こえる。
「リュカ?」
ミーティアは墓に駆け寄った。
「うーん。」
右側の墓が微かに揺れた。
「リュカなの?」
ミーティアは墓石を力いっぱい押した。
「あぁ、苦しかった!助けてくれてありがとう、ミーティア。」
ミーティアはさっき来た扉を開けた。
「そこから来たんだ。」
「それにしても嫌ぁね、ミーティアの墓・・・リュカの墓・・・ですって!」
ミーティアは墓石に刻み込まれた文字を読んだ。
リュカは頷いて、何かに脅えるように震えた。しばらくしてリュカは小声でミーティアに耳打ちした。
「あ・・・あれ。」
リュカは恐る恐る指差したその先を見ると、そこには鎧が飾ってあった。
「光ってるわ。」
しかも、ただ光っているのではなく、自ら光を放っていたのだ。
「だ、誰なの?」と、ミーティアは鎧に話しかけた。
「・・・。」
誰も、何も言わない。物音さえしない。と思った、その時だった。
「見ーたーなー!」
「「ぎゃあああっ!」」
二人は声を揃えて叫んだ。鎧の中にいたのは動く石像だったのだ。
「気を付けえて、リュカ。動く石像よ!こいつは守備力が高いから、肉体戦では勝てないわ。剣は避けて、出来るだけ呪文を使いましょう。」
ミーティアは火球呪文を唱えた。
「ぐあぁ!この私が火に弱いというのを見切ったとは。許さんぞぉ!でやぁ!」
ミーティアはひらりと身をかわす。
「ふふっ、私を傷つけることができるんだったらやってみなさい!」
めるんじゃない!この私は・・・な、何っ?敵がたくさん?」
動く鎧が困惑したように言う。ミーティアが幻覚マヌ呪文ーサを唱えていたのだ。
閃熱べギ呪文ラマ!」
ミーティアの唱えた閃熱べギ呪文ラマは効果覿面。
「ぐああああぁぁ!」
動く石像はガシャンと音を立てて消えていった。動く石像は十五Gと薬草を落としていった。ミーティアはリュカに言った。
「そういえば、向かい側にも塔があったわ。」
「そうなの?」
リュカは墓の中に閉じ込められていたので知らないのだ。
「えぇ、行きましょう。」
二人はは向かい側の搭に向かった。扉を開けて中に入るとそこはどうやら図書室らしき部屋だった。本棚は倒れ、床に本が散らばっている。奥に王妃らしき服装の女性が立っていた。いや、浮いていると言った方が正確だろうか。王妃の髪は美しいエメラルド色の頭髪で、目は青く、瞳は真っ黒だ。首には真珠の首飾りを付けている。頭に付けた黄金のティアラには、真っ赤に輝く涙型のルビーの宝石がめ込まれていた。絹の黄色のドレスに金色で縁取りが施された赤いマントを羽織っていて耳には真珠のイヤリングをしている。王妃はミーティアたちを何か言いたそうな目で優しく見つめると目を閉じた。すると王妃は消え、奥にあった二つの本棚が動いた。その下に続く階段があった。ミーティアたちが階段を下りるとカラスがギャアギャア鳴きながら飛び去った。
「それにしてもどうしてこの城にお化けが住み着いちゃったのかな?この城には何かあるのかな?」
リュカが呟くように言った。ミーティアたちが奥の扉を開けると廊下に出た。その時、魔物モンスターが襲ってきた。二人は急いで真ん中の扉を開けると逃げ込んだ。逃げ込んだ先は王妃と王の寝室らしき部屋だった。壁は大理石でできていて右の方にあるソファーにさっき会った王妃が座っていた。王妃がそっと口を開いた。
「私はこのレヌール城の王妃、アリア・ウイル・レヌール。十年前、この城は魔物モンスターに襲われ、この城の者たちは皆、殺されてしまいました。何故・・・何故あんなことになったのでしょう?噂では邪悪な手の者が世界中から身分のある子供をさらっているとか。しかし、私と夫エリックには子供がいませんでした。子供さらいのモンスターたちはその腹いせに皆を襲ったのかもしれません。今となっては嘆いても仕方のないこと・・・。ですが、せめて・・・私たちは静かに眠りたいのです。どうか願いです!この城に住み着いたゴーストたちを追い出してください。そうでなければ、城の者たちはいつまでも呪われた舞踏会で踊らされたままなのです!」
「えぇ、王妃様、私たちが必ずその親分ゴーストを倒します。」
力強く頷いて、二人はそっとその場を離れた。
「あの王妃様、可哀そうよ。死んでしまった後もひどい目に遭わされているのね。さぁ、頑張りましょう。私たちはお化け退治に来たんだものね。」
ミーティアたちは部屋を出て、右にある扉を開けた。
「大きな穴ね、どうしたのかしら?これもお化けの仕業なの?」
「ミーティア、足元に気を付けて。」
その途端、リュカが足を滑らせた。
「きゃあ!」
ミーティアはリュカと一緒に落ちた。
「うわぁ!・・・!ミーティア!危ない!」
先に落ちたリュカが、危ういところでミーティアを受け止めた。二人はほっと溜息をついた。
「ありがとう、リュカ。それにしても真っ暗ね。ここじゃ何も見えないわ。」
ときどき光る稲妻の光を頼りに階段を下りた。さっと風が吹き、ミーティアたちはその方向を向く。
「リュカ・・・あれ。」
ミーティアは指差した。王の格好をした幽霊が走り去って行ったのだ。
「追ってみましょう。」
王はどうやら階段の奥にある扉から出て行ったらしい。扉を開けるとミーティアとリュカはぞっとした。そこは細い通路で手すりはなく、足を滑らせたりしたら一溜まりもない。下では不気味な音楽を奏でる骸骨たちが城の人と思われる人々を踊らされていた。
ひどい・・・早くあの人たちを助け出さないと。」
ミーティアとリュカは速足で通路を通り向けた。
「あ、あそこ・・・。」
王が走り去って行くのが見えた。ミーティアとリュカは大急ぎで追いかける。王は階段を上がらずに奥にある扉へ入って行った。
二人は慌てて追いかけて重い樫の扉を開けると外にある通路に出た。王はそこに静かに立っていた。ミーティアが話しかけた。
「貴方がエリック王ですね?」
「おぉ!ここまで来る勇気のあった者はそなたたちが初めてじゃ!と言うのも、何年か前にこの城にゴーストたちが住みついてしまい、私とアリアは眠りにつくこともできぬ。かつてはこの城に咲く花々を眺め、午後の茶を楽しむのが我らの幸せだったというのに・・・。どうかお願いじゃ!ゴーストたちのボスを追い出してくれぬか?」
「はい、エリック王。」
「そうか、やってくれるか!うむ、そなたたちは信に勇気のある者たちじゃ。ゴーストのボスは4階の玉座の間におり、周りを魔界の幽霊たちが守っている。ここに来るまでに真っ暗なフロアを通ったであろう?そこの中心にボスがおるのじゃ。後ろの扉の向こうの階段を上がれば宜しく頼んだぞ!」
ミーティアたちは来た道を戻り、エリックに言われた通り階段を上がろうとした。すると、エリックが追いかけて来た。
「待ちなさい!まだ話すことがあるのに。若い者はせっかちでいかん。そのまま玉座の間へ行っても真っ暗で何も見えぬであろう?大広間を抜けて地下まで下りれば台所の壺に松明があったはずじゃ!それを使えば暗闇を照らすことが出来よう!」
王は真っ直ぐ進んで、振返って言った。
「さぁ、こっちじゃ。び付いている扉も開くようにしておくから宜しく頼んだぞよ!」
ミーティアたちはエリックの所へ行った。
「大広間を抜けて地下へ下りれば台所の壺の中に松明たいまつがあったはずじゃ。あの松明たいまつかつてとある国の王妃から譲り受けた聖なる品。四階に住み着いた魔界の幽霊たちも嫌がって消えるかもしれぬぞ。」
ミーティアたちは来た道を戻り、またあの細い通路への反対側へ着いた。小走りで通路を抜けた。そこにはソファアが置いてあった。その近くに老人の姿をした幽霊がいた。
「おぉ、ゴーストたちだけでなく魔界の魔物モンスターたちまで住み着くとは。かつて書物で読んだ魔界の王ミルドラースがこの世界に手を伸ばそうとしているのだろうか?」
老人の幽霊は嘆くように言っているのが微かに聞こえた。その目にはもう、光がなかった。
「ねぇミーティア、魔界の幽霊たちがいるってそんなに怖いことなのかな?よくわかんないや。」
魔物モンスターも幽霊も悪いお化けも似たようなものよね?そう考えれば怖くないわ。」
ミーティアは自分に言い聞かせるように言った。奥の階段を下りると、そこには教会のテーブルが置いてあった。その横で魂がぶつぶつと呟いていた。
「メラメラ・・・口惜しや。城の兵士長でありながら魔物モンスターから王を守れなかったのだ・・・。どうか誰か魔界の王を倒しこの世に永遠の平和を・・・。」
ミーティアは悲しそうに魂を見る。
「貴方は悪くないわ。私たち、さっき王様と王妃様にあったわ。ゴーストを倒すから、安心して。」
魂はほんの一瞬人間の兵士の姿に戻ると二人に微笑んで何処かに消えていった。ミーティアたちが横の扉へ入ると、あの大広間へやって来た。
不気味な音楽が流れ、人々が踊らされている大広間は、まるで地獄のようだった。
「うわあぁ!誰か止めてくれぇ!」
二人は走って反対側の扉へ入ると、宿屋の看板があった。中に入ると魂がいた。
「メラメラ・・・いらっしゃい、一晩泊って行くかい?」
「い、いいえ。大丈夫・・・です。」
ミーティアたちは宿屋を出ると、階段がすぐ側にあった。階段を下りると、そこはどうやらエリックの言っていた台所のようだった。そこではコックの幽霊が泣きながら味付けをしていた。ミーティアは壺を調べていくと、薬草とエリックの言っていた聖なる松明たいまつを手に入れた。
「あぁ、これでボスの所まで行けるわ。」
ミーティアはそう言うと、リュカの手を引っ張って階段を上がり大広間に入った。ふと、まだ開けていない扉があるのに気が付いた。扉を押して開けるとまた奥に扉があった。扉はびついて開かなかった。しかし何処からともなく生暖かい風が漂ってきて、びついていた扉が開くようになった。その扉は外に通じる扉だった。ミーティアたちが最初に来たところだ。ミーティアはまた後ろの螺旋らせん階段を上り、途中で真ん中にある通路を通って扉を開け、階段を上り、ようやくボスのもとへ辿たどり着いた。
「真っ暗ね。松明たいまつを使いましょう。」
ミーティアは松明に火を灯した。すると青白い炎が付いた。リュカがそれを掲げると、辺りにいたお化けは堪らず逃げだした。松明を頼りに扉を開けてボスのもとへ向かう。
「あれよ。」と、ミーティアは今までで見た中でも一番大きなゴーストを指差した。
「ほほぅ、ここまで来るとはたいしたガキ供だ。美味しい料理を作ってやろう。さぁこっちへおいで。」
「嫌よ!ゴーストたちのボスなら正々堂々と戦いなさい!」
ミーティアがかしの杖を突きつける。
「ほほぅ、度胸のあるガキ供だ。」
ミーティアたちは親分ゴーストの所へ歩み寄る。
「ただし、お前らがその料理の材料だがな!」
ミーティアたちは落ちて行った。大広間の骸骨たちの待つテーブルの穴を通り、台所へ着いた。コックが頭を抱えて嘆いた。
「まさか子供を料理にするなんて!」
骸骨たちがレバーを引くとお皿が骸骨の待つ大広間のテーブルに着いた。
「おぁ、こりゃぁ旨そうだ!」
ミーティアたちは武器を構えて襲いかかってきた骸骨たちを一匹残らず始末した。
「あのゴースト、ずる賢いわね。」
ミーティアは溜息をつくとリュカに言った。キメラの翼を使って街に戻った。そのままベッドに横になってぐっすり眠ってしまった。
「リュカ、起きてよ。朝よ。」
ミーティアはリュカを揺すり起こした。
「うぅん、ミーティア。まだ寝かせてよ。」
「ダメよ、リュカ。起きないと怪しまれるもの。」
ミーティアはリュカをもう一度揺すり起こした。やっと起きたリュカはミーティアを見るとにやりと笑った。
「今日も行くよね、あそこ。」
「もちろんよ。今日こそあの親分ゴーストを倒してやるんだから!」
「そうだね!今日こそケリをつけてやる!」
ミーティアは下に下りて、エルトリオとダンカン夫妻に挨拶をした。
「リュカ、いい?」
「うん。」
朝食を食べて、急いでベッドに入るとまたすぐに寝てまった。
「うぅん。あぁ、もう夜なのね。起きなきゃ。」
ミーティアはリュカを起こしに行った。
「リュカ・・・。」
リュカは今度はすぐに起きて、朝のうちに用意していた持ち物を腰の所に下げた。
ミーティアたちは街の外に出るとヒュッと口笛を吹いた。レディーとプリンスがやって来て足を追って座った。
「レヌール城までお願いね、レディーにプリンス。」
二匹はいななくと風のように走り出した。空には満天の星が輝いている。
「綺麗ね。」と、ミーティアはぽつりと言った。
レヌール城に着くとレディーとプリンスは帰って行った。
「後ろの階段から行きましょうね。」
ミーティアたちは階段の途中にある通路を通り、親分ゴーストのいるフロアまでやってきた。松明を灯すと、お化けたちはまたその光を嫌がって外へ出て行った。ミーティアたちは真ん中の部屋に入った。親分ゴーストが外のテラスに行くのが見えた。
「リュカ、行きましょう。」
ミーティアとリュカは忍び足でテラスへ向かう。二人の気配に気が付いた親分ゴーストが言った。
「なんと!骸骨たちはお前たちを食べ損ねたようだな・・・。」
ミーティアは足を一歩後ろに引いて構えた。
「倒されるのはどっちかしらね?低呪文カナン!」
親分ゴーストの周りを青白い光が包み込み、親分ゴーストの守備力を少し下げた。親分ゴーストが反撃を仕掛けたが、ミーティアはひらりとよける。
「凄いな、ミーティアは。敵の攻撃をひらりとかわしちゃうんだもん。身のこなしがまるで違うや。」
リュカは呪文ャドを唱えた。氷の球が親分ゴーストに飛んでいく。
「くっ、ガキめ、なかなかやるな!これでは手加減しようがないな、え?」
「リュカ、作戦はガンガン行くわよ!」
「オッケー!喰らえっ!真空呪文バギマ!」
「あら、いつの間に真空呪文バギマなんて覚えたの?」
「ミーティアを追い抜こうと思ってね。やっぱりまだまだみたいだよ。」
ミーティアはふふっと笑った。親分ゴーストが言った。
「おのれぇ、小娘供!これでもどうだ?氷塊呪文(\s\up 9(\s\up 9(ヒャダルコ)!」
ミーティアとリュカ両手を重ねて呪文を唱えた。
魔法返呪文マホカンタ!」
二人の前に光り輝く見えない壁が現れた。呪文が跳ね返り、親分ゴーストに氷塊ヒャダ呪文ルコが飛んでいく。親分ゴーストは悔しそうに二人をにらみつける。
「私たちをめると痛い目に遭うわよ!」
ミーティアはもう遅いけどね、と肩をすくめる。
「こっちだってめてもらっちゃ困るぜ?何せゴーストの親分なんだからな。」
親分ゴーストがにやりと笑む。
「こっちの勝ちだな。」
ミーティアは目を細める。
「本当に?後で後悔しないことね。」
ミーティアはリュカと顔を見合わせる。
「大地斬!」
ミーティアが地の技を叩き込む。剣を大上段に構え強力な斬撃を敵に叩き込む力技。無駄ない動きで持っている力を効率よく叩き込む事が要点だ。親分ゴーストは大きく体制を崩す。リュカがその隙に真空呪文バギマを唱えた。
「ぎゃああぁぁぁぁぁ!」
親分ゴーストがぐったりと項垂うなだれた。二人は親分ゴーストを倒したのだ。
「やったわ!リュカ。私たち、親分ゴーストをやっつけたのよ!」と、ミーティアは不敵に笑んだ。
「怖いよ、ミーティア。」
「この城を出て行ってもらうわ!それとも?」
ミーティアは親分ゴーストの首元に剣を突き付けた。
「あわわわわわ!許してくれぇ!もう何もしないから、殺すのだけは!」
親分ゴーストは慌てて謝った。
「ほんっとにドジで間抜けね。今回は許してあげるわ。次はないわよ。」
ミーティアはそう言うとくるりと向きを変えた。
「さぁ、エリック王とアリア王妃に謝ってもらうわよ!」
城の墓の所まで来るとミーティアとリュカ、そして親分ゴーストは立ち止まった。
「エリック陛下とアリア女王様はどちらにおられるかな?」
親分ゴーストがエリックとアリアを呼ぶと墓の上に二人の人影が浮かび上がった。
「ここじゃ。」
エリックとアリアが姿を現した。親分ゴーストが口笛を吹くと、城中にいたお化けたちが集まってきた。
「何の用じゃ?」と、エリックが親分ゴーストに問うと親分ゴーストは静かな声で答えた。
「本当に申し訳なかったです。ここから出て行きますんで。」
そう言うと親分ゴーストはぺこりと頭を下げた。
「お、親分、気でも狂ったのか?」
子分たちが言うと親分ゴーストは怒りながら言った。
「こら!お前らも、陛下と女王様に謝るんだ!」
「申し訳ありません・・・?」
「これ!はしたない。仲間にも気を配り、優しく接するのが親分と言う役目のものなのではないか?」
親分ゴーストはハッとして顔を上げた。
「もうすぐ夜が明けてしまうわ。」
「ありがとうな。お礼になんだが、これを持って言ってくれ。銀のティーセットなんだが、良かったら使ってくれないか?昔から伝わる家宝だが、お前たちにあげるよ。」
「ありがとう、大切にするわ。」
「それでは、私たちは元ある城へ帰ります。ありがとう・・・ミーティアと、リュカと言ったかな。お前たちのおかげで、大切なことに気付くことができた。これからは、森でひっそりと暮らすことにするよ。」
親分ゴーストたちが子分たちを引き連れ、太陽の上りかけている西の空へと消えていった。
「ミーティア、それにリュカ。本当にありがとう。とっても助かったわ。」
「これからわしらは何にも脅かされることなく静かに眠ることができる。感謝するぞ。」
「感謝なんて・・・私たちはただ、当たり前のことをしただけです。どうか、お二人ともお元気で。」
「貴方たちも、元気でね。まだ小さいんだから、ご両親に心配を掛けないのよ。」
そう言うと、二人は次第に薄くなり、空気の中に消えていった。突然、空から金色に光るオーブがゆっくりと落ちてきて、墓の前にゆっくりと落ちた。
「何だろう?」
「きっと王様と王妃様からの贈り物よ。」
ミーティアはそっとオーブを袋の中に入れた。城を出て、ヒュッと口笛を吹いた。レディーとプリンスがやって来てミーティアとリュカを背中に乗せると大急ぎで駆けて街まで連れて行ってくれた。
「ありがとう、レディーにプリンス。」
ミーティアは二頭の首を優しくさすってから森へ帰るように促がした。森へ帰る二頭を見つめていた二人はハッと我に返って大急ぎで宿屋に行き、ベッドに潜り込んだ。
「起きなさい、お寝坊さんたち!」
階下からマダグレーナの声がする。ミーティアは青いフランネルの寝間着からの黄緑色のカミシアの服に真鍮しんちゅうのボタンが付いた青いマントを羽織って階下に下りた。
「おはようございます、おば様。ダンカンさん、お父様。」
「とっくに朝ごはんの用意はできてるわ。」
マダグレーナはそう言うとスクランブルエッグを皆のお皿につぎ分けた。
「今日はもうここをたなければならん。ラインハット城の王に呼ばれたのだ。もう少しいられたら良かったのだが。」
「仕方ないですもの。」
お皿にはバター付きパンと目玉焼き、プリップリのソーセージと新鮮なレタスとミニトマトがのっていた。ミーティアとリュカは久しぶりにゆっくりと朝食を食べるとお皿洗いを手伝いカカオたちの所へ駆けて行った。
「約束は果たしたわ!この子を離してもらうわよ!」
「あぁ、約束は守るさ。」
カカオたちは走り去った。ミーティアはベビーパンサーの首に着いた縄を外してやった。
「どうしようかしら?貴方が飼う?」
「うちじゃ飼えないと思うよ。」
その時、エルトリオがやって来て言った。












「聞いたぞ。お化け退治に行ったの、本当かい?」
ミーティアはどぎまぎしながら答えた。
「はい、お父様。」
「そのベビーパンサーをどうしたいのかね?」
「飼ってもいいですか?」
「きちんと世話するんだぞ。」
「ありがとう、お父様!」
エルトリオは嬉しそうな娘を見て嬉しそうに微笑んだ。ミーティアは目を輝かせて言った。
「この子の名前、どうしようかしら?」
悩んだあげく、名前はリンクスになった。ミーティアは髪を結ぶのに使っていた水色のリボンをリンクスの首に蝶結びにして結んであげた。
「クゥーン。」と、リンクスが嬉しそうに鳴いた。
「これ、貴方にあげるわ。いつかまた会える日まで私を忘れないでね。」
ミーティアは髪を下ろすと腰の所まで金色に光り輝くウェーブがかった髪がたれた。その姿に街の人たちは溜息をつくほどだった。
「綺麗だなぁ。」
中にはそう呟く人もいた。
「とっても綺麗だよ。」
「ありがとう。」と、リュカ。
「ずっと渡そうと思っていたんだけど。」
リュカは恥ずかしそうに何かを差し出した。
「私にこんなに綺麗なもの・・・。」
リュカがミーティアの手に置いたのは美しい髪飾りだった。花をかたどったルビーとその両端に真珠とザクロ石が付いたものだった。
「最後に何か歌ってくれる?」
リュカはミーティアの記憶を呼び戻すように言う。
「もちろんよ!」
ミーティアは竪琴を取り出して人魚のような歌声で歌いだした。
「なんて美しい歌声。まるで人魚の歌を聴いているようだ。」
人々は口々にそう言ってミーティアの歌に聴き入った。いつの間にか辺りは静まり返り、ミーティアの歌声が響く。
「星降る夜はさまよい歩かん 
淡き夕映えの 光の中を 
薔薇ばらに乗せて愛を歌う
夜鳴きうぐいすの別れの歌よ 
そよ風優しく吹きそむるころ 
灯 瞬く我が家を後に 
足音密かに忍び行けば 
海辺の岸に寄せる 銀色の波は呟く 
星降る夜はさまよい歩かん 
胸躍らせて 気の向くままに」
シスター・アルウィンは目に涙を溜め、リュカは一緒に歌った。
「また 待っているよ 
きっと 待っているよ 
夜鷹たかの声が『ひるむ心( )をうて』と 歌いだす時に」
とうとう街の人々も声を合わせて歌いだした。エルトリオの青い目はキラキラ輝いていた。
「果てしなき大空に きらめく星の軍勢が 
定めの位置につきし時 
尾を引き流れる星に混じり 
罪人のさまよう目をとらえし一つ星 
かの星こそ 我が光 
我が道しるべ 我が全て 

黒き予感を追い払い 嵐と危険のかせを抜け 
いこいの港へ導きぬ 

今 危険を乗り越え我は歌う 
夜の王冠をいただきて 
とこしえに とこしえに 
星よ ベツレムの星よ」
ミーティアはリュカの姿を目に焼き付け、リュカはミーティアの姿を目に焼き付ける。二人はもう一度硬い握手を交わした。
「ありがとう皆さん。リュカ、さようなら。またいつか会いましょうね。」
そう声をかけ、くるりと後ろを向いて歩き出す。一回、振返って叫んだ。
「ねぇリュカ、絶対またいつか一緒に冒険しましょうね!約束よ!」
「うん!約束するよ!大人になったらミーティアを僕のお嫁さんにしてあげるね!」
「リュカったら・・・じゃあ弱虫なところを直したらお嫁さんになってあげてもいいわよ。」
「・・・弱虫じゃないもん!もっと大きくなってエルトリオさんより強くなるもん!」
「ふふふ・・・待ってるからね、リュカ。」
ミーティアは微笑む。見とれているリュカに、ミーティアは手を振って言った。
「絶対また、冒険しようね!」
そしてミーティアとエルトリオはリュカたちの住むアルカパの街を後にした。